普通
おまたせしました
「ちょっと我慢してくださいね。これが一番効率がいいので」
「ご、ぉっ……!!」
白露が申し訳なさそうに腕を胴体に突き立てる。内臓が修復されていく……馬鹿になっていた神経が直っ……
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!
本当に痛いときは幹部が熱くなるというが当にその通りで胴体が痛い体内の痛みに対する耐性がついていたはずなのにそれを貫通
「っがぁぁぁぁあぁぁぁぁあ!!」
「大丈夫、大丈夫です。絶対に直します!!あと少しの辛抱です」
「っかぁっ!!ごぉ……っ」
「終わりました」
白露の手が抜けていく。もう立つ気力すら残っ……体の調子がすこぶるいい。なんだこの感覚は……。
今なら何でも出来る。そんな気がする……白露の胸を揉んだ。だが、何も掴んだ感覚がない。
「ぬ、主様……?」
「よし、成功だ」
「っ!?」
白露がビクンッ!と震える。成功したようだ。今までのを先取りとするなら今回は行為の先延ばし、だ。
どこまで先延ばしに出来るだろう?1分か10分か、それとも1時間か……?楽しみが膨らむ……何か忘れていたか?
「主様……そんな///今、ですか?もう、なんだかんだ言って欲しがりさんですねぇ///」
「いや……これはその、違う。実験的なサムシングであって……今すぐ致したいとかそういうわけでは」
「んもぅ……まだ安心出来ない状況なんですよ?また後で……ね?」
「いや……あぁ、そうだな」
白露が俺の腕を胸から剥がして、俺を抱き抱え……自分で歩けるのだが?白露しか戦えないにしても今、余計な体力を消費さs
「主様、筋肉痛に襲われていませんか?」
「そんなは……っ!!別に、なんともないが?」
「嘘ですね。筋肉が強張ってます」
苦笑いしている白露の手が筋繊維に触れている。白露が走り出した……そもそも、ここはどこだ?
止まった。森、か……白露から漂う緊張感からすると狩り場だろうか。だとすれば足手まといを抱えさせる訳にはいかない。
「主様」
「なんだ?」
「主様の体は正常に戻ったんです」
「それがどうかしたのか?」
回復魔法として出力する魔力が対象を正常な状態に持っていく性質を持っているのだから当たり前だろう。
それ故に偽神に歪められた生命体である信者の魂を浄化出来るわけだし。今更そんな事を言って何か意味が……
「主様、人間の肉体には普通リミッターが掛かっていますし、皮膚が鋼鉄のように硬かったり、異様な肺活量を誇っていたり、無理な体の動かし方が出来るなんて事はありえないんですよ」
「そうだな」
改造というか実験というか耐性というかで備えた特徴ばかりだな。しかし、そんな分かりきった事をなぜこうも強調するんだ?
「さて、さっき私は何をしましたか」
「回復魔法」
「正確には世界最高の回復魔法です。脳以外の内臓を1から再構築するなんて中々出来ることではありません」
「そうだな。まさか……まさか……ッ!!普通の肉体に戻したのか……?」
白露の喜んでいるような後悔しているような複雑な顔を見ればわかる。おそらく、戻した……戻せたのだろう。
俺の体は自分で言うのもなんだが素のスペックは高い。雑魚は問題なく掃討できる……だが、領主レベルにはついていけない。
「主様、お腹減ってませんか?」
「っ!!」
「喉も乾いてませんか?眠くないですか?」
今まで感じなかった欲求を感じる。目の前が霞んできた。胃の辺りに鉄球が入っているような空腹感……喉がカッスカスに……
「主様……まず飲んでください。ゆっくり、ゆっくりですよ」
「んぐっんぐっんぐっんぐっ!!あ゛ぁ゛ぁ゛あ゛ぁ゛〜」
「おやすみなさい」
まずい……眠すぎる……目を開けていられない。直立二足歩行を保たないと……寝てし……一定のリズムで肩を叩か……
「んぁ……」
「ちょっと早かったですね」
「ん、んん……」
眠い……油断するだけで瞼がどんどん降りてくる。香辛料が多く使われているいい料理の匂いがする。た、立ち上がれない……
「ん……ぐっ!!っはぁ……!!」
「はい、あ~ん。よ〜く噛んでくださいね」
「ん……」
物を食べていると眠気は遠ざかる。甘辛い味を付けられた肉が舌の上で踊り狂う。美味しい……美味しいっ……!!
これだけ食べたのにまだ空腹感が収まらない。これが……これが普通の食事っ!!味覚があって良かった……。
「そんなに焦らなくてもまだありますよ」
「はむっ、ふぉいしぃっ!」
白露が微笑ましい物を見る目でこちらを見ている。いつもなら美しさで食事を止めるところだが今日は止まらない。
何だこの食事は……!!今まで俺は何を食べていたというのか?砂かなにかか!?そうに違いない。
「水もありますよ」
「ありがとう、んぐっんぐっ!!……っ!?」
美味しいっ……何だこの水はっ!!今までの飲料水などただの泥水!!無浄化の水道水!!世の中にはこれ程美味しい物があったのか。
これを気が済むまで堪能出来なかった事に涙が出てくる。これが“普通”!!素晴らしい!!
たかだか食事がこんなに違うのかっ!?こんな素晴らしい思いが出来るなら中途半端に強い肉体など、いらない……っ!!
「主様……実は今主様が食べたものはこの前までとは比べ物にならないほど適当に調理したものなんです」
次は多分一週間後です




