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解剖

おまたせしました!


「ふふ……♡落ち着きました?」

「……なんとか」

「本当に大丈夫ですか?まだ……」

「大丈夫……大丈夫だから」


 たっぷり10分ほどかけて念入りにストレッチした白露が走り始めた。嘘だろ?白露が見えない……。

 衝撃波で吹き飛ばされないように踏ん張りつつ、見えない視力ではなく白露の魔力を全力で追いかける。

 走るには不向……なら障害物を避け、勢いを力に変えて進むしかない。森を吹き飛ばすのに裂ける程魔力に余裕はない。


「お……病み上がりなのに流石ですね」

「はぁ……はぁ……。当たり……前だ……!!これでも……ひと通り……教育は……受けて……いる」


 体力が想像以上に落ちている……体が思うように動かない。クールダウンすらまともに出来ない。

 涼しそうな顔の白露に見下ろされている。やはり強くなった……俺なんかとは比べ物にならない。


「ッスゥ〜……はぁ〜……行こう」

「はい」


 今は夜中適当な家に入r……門番を持っていくのもいいかもしれない。騒がれると面倒だ。門番は持っていこう。

 白露がこちらに親指を立て、門に張り付いた。門番は……2、30くらいか?もう少し若いサンプルも欲しかったが贅沢は言えない。


「貴様、どこからk」

「地獄から」

「くぉ……っ」

「むー!むー!むーーっ!!」


 こちらに反応した擬人のみぞおちを殴り、残りの擬人の口に白露が素早く布を噛ませて米俵のごとく脇に置いた。


「ところでどこでするんですか?」

「狩り場のどこかに糸を敷いてもらうしかないだろうな……」

「仕方ないですねぇ〜、うんうん。さぁ……さぁ……!!」


 白露がニタニタしながら手を広げている。もちろんハグを求めている訳ではない。言うのか……釈然としないが。


「お願いします」

「任せてくださいよ〜、私が完璧にやってあげます」


 白露に抱きまくらの如く抱き潰される。肉が……肉が軋むっ!!白露の柔らかさを堪能している余裕なn軋む軋む軋む!!


「さて、主様との逢瀬はまた後にして、仕事しなきゃいけませんね」

「お、おう」


 逢瀬、実験の後にそんな事をする気分になるか……?血生臭い環境でそんな気分に……なるか。さっきもそうだったな。


「捕まえてきましたよ。チョロかったです」

「流石白露……仕事が早い」

「くくく、私を誰だと思ってるんですか?」


 そう言いながら、褒めて褒めてという雰囲気を隠しきれていない。小動物か……?かわいすぎるだろ。

 白露が首を左右に動かしながら脇に数名の擬人を置いている。最近白露が異様に家事が得意な理由が分かってきた。

 ただただシンプルに速すぎるのだ。早すぎるが故に時間が歪んでいるのだ。だから一瞬にして家事が終われるんだろう。


「うーん、謎の美少女?」

「謎のはいりませんし、なんなら愛するが抜けてます」

「……事実だから言うのを忘れていた」

「そんな事言っても騙されませんよ」


 白露が拗ねて鉤爪を地面に突き立てて顔をそむけてしまった。か、かわいい……もっと見たい。

 白露が離れていく。暗い森の中に進んでいく……段々と見えなくなっていく。手が……震えて。


「待ってくれ、行かないでくれ。お願い……消えないでくれ……」

「……仕方ないですね。素直に言わない主様が悪いんですよ」

「……もう二度とやらない」

「うんうん、大丈夫ですよ」


 ……かなり面倒くさい動きをしたのではないか?やってしまった……何故こんな動きをしてしまったのか……はぁ……。


「ありがとう、落ち着いた」

「大丈夫ですか?もう少し撫でてもいいんですよ?」

「大丈夫だ。やろう」


 これ以上面倒なムーブをかます訳にはいかない。脳内反省会を何度も何度も実施する事は分かりきっている。

 今からは使命の時間だ。切り替えはきっちりやらなければ。さて……こいつらはどんな構造なのだろうか?


「L-ドーパを静駐するとドーパミンが発生する。要はこいつらだけに効く神経症状を同時に引き起こさせればいい」

「心臓を調べるんですね」

「いや、脳と骨髄かな」


 白露が変な顔をしているが、気持ちは分かる。心臓以外にいじられた場所は一見すると見当たらない。

 だが、おかしな部位が心臓だけというのがおかしな話なのだ。何故異物と化した心臓が免疫細胞に排除されないのか?

 免疫細胞の作られ方が違う?だとしたら何故か?脳からそういう命令が出ていると考えられる。

 つまり脳を調べればこの説は検証出来るということだ。本当なら電極や魔力探知機が欲しいが贅沢は言えない。人力しかない。


「さて、舌を噛むんじゃないぞ」

「むーー!!むーーー!!むーーーーーーっ!!」


 擬人を糸で拘束して頭を開いていく。流石白露の糸で出来た刃物。骨までよく切れる。あった。脊髄だ。


「白露、回復おn」

「私の糸に包まれてる時点でそんじょそこらの回復魔法とは比べ物にならない回復力です。安心してください」

「分かった、ありがとう」


 脊髄には見た目上特に違和感はない。魔力も正常に流れてい……なんだ?この僅かな違和感……。

 魔力の中に何か異質な物がある。脳から来ているのか?また触らるのか……汚い気がして気分が乗らない。

 触らなければ魔力は探知できない。仕方ないか……にしても嫌だな。濡れた薄橙の肉片に何故触れなければいけないのか。


「見つけた」


次は一週間後です!!

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