見る目のない方々
おまたせしました!
「割と簡単な部類ですよ?」
「そう、なのか······」
「家畜や天然物は嗜好品です。後は天気も気温も湿度も自由に変えられますね」
「聞いてはいたが本当だったのか······」
地下なら簡単かと思った事もある。だが、晴れを考えれば難しいのはすぐに分かった。地上と遜色ない晴れを作る······凄まじいな。
「後は餓死者も浮浪者も一人もいません」
「一人も······?」
「品質に差はあれど文化的な衣食住が保証されてますからね」
「そんな事が······?」
天国、という場所があるのなら間違いなくそういう場所だ。地上にそんなものをどうやって作り出し
「皆、腕時計のような機械を付けているんです。私は没収されてしまいましたが······」
「ふむふむ」
「その機械は仕事によって質は変われど何であろうと作り出してくれます」
「なに······」
人間が、俺達人間が、古の創世神にすら匹敵する力を手に入れている······しかも、それが当たり前にっ!はははははははは!!
「最近······そう最近は仮想空間での戦闘が流行りですね」
「ま、技術の向上は楽しいからな······本質が変わっていないようでよかった」
「昔は闘技場で生身戦闘をしてたみたいですけど······野蛮だからと禁止されましたね」
「強ければ強いほど、競争を求める······強いというのも考えものだな」
平和になった時、瓦解していかないか心配だ······俺が死ぬまでに瓦解することはないだろうが。
「いえ、平和にはなっても闘争は続きます。創生偽神は封印する方が都合がいいので」
「都合がいい?」
「首都で紅帝の禍時の亡骸を研究した結果、この世界に用意できる筐体は1つと判明しました。ので封印した方が都合がいいんです」
「なるほど」
闘争か終わらないなら心配しなくていいだろう。しかし、殺してもすぐに戻って来るとは趣味の悪い。
知らずに殺していれば大変な事になっていた。危ない危ない······いや、天上界に降臨しなければいいのか?
「雑談は終わりですね。帰ってきました」
「そうか······玉座でも作るか」
「いいですねぇ」
布団でそれっぽい雰囲気の玉座を作り、座った······目線が高いというのは悪くないな。
肘掛けと良い素材があれば中々気分があがりそうだ······権力を求める奴等の気持ちが少し分かった気がするな。
「遅かったな。物は?」
「こ、ここに······」
隕鉄剣、そしてエリムサルエが目の前に投げ出された。この男……!!まぁいい、どうせすぐに死ぬのだ。好きにさせてやろう。
マッチポンプとはいえ武器を己の手に取り戻すというのはなんとも言えない快感がある。
「けっけっけっけっ」
「何の真似だ?」
周りの人間が俺達にとりどりの武器を向けていた。なるほど……見る目のない人間に武器を与えるとこうなるのか。覚えておこう。
「これだけの武器、しかも最上質の魔導砲があるんだぜ?お前でも無事じゃあn」
「試してみるか?」
少し殺気を込めるだけで尻込みするようなら最初からやるなという話だが、武器に使われるような人間にいっても無駄か。
「ここで使えば騒ぎになりますよ」
「うるせぇ!従魔風z」
「なんだ……?今お前は何を言った?」
「ぁ……嗚呼……ぁあぁ」
男が尻餅を突いてへたり込み失禁している。やってしまった······汚い。だが、こういう奴等は徹底的に折らなければならない。
「ひっ·······」
「革命というだいそれた野暮を掲げているんだ。それだけの実力がある。いい加減理解しろ」
一番発言している30代くらいの男の首に剣を突きつける。後で綺麗にしなければ。
こんな所で体力を浪費したくない。決行は明日なのだから。区長程度でも偽装は3日が限界だろうからな。
「わ、分かった······」
「決行は明日。朝の労働に呼びに来た兵士を魔力砲で抹殺、そのまま区長室に飛び込む」
「その後は······?」
「街に繰り出す。殉神教徒共を抹殺する」
周りの奴隷共がざわつき始めた。まぁ、街に出てからはこいつらの生死は問題ない。
それまでの我慢だ。それまでおもりをすればここの領主に意匠返しが出来る······ふふふふふ、はははははは!!
「仮眠を取れ。さっさとな」
「は、ひ······」
男に布団を返し端で蹲った。視界が塞がれるのは落ち着く······日本人の因子か?
にしては保ち過ぎな気はするが。いや、そういえば初代様は日本人だったか。ならそういう習性もある、のか······?
「白露も寝ておけ。明日は決戦だ」
「はい······主様も寝てくださいね」
「寝れればな······」
「もう、ちゃんと寝るんですよ?」
子守唄······?なんと耳心地のいい事か。まぶたが重くなってくる。これなら······しっかr······寝れs
次も一週間後です!




