いちゃ、いちゃ
おまたせしました!
「……美味しい」
「当然です。私の溢れる愛情が籠ってるんですよ?」
「……そうだな」
逆さまになった笑顔の白露がこちらを覗いている。髪が逆立っていても心を震わせる。
好きだ……いつまでもこうやって白露に振り回されていたい。このままこの場所で朽ち果てるのも悪くない。
「はい、あ〜ん」
「ん……」
「ん〜、よしよし」
こうベタベタされるのは……好きだ心地いい。それなのに……何かが喉に小骨が引っ掛かっている。
何か、何か大事な仕事が残っていた気がする。それも途中で投げ出した大きな何かが残っていたはず……。
「どうしたんですか?」
「いや、消化器官の調子が」
「ッ!?早くトイレに!!」
何か視線を感じて後ろを振り返るときょとんとした白露が居た。服にゴミでも着いていたのだろうか?
少し歩いて振り返っても白露は居た。服を脱いで確認してみても、気になるものはなにもない。
「ふ〜」
「……」
トイレに籠もり便座に座り、一息吐きながら気を抜いて上を向いた瞬間、天井に張り付いていた白露と目が合った。
鈎爪で四隅を抑えて、蜘蛛の腹を背中に寄せて上手く隙間に入り込んでいる。上を向くんじゃ無かったな。
「ッ!?!?」
「どうぞ、お構いなく」
お構いなくではないのだが?見られている事に気付かないように気遣うのなら外で待っていれば良かったのでは……?
分からない……何を意図しているのか全く分からない……早く終わらせてソファーに沈み込もう。それがいい。
「……」
「……」
鏡越しに見える白露が。気になって手に集中出来ない。落ち着かない……トイレが終わった以上落ち着く必要は全くない。
しかし、だからといって落ち着いてはいけない理由はない。とにかく後ろから見られるのは勘弁していただきたい。
「……白露」
「どうしましたか?」
「張り付くなら隣にしてくれないか?後ろだと落ち着かない……」
「そうですね。私も落ち着かなかったのでそうしましょうか」
そう言った後、腕に覚えがあり過ぎる柔らかさを感じた。白露の目がこちらを優しげに見下ろしている。
なるほど……いい。世の恋人達が人目を忍ばず腕を組む理由がなんとなく分かった。
「ふふっ」
「んんんんんん」
白露の笑顔がこちらを見おろしている……はっ!!川の向こうで二人組の誰かが手招きしているのが見えた……。
どうやら人間は笑顔で臨死体験出来るようだ……別に知ったところで商売になるわけでもないが。
「主様?」
「なんでもない。いこう」
「はいっ」
んんんん……いつもとほぼ変わらないのに幸せの感じ方が違う。気がゆるむ……家の中だ。気が緩んでもいいではないか。
「ふぃ〜」
「ん、んん〜」
背中で白露の胸が潰れている。胸には夢が詰まっている。いつかそんな話を聞いたがその通りだ。
……いつ聞いたんだ?俺はいったい誰からそんな事を聞いた?目覚めるより前なのは確かだ。なら何か記憶に関
「主様〜」
「ん〜」
「呼んでみただけです」
「そうか〜」
なんの話だったか……どうでもいいか。ソファーに駄目に寝転んでそんな事を考えるの無……難しい言葉なんて使わなくていいか。
白露に駄目にされてるんだし。なんか肌が密着しているだけで頭を悩ます事が抜けていく〜。
「主様〜、こっち向いてください」
「分かっ……んんッ!!」
「んちゅ……ずちゅぅっ♡」
寝返りをうった瞬間、白露に顔を掴まれ唇を思いっきり吸われた。というか今も吸われている。
「んちゅっ♡ぷっはぁ……♡ふへぇ〜」
「膝枕……」
「外骨格でいいならいつでも貸しますよ」
「あ、あぁ」
白露の外骨格、寝心地がいいとは言えないながらも人肌のような暖かさが感じられる。これが中々やめられない。
あまり長時間出来ないのが残念だ。もし長時間やろうものなら頭痛にお世話になってしまうからな。
「……」
「……」
イチャつくというのは喋るということではない。たとえ、黙っていてもイチャつける。
むしろ、沈黙で気まずくならないというのが次のステップに進んだ証なのではないだろうか。ふふふふふ。
「そろそろ……お風呂ですね」
「そうだな」
籔から棒になんだろうか?やんわりとした催促だろうか?確かにそろそろ湯でふやけるのも悪くないか……。
「そろそろ入るか……」
「よいしょ、とっ」
「は、白露?」
「さぁ、入りましょうか」
そういう事を聞いている訳じゃ無いんだがな……分かった上で答えられていそうだが。
まぁ、聞いたところで抱えられてるから何もできはしないけども。抵抗する理由はないし、力が強すぎて出来ない。
「失礼しますね」
「!!な、何を……!?」
「この服を作ったのは誰でしたっけ?」
いたずらっぽく指を口に当てながら白露がこちらを見ている。くっ、かわいい……一瞬でほどけるように服を作っていたとしてもかわいいっ!!
つぎも一週間後です、




