罪悪感……ないが?
おまたせしました!次も一週間後です!
「おはようございます。主様」
「ん······ぅ。後······5分」
「早く起きないとお尻にいたずらしますよ」
「!?おはよう白露」
お尻の時点で飛び起きていた。冗談だろうがやられればフラッシュバックしかねない。
幸先が良くない······作戦の為に運を取っておいたと思う事にしよう。
「貴様ら!」
「撃てっ!」
「ぁ······がっ」
「はははっ!勝った、勝ったぞ!続k······」
騒いでいた奴隷が撃たれた。何も感問題ない。奴隷は街で生まれた男の場合が多い。
街で生まれた時点で加護を受けた人間。むしろ勝手に死んでくれて大いに助かる。
「が······ぁ」
「互いに背中合わせになり銃撃しろ。それなら危険は抑えられる。雑魚に構っている余裕はないのだ」
「あ······あぁ」
曲がり角から流れ込んできた教団兵をまとめて串刺しにし、壁に叩きつけた。
背中合わせになっている奴隷達の間に出来た道を進んでいく。ハイになった奴隷達が乱発し続けているおかげで手間が省ける。
「白露、体力をしっかり温存しておけよ」
「主様はいいんですか?」
「疲れを感じないから平気だ」
「駄目ですよ。ちゃんと休んでください」
腰に手を当てて怒る人間、存在していたのか······。冗談はさておき、無意識に疲労が蓄積するのは困るかもしれないない。
「いいですか、ちゃんと休むんですよ」
「はい」
「よろしい。行きますよ」
区長の部屋に進んでいく。殉神教徒も区長レベルであればそこまで強くない。一般兵に毛が生えた程度······弾は避けられない。
「撃てーーーーーっ!!」
ドア越しに銃が乱発される。小型魔力タンクの異様な香りが充満していて不愉快極まりない。
「······死んでいるな。行くぞ!!」
奴隷達が下品な音を立てて街に駆け上がっていく。街に出せば適当に暴れるだろう。
暴れさせれば領主も出てくるだろう······本当に勤勉ならの話だが。その時はその時だ。
「さて·······」
「追わないんですか?」
「あぁ······少し探したいものがあってな」
作業机をひっくり返し、タンスを荒らし、書類ファイルを放り投げ、端末を見る。
フェイルノートの行方·······この街にならあるかもしれない。末端にあまり期待はしていないが万が一はある。
「これは······」
「見つかりましたか?」
「いや······だがもっと面白そうな物が見つかった。呪具複製改造計画······遺物の研究だ」
「遺物の······?」
面白い······絶縁体のような素材と呪具を組み合わせる事で擬人にも使えるように、その上で遺物の性能を引き出す、か。
その上で遺物の量産を行う、と。材料の確保は上から行うのか。高次元エネルギーを食い尽くす生物でも居るのか?
「エリムサルエは諦めたようだが、カルウェナンは改造案がある。フェイルノートもな」
「フェイルノート?」
「実家に有った弓矢の遺物だ。あれは弓よりも矢に主眼が置かれている。呪具の材料サンプルもあるぞ」
鏃は遺物、しかしそれ以外は謎の素材······なんだこれは?今まで触れた覚えがないぞ。
「主様、いつも思ってたんですけど“これ”なんですか?」
「人工黒石だそうだ。これは独孤家の人間しか知らない」
「黒石って······あれですよね?かつて初代が打ち倒した|終わりを《》|報せる者《》ですよね?」
「あぁ······それをシュタット家が極秘に培養していたようだ。遺物も元は既成品。入手元はおそらくシュタット家の離反者だろう」
驚いている驚いている。耳に蛸ができるほど聞かされた話がここまで白露を驚かせられるなら儲けものだ。
エリムサルエやカルウェナンも改造出来ないだろうか?半生物のようになるのであれば是非やりt······国宝なのだ。抑えよう。
「面白い物が見れた。出るぞ」
「はいっ!」
気が付かなかったが部屋の中にエレベーターがある。出入り口を近くに用意する······実に合理的な作りだ。
ここの領主は頭が回······いや、これだけで判断するのは早計というもの。相手は適切に評価しなければならない。
「残念だったなぁ!!革命は失······」
「端から擬人程度に期待などしていない。領主はどこだ」
これみよがしに奴隷達の死体をバックに演説している女騎士の首をエリムサルエがへし折った。
「デリジェンス様のご加護を受けた我等、聖掛鍵騎士団はこの程度で屈しないのだっ!」
「······なるほど。だからどうしたぁっ!!」
首を元の位置に戻した女騎士の脳味噌を貫いた。こうすれば司令を送れなくなる。この程度で······人間は揺るがないッ!!
「白露、頼むっ!」
「はいっ!」
地面ごと打ち上げた騎士団を空中を駆け巡る白露が蹂躪していく。ある者は内臓が露出し、ある者は骨が肌を突き破っている。
見るも無残な姿だ······だが、どれだけ苦しくとも死ぬ事は出来ない。それが領主の加護なのだから。
「主様っ!」
「任された。地上のゴミよ······消え去れ!!」
声と共に跳躍、剣に魔力が籠められる。銀白に輝く剣を地面に広がるゴミに振るった。
銀白の極光が騎士団を跡形もなく消し去ってゆく。何度見ても美しい······この感動は永遠に消え去る事はない。
「ぐわぁぁぁあぁあ」
「あ、が······生きてる、俺は生き」
「生き残りか」
「かぁ゛っ」
罪悪感はない。屠殺に罪悪感を覚える人間も居るだろうが、敵国の家畜を殺す事に何か罪悪感はあるか?
気分は多少悪くなるだろうが仲間を守れると喜ぶ気持ちの方が大きいだろう。奴等は家畜。これはただの兵糧攻めだ。
カットはまだまだ先か……




