ポッキーゲーム
おまたせしました!
「今日は何をしようか」
「そ、そうですね……何しましょう?」
ただ寄って話しているだけなのに白露がたじたじになっている。おかしいな……何か気掛かりでもあるのか?
だとしたら何だろうか……布団?いや、それならそこまで差し迫っていない。後でもやれるはず。
「……もしかして火でも掛けっぱなしだったか?申し訳ない。すぐ行く」
「え、いや……そ、そんなことないです」
「なら具合でも悪いのか……?もしかして熱でもあるのか?」
「だ、大丈夫ですよ」
心なしか顔が赤い気もする。こんなことは滅多にない。今日、明日は白露になるべく負担をかけないようにしなければ。
まさか俺に詰め寄られて照れている訳でもないだろうしな。今更そんなことあるはずもないし。
「主様、ち、近い……//」
「今更じゃないか?」
「そ、そうですけど……取り敢えず顔を離してください」
白露が視線を外して頬を染めている。いつもよりそっけない言い方……まさか、照れていたのか?だとしたら……そそる。
そんな事を考えている間にリビングに付いてしまった。今日も焼きたてのパンの匂いがする。
「は、はい。あ〜んですよ」
「ん、おいしい。」
視線をそらしながら白露がバナナを差し出している。熟しかけたバナナの甘酸っぱい素材の味がする。
「白露、背中を預けてもいいか?」
「え、あぁ……もちろんいいですよ」
白露に背中を預けて後ろを振り返った。頬を染めて涙目でぷるぷる震える白露と目があった。そそる!!これはそそるッ!!
白露に振り回されるのも好きだ。でもこうして白露を振り回すのも悪くない。白露も新鮮味を感じれる。まさに一石二鳥。
「白露、あ~ん」
「え?え!あ、あ〜ん」
「どうだった?」
「な、なんか、なんか……!!」
白露が握った拳をぷるぷるさせながら頬を染めて涙目になりながらこちらを上目遣いで見下ろしている。
白露もこんな気持ちだったのだろうか?いつもこちらを執拗に甘やかしてくる理由がよく分かった。
「主様、あ〜ん、あ〜んですよ」
「ん……おいしい」
塩味が絶妙に絡み合っている肉と脂身、そして甘味のあるソース……こんな環境でこんな料理が出来る、流石白露。
まさか白露に投げやりにあ~んされる日が来ようとは。拗ねたような顔でフォークを突きつけられる。かわいい。
「あ、あれ……?」
「主様のシルバーを探しているんですか?」
「そうだ……まさか、飲み込んだのか?」
白露なら出来なくはない。もしやっているならちょっと見たかった。小動物のように頬を膨らませていたりするんだろうか?
それとも細かくした後に飲み込んだのだろうか?どちらにせよ白露がそんな子供っぽい事をしているという概念自体がかわいい。
「そうそう、私のお腹の中に……あるわけないですよね?」
「そうだよな……」
「ここにあるんですよ」
白露が谷間から自分の食器を取り出した。ま、まずい……反応してしまう。何か別の事を考えなければ。
白露が隠したシルバーは自分しか使っていない。いくら自分の物でも触れるのは躊躇われ……ないのか?
いつも胸を使うときは垂らしているし……余計に興奮してきた。まずい、睡眠の質について考えるんだ。
「ど・う・し・た・ん・で・す・か♡」
「な、なんでもないが?」
「えぇ〜、そうですか〜♡」
白露が胸を押し当てるように耳元で囁いてきた。妙に甘い声と頬を撫でる手つきが刺激してくる。
今は朝食の時間、今は朝食の時間、今は朝食の時間。3回唱えた。これで朝食の時間が再開されるはずだ……!!
「白露、パンを……」
「はい、あ〜ん♡」
「はふはふっ」
出来立てといった熱さだ。バターの塩味がパンの甘さを引き立てていて美味しい。白露に振り回されるのもいいおかずになる。
野菜も食べないといけないが、そろそろ満腹になりそうだ……。食べるならトマトか?
「はい、トマトですよ〜」
「……トマトはあ〜んには向かないな」
「そうですね。しゅるるっ」
白露が溢れたトマトの酸味を含んだ液体を啜った。トマトは液体と実を両方食べないと本来の甘さを感じられないんだよなぁ。
少ない甘味故にもったいない。頬を舐められても特に何もない。舌を見たなら話は別だが……見ていないからな。
「そろそろお腹一杯ですね?」
「エスパーか?」
「ふふふ……そうかもしれませんね」
「……嘘か本当か分からん」
白露が手を口に当てて上品かつミステリアスに微笑んでいる……かわいい。改めて考えてみると白露の能力知らなかったな。
回復はおそらく魔法だろうし……異様なまでの速さも種族値として誤差の範囲内……ならどんな能力なんだろうか?
「ごちそうさまでした……何します?」
「少し待っていてくれ。棒状の、お……あったあった」
「そ、それは……」
「察しがいいな」
そう、取り出したのは棒状の菓子。どうしてここにあるのか、そんな事が少々気になるが今からやる事からすれば些事にすぎない。
そう、伝説のポッキーゲームとやらをするのだ。実際は名前になっている菓子を使う必要はなく、棒状なら問題ないようだ。
「す、するんですか?」
「寸前にでも負けを認めればそういう事にはならない……そうだったよな?」
「……う〜ん」
白露が自らの体を抱いて、視線をそらしている……正直に言えばこの反応だけでも十分ではある。
ただ、この勝負の時に白露がどう責めてきてくれるのか非常に気になる。だから出来ればやりたい。
「気が進まないなら愛してるゲームでm」
「やりまふ」
「……分かった。やろうか」
白露が噛んだ……あまりに顔を赤く染めているのでスルーしてしまったが、それが余計に白露の羞恥心を刺激したらしい。
余計にもじもじしている。そんな白露の口に棒状の菓子を咥えさせた。困り顔で棒状の菓子を咥える白露……素晴らしい。
「ん……」
「……」
白露と見つめ合う時間が続いた。風に揺られるカーテンの音と共に白露が棒状の菓子を食べ進めた。
ゆっくりと棒状の菓子を食べ進んでいく。初手は様子を見る……どの時代においても通用する常識だ。
「はむ……」
「……!!」
白露との顔の距離が一気に近くなった。ここまで静止したのは初めてだ。白露の産毛、唇の細かな皺、虹彩、全て見える。
元々肌が白い上に紅く染まっているのもよく分かる。近くで見ると白露の表情がより美しく見える。
「カリッ……」
「〜〜っ!!」
棒状の菓子を残り数cmまで食べ攻めると白露の目頭や眉毛の生え方すら見え……もはやそれしか見えなくなった。
「かぷっ」
「……!!」
白露が僅かに近付いてきた。しかし、棒状の菓子が見えない為、どれだけ食べ進めていいのか分からない。
白露の目が段々と余裕を持ってきた、遂には三日月型に変わった。口元は依然として見えない。
だが、微笑んでいるのはは火を見るよりも明らかだ。瞳の奥に一筋の汗を流している自分の姿が見えた。
「カリ……ッ!!」
「……!!」
白露の唇には触れていない。しかし、肌で吐息を感じる。白露の三日月型の瞳が崩れ、涙で揺れ動いていく。
大満足だ……白露は駆け引きを楽しめ、俺は白露の焦っている表情を楽しめる……まさに一挙両得、一石二鳥だ。
「……ちゅっ」
「ふっ……勝っんんん」
「れろっ♡ちゅっ……れろれろれろ♡ぢゅるるるる……ちゅっ♡ちゅっ♡ぢゅぶぶぶぶ」
ポッキーゲームに勝った瞬間、白露に舌を入れられていた。白露の唾からチョコレートの味が微妙に感じられる。
白露が恍惚とした顔をしているのが目からよくわかる。どろりとした液体のような瞳の形。何故こんな表情を見逃していたのか。
「んっ……ぢゅるる♡れろれろれろ……♡ぷはぁ……はぁーっ♡はぁーっ♡」
「はーっ……はーっ……」
次は一週間後です!




