代名詞
お待たせしました!!
「居たぞ!反逆者を捕えろ!!」
「ぬぅうんっ!」
「ぅう······こっ゛」
こちらに銃を向ける騎士に肉薄、脳をかき回した。周りの騎士達を薙ぎ払おうと振り返ると全員頭から上をなくし崩れ落ちていた。
白露は本当に仕事が早い。この間よりも早くなっている。白露は俺よりも遥かに強くなる······本当に待ち遠しい。
「さて、行きましょうか」
「あぁ······」
銃を避けながら街道を進む。こんな家屋だらけの場所であろうと教会は目立つ。白くてゴテゴテして······趣味が悪い事この上ない。
ここの銃は質がいい。外の物より貫通力も速度も早い。気を付けないと掠ってしまいそうだ。
「そうた······聞こえるか?おい、聞こえているのか?」
『ガガッ······ザー』
「何があった!?おい!」
『し······ガガッ······げきザー······先にガガガッ』
「おいっ!」
壊れたか······場所を伝える余裕もなく壊されたか。早く浄化しなければ······監獄塔に収容される重要犯、消させる訳にはいかない。
「主様、行きましょう。領主の放つ神気が消えた後に素早く浄化すれば助かる可能性はゼロではありません」
「あぁ······そうだな」
「主様、剣を······」
「あ、あぁ」
白露が剣を背負った瞬間、剣に魔力が籠もり蒼色に輝きだした。美s······なんだ?側面から衝撃g
「主様、この方が早いのでちょっと我慢してくださいね」
「ぐ·······」
「はい、着きました」
「ありがとう」
教会の門が破壊されている。白露の突進で破壊されたのだろう。領主の扉が目の前にある。白露から剣を受け取り、薙ぎ払った。
銀白の極光が家屋を、城壁を、擬人達を灼き払ってゆく。美しいッ!これが、これこそがあるべき世界だ。感涙が止まらないッ!!
「フル······」
「耳を塞げっ、いや!鼓膜を破」
「分かりました!文句言わないでくだ──」
声が聞こえない。無事に鼓膜を破れたようだ。剣一振りであれだけ傷つくということは他力本願の力である可能性が高い。
声を聞くなどという危険をわざわざ犯すわけにはいかない。だが、体を再生しようとしている今を逃すわけに……
「─────!!」
奴の周りの死体が動き出した。これ以上遅れればどうなるか分からない。一瞬で死体をすべて薙ぎ払い、進むっ!!
まずい、もう鼓膜が直りかけている……!!この体の便利なところがこんなところで邪魔を……!!切れども切れども死体が動く!!間に合わ
「──まぁ!!」
白露が俺を掴み、そのまま奴に向かって投げつけた。これなら死体を超えられるっ!!そしてこのまま首を貫くっ!!
「ぬぅぅんっ!!」
「さよなら」
奴の首に剣を突き立てた瞬間、脇腹に鋭い痛みが走った。だが、関係ない。こいつの首を落とすまではなんとしてもっ!!
「ご、ぉ······っ!!どういうつもりだ!!アネーモッ!!」
折れた鉄パイプが俺の脇腹を貫いていた。これだけの威力を出せるか······だが、アネーモがこんな真似をする意味が分からない。
「邪魔な上官を始末してくれて助かった。あなたには感謝しかない」
「ぐ、おぉ······っ!!貴様らッ!どういうつもりだっ!!」
「教えてあげますよ。俺の本当の名前は龍宮院陰月。あいつの名前はダリア・アネモネ。いい名前でしょう?」
名がアンテノールッ!!馬鹿なっ、こんな簡単な偽名に何故俺は気が付かなかっ……
「じゃあな」
「こぉ゛っ!」
意識が薄れていく······一定以上の負傷が出てしまうと仮死状態になってしまう。こんな所で副作用が出r······
「さ······い!こん······たし······たす······る!」
──少し前、脱獄王──
「ぁ゛ぁあぁぁぁあぁぁぁああ!!」
けたたましい目覚ましが頭に直接響く。起きるまで終わらない目覚まし······悪趣味この上ねぇ······。
「はぁ······はぁ······」
「さっさと起きろ。今日は視察、早く身支度を整えて差し上げろ」
「はいはい」
ノートが溜息を吐いて出ていった。1週間もすれば一々怒るのも疲れる。また視察、今週で何度目だよ。
「こちらとこちらの服、どちらが相応しいですか?」
「ごふぅっ」
「取り敢えず服を着てくださいアフェクション様ッ!!」
不用意に扉を開けてアフェクションの下着姿を拝みぶん殴られるのも何度目だよ······脳細胞なくなっちまう。
「それで······改めてどう思いますか?」
「視察だろ······?ならこっちだ」
「よく分かってますね」
フリッフリのドレスと革製の胸当てと脛当で覆われた動きやすそうな服なら後者だ。どう考えようとな。
「しかし!このような服貴方様には!!」
「ノート······あなたはもう少し実用性を重視しなさい。見栄にこだわりすぎです」
「······」
ノートが膝から崩れ落ちている。そこまで絶望するような事か?叱りの範疇にすら入ってないと思うんだがな。
「さ、着替えるので出てもらえますか?それとも私に犯されたいのですか?」
「それは困る······」
「あら······残念です」
こいつの発言は冗談か本気か分からん······たとえ女だろうとイチモツが付いてる奴に掘られるのは御免被りたい。
「さて、入っていいですよ」
次も一週間後です!




