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お待たせしました


 例によって(お姫)(様抱)()()だ。最近はこの速さにもなれて……くるわけがない。

 幸運な事に様々な種を先祖を持てているから辛うじて雑魚は殺せるが、これに対応できる程の力があるかというと、ない。


「にしても珍しく街全域が計画的に作られてましたね」

「ん……あぁ、あそこは教会本部以外で最も信徒が集まる場所、らしいからな」

「へぇ……そうなんですか。ふ〜ん」


 白露が面白くなさそうな表情でしきりに顔を動かしている。他の女の名前を出したわけでもないのに何故拗ねているのだろう。

 もしかして、脳内に自分以外の存在が認知されている事が気に食わないのか……?そうか、そうかそうか……。


「む、何をニヤニヤしてるんですか」

「なんでもない」

「むー、そんなこと言ってると食べちゃいますよ」


 白露の唇を唾液に塗れた舌が割り、周囲を舐め回した。案外食べられてもいいのかもしれない。凄く……よさ、いやいやいや。

 よくないよくない。それに今から手近な災害獣を狩って骨を武器に作り変える予定がある、それを棒には振れない。


「それは気になるが……まだやることが沢山あるだろう?」

「気になる……それは食べられてもいいということですか!?いいんですか!?」

「待て待て待て、今から災害獣を狩りに行く予定があってだな」

「主様……悪いことはいいません。災害獣なんて狩れるもんじゃありません。魔人にも進化できるのにそちらに分岐せず、混沌を求めて環境を歪める獣になった偽神すら世界の歪曲の際に放置した狂獣共の相手をするなんて正気じゃないです」


 白露がこんな物凄い剣幕で早口になって話すということはやはり生物の枠から逸脱しているのだろう。

 肩痛い痛い痛い痛い痛い……これからそんな狂獣に挑むのにそれはまず、みちみち言ってる……っ!


「白露、逆に言えばそいつらの骨を使えればターレンスにも攻撃が通ると思わないか?」

「そうですけど……危険過ぎます、虎を倒すために豹に挑んでるようなものです」

「そうだとしても、豹に勝てないようなら虎には勝てないだろう」

「そうですけど、それはそうなんですけど」


 白露が俺を揺すりながら脚で辺りの土を耕している。なんだこの生き物かわいいか。いや、分かっていたが。

 フェイルノートも破壊されているだろうし新しく作り直す必要がある、やはり災害獣は避けては通れないだろう。


「本当にやるんですか?」

「もちろん」

「もう……どこまでも付き合いますよ。それこそ地獄にも」


 諦めて顔を落とした白露が目を細めてこちらに微笑んでいる。でも、最終的に付いてきてくれるその姿勢、好きだ。

 死ににいくかもしれないのにそんな穏やかな顔で言い切るなんて中々できない。こんなに人に出会えるなんて俺は幸せ者だ。


「そのセリフは向こう100年は取っておいてくれ」

「そうですね、向こう200年は一緒にいてもらいます」

「ずっとじゃないんだ」

「続きはは来世で。逃しませんよ」


 移動はお姫様抱っこか……そうか……凛々しい顔してるな、格好良すぎて直視できない。

 顔をほんの一瞬見ただけで景色が変わるのには経っても慣れそうにない。いや……慣れるか、時間は沢山あるのだから。


「縄張りに入りました」

「この結晶……なるほど、災害獣と呼ばれるわけだ」


 眼前の森が結晶化している。触れなくても分かる。これは能力の産物だ、それも相当練り上げられている。

 これを持ち帰るだけでもカルヴェナンを作り直せる、とは思う。だが、俺が倒すのはあのターレンス、備えすぎということはない。


「行きましょう」

「あぁ」


 眼前に結晶の森に足を踏み入れ、白露と背中合わせになりながら進んでいく。思ったより足場は悪くない。固いからだろうか?

 シャリシャリという音が響く、そのせいかもう何時間もここにいる気がする。その音に混じってゴリゴリという音が聞こえてきた。


「おらぁっ!!」

「ギュギュギュギュ」


 突進してきた水晶で構成された巨大カブトムシに蹴りをぶち込み、首狩り刀を3つある角に引っ掛ける。


「おらぁっ!!」

「ギギ……」


 白露の振りかぶったエリムサルエが羽と胴体の接合部に吸い込まれていった。だが、僅かに罅が入っただけだった。

 そして、俺を剣と共に吹き飛ばさんと角を振るった瞬間、剣を離して難を逃れたが、白露の顔にあたってしまった。


「なっ、ごっ──」

「か、はぁっ……!!」

「ギッギッギッギッギッ」

「──はぁ゛ー……はぁ゛ー……はぁー……!!」


多分来週中には出せるはずです

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