クソ難い体技
前回
武器の手入れをした
「さて、今日は種族の話をするわよ」
「······んあ」
「有紗、隣の馬鹿を起こしなさい」
「は〜い」
はっ······!!寝てた。ん······?有紗が近くに居る!!びっくりしたぁ。あぁ〜、起こすように言われたんだ。助かる。
「寝てるって事は分かるわよね?種族」
「この世界の種族は人間と亜人、魔人、モンスター、魔物に大別されるんでしょ?」
「正解よ、でそれぞれの定義は?」
「人間は男、女が、ふたなりから構成される集団、亜人は人間の近縁種全体、魔人は変異変態した魔物、モンスターが知性を持つ魔物で、魔物が知性が低く本能で生きてる魔力を有する生物、でしょ?」
ふっ、どうだ。この定義ならなんの問題もないでしょ。勝ったな······ドヤ顔の準備しなきゃ。
「ふっ、魔人の定義が抜けてるわよ」
「嘘っ!?」
「魔人はモンスターとのハーフにも当てはまるわ。あんたもそういう意味では魔人よ」
「抜かった······!!」
知らなった······そんな情報初めて知った。となると独孤家は一族全員もれなく異端なのでは?
「そう、だからモンスターは嫌われるのよ」
「なるほど······雌の数が足りないから人を攫うのも居る、その子供が異端になるから嫌われるのね······」
「何より神へのエネルギー供給が少なくなるんだよ」
「へぇ〜」
創世偽神の力は人の感情を捧げられると強くなる。より高次の存在になるためには必須って訳か。
「ま、私達ふたなりは神に作られた異分子ってことよ」
「え······、そうなの?でも、品種改良n」
「ふたなりには本能レベルで権力欲が刻み込まれてんのよ。他にも神に都合がいいように出来てる。これのどこが生物なのよ」
それは、そうか······。しかし、見事に人間中心の分け方だ。ま差別が残ってた時代にこんな分類が作られんだろう。
「ま、だから仮に私以外のふたなりに出会ったら容赦なく抹殺する事ね。別に私は何も思わないわ」
「そ、そう······」
「なんなら、ふたなりを間引いてもいいんじゃないかしら?」
「え······?」
自分の同種だよ?そんな簡単に······別にどうなろうが構ったことじゃ無かったわ······。
しかし、なんでまたこんな言い方をしたんだろう?
「なんでまたそんな事を?」
「ふたなりと女が居れば繁殖できるのよ」
「?」
「男の存在価値が無に等しくなって迫害、いや奴隷扱いされてるのよ。それでもって一部の男は富裕っていうだからおかしいわよね」
なるほど······完全にパワーバランスがおかしい性別だからこんな言い草なのか······。
「さて、次は技術の話を······あら、もうこんな時間なのね。行くわよ」
「嫌だぁぁ」
「私を守れるようになってね」
「うっ······」
そんな事言われたら嫌だなんて言えない。頑張るかぁ······多分今日も蹂躙されるんだろうなぁ。
「遅かったな」
「はぁあぁぁあ!!」
この布陣は······!!突く、蹴る、そして首を落として蹴って刺す。後は薙ぎ払って、とどめっ!!
「よし、ちゃんと覚えているようだな」
「まぁね······」
「この動きは今までの突きの集大成だ。マスターすれば突きのプロを名乗れる」
「へぇ〜」
突然切りかかり始めたのにびっくりした事だろう。これが出来ないと延々と訓練が終わらない。
「準備運動は済んだか?」
「まだだよ······」
「それはまずい、気が済むまでするといい」
「怪我するとまずいわよ」
準備運動できる状況を作らん大人組がなんか言ってる······。アキレス健を念入りに伸ばして······っと。
「よし、出来······っ!?」
「いかなる状況にも対応できるようにな?」
父さんの剣が首を捉えていた。ず、ずるい·······しかし、言っていることは正しいから何も言えない。
「わ、分かった」
「そうよっ!?」
「なんだって?」
「·······なんでもない」
イラッときたのでナイフを首の数cm横に投げたら拗ねてしまった。·······ちょっとやりすぎたかな?
「さて·······」
父さんの分身が地面を駆け巡っている。くっ、こんな動きどうやって読めt······眼前には青空が広がっていた。
「はっはっはっ、まだまだだなぁ!!」
「くっ、もう一回」
「いいぞ」
未来を、未来を見るんだ。0.1秒だけ未来を見るんだ!そうすれば打つべきラインが見えるはず!!
──始まった
父さんの分身は高速で移動こそしていたが同じ布陣だ。これなら·······やれる!!
──戻ってきた
「はぁぁあぁぁあ!!」
あの位置を突く!!そして、蹴って首を落とす!そのまま心臓を貫いて投げつけて、とどめぇっ!!
「はぁ、はぁ、はぁ······」
「な?そんなに難しくなかっただろ?」
「······そうだね」
「やっぱ天才、ね······」
本当にやった······?自分の体が信じられない。この速度にも対応出来るんだ······!!っっっっしゃぁぁぁぁぁぁあ!!
「じゃあ、次はランダムの動きをやってみようか」
「え······?」
「行くぞ」
その言葉が聞こえた瞬間、反射的に未来を見ていた。しかし、0.01秒の間ですら父さんの動きは捉えられなかった。
「諦めるか?」
「まさか······!!」
──始まった
父さんの動きは完全にランダムだ。不規則で予測ができない。だが······覚えるだけなら出来なくはない。
0.0009秒、終わる寸前父さんの分身が丁度円形に並んで突撃してきている。
──戻ってきた
「がはぁっ!!」
「どうした?そんなもんか?」
「なわけ······!!」
──始まった
父さんは相変わらずあらゆる方角にいる。この位置を覚えt······!?位置が、変わった······?
早すぎる。覚える時間がほぼないじゃないか!!そして、分身が円形に並んで突撃してきた。
──戻ってきた
「らぁぁぁあ!」
「ふん」
「かはぁっ!!」
まだ、まだ諦めないぞ······例え1000回やろうと絶対に掴んでやる。あと少し、もう少しで······!!
「かはぁっ!!」
「今日はもう遅い。次で、終わりにしよう」
「······そうだね」
今日一日ボコボコにされてようやく自分の頭の固さに気付いた。最初っから答えは出されてたんだ。
「ふん!!」
「はぁぁぁぁ!!」
分身の一撃が到来した瞬間、体は突きを放ち、流れるように体を蹴って首を落とし、突いて、投げ、とどめを刺した。
「突きの奥義、確かに伝えたぞ」
「······はははははは!あんた、最高よ!!はーっはっはっはっはっ!!」
「壊れた?」
「あんたはやっぱり鬼才だったわ!!」
そう言ってサリアはケタケタ笑いながら肩を掴んで揺らした。うっ、そんなに揺らされると······
「けほっ、ぐ、ばちゃごぼぼぼぉっ!!」
「ご、ごめん」
「それっ」
吐瀉物が全て消えた。父さんか······。何回見ても圧倒的な能力だ。この世の物理法則の支配······強すぎるよ。
「んしょっ!」
「サリア?別にそこまで······」
「病人は黙ってるのよ」
「······はい」
背中が規則的に揺れて眠くなる······。意外に女性らしい体つきしてるんだ······そういえb
「んあ······」
「起きた?」
明日、多分えっっっっっなシーン!




