一番街領主ローティ
お待たせしました!!
「もう来たか、冷静に聞いてくれ、今から肉弾戦になる。準備は済ませたか?」
「はっ!」
済んでいるのか……まだ起きたばかりのはずなんだが。もしかすると脳の覚醒が早いタイプなのかもしれない。
近い……ここからでも忌々しい偽神の残り香を感じる。圧倒的な威圧感、全身が悲鳴を上げている。
「全力で頼む。近付くなよ?」
「はい、分かりました」
白露が大弓をどこからともなく取り出し、屋をつがえ放った。静電気を帯びる程のスピードで飛ぶ槍と見紛う程の矢が弾かれた。
真っ二つに切られた矢が瓦礫を砕き、爆発を引き起こした。少しは体力を削れていると嬉しいが……なんともないだろうな。
金髪ドリルロール……だが、それよりも気になるのは豪華なドレスに自然に付けてある豪華な銃器の数々。
「なーはっはっはっはっ!!派手な演出は嫌いでなくってよ。ご主人様のお帰りですわ!!」
「ぬぅぅんっ!!」
「剃刀なら間に合っていましてよ」
全力の刺突が防がれた?偽神に同じ能力を与える力は無かったはず。ターレンスに不干渉の能力を与えた以上······能力の副産物か?
だとしたらどんな能力だ?反射か?それとも風を操ったのか……まだ現状何も分からない。
「まさかそんななまくらで暗殺を?無駄ですわ!!所詮、劣等種に魔物……浅はかですわ」
「チッ」
鉛玉がこちらに飛んで来た……ガトリングか。だが!その程度の当たる······掠った?こんな化石兵器程度に?
向かってくる弾丸を貫き、いなし、徐々に近付いていく。突きでないと間に合わない?どれが奴の能力なんだ······!!
「はぁっ!!」
「無駄無駄無駄ァ!!効きませんのよ!!」
「ぎゃぁあぁぁ!!」
白露がソニックブームと共に背後から奴を殴りつけた瞬間奴が三日月のように嗤った。
発砲音が辺りに響き渡り、白露の腹に杭型の爆弾が突き刺さり、風穴を開けた。
「はぁ……はぁ」
「流石は魔獣、再生能力持ちでしたの?」
「ぬぅぅぅんっ!!」
「おっと」
奴の脳髄に向かって突きを放ちいなされた勢いのまま首付近を薙ぎ払ったが、浅いっ!!
白露に開いた風穴が塞がっていく。致命傷にはならずに済んだ。首の皮一枚繋がったってところか。
「ふぅーっ……失礼な、人間ですよ」
「はははははははは!!人間ですって?寝言は寝て言えという諺を存じないようですわね」
奴の手が上がったと同時にスリムな人型の機械多くが降りてきた。登場しざまに薙ぎ払ってきた機械天使の剣を巻き落とす、前に白露機械天使を蹴りあげた。
「チッ、上手い連携だ」
「この程度、すぐに補充が効きますのよ」
新規の機械天使を人形が薙ぎ払った。遅い······いや、早いのかもしれない。結構な距離だったからな。
『遅くなりました』
「もっと無茶をしても良かったんだぞ?」
『手厳しい······善処します』
傀儡は傀儡に任せ目の前のローティーに向き直る。走ってガトリング弾を避けつつ、奴ににじり寄る。
攻撃は効かない、相手には補給線もある。ジリ······本当に効かないのか?分からないだけではないのか?
「ふんっ!」
「小細工を、全て消え去りなさいっ!!」
踵落としが地面ごと奴を盛り上げた。その左右に浮遊してい残骸を足場に、交差しながら奴に接近する。
「!?どこから来ましたのッ!」
「白露······!!」
「頼みますっ!!」
白露の足に蹴り上げられたと同時に足を通して魔力が剣に送られてくる。刹那、銀白の極光が眼前に瞬いた。無傷······いや、違う!!
「アネーモ!」
『了解』
「·······なーはっはっはっはっ!とんだ見掛け倒しの技ですわね!!」
人形が落ちている白露をフルスイング、打球と化した白露がローティーのドレスに付いていた林檎の肩飾りを肩ごとぶち抜いた。
「私の体に傷······?女神の様に約束された永遠の肉体に傷──?」
ローティーから神気に似たような気配が漂い始めた。まさか……やらせるわけにはいかない!!これ以上強くなられてたまるか!!
「白露!!」
「はい!!」
白露と交差し位置を入れ替えながら、背後と正面からローティーに肉薄した瞬間、圧倒的なエネルギーに吹き飛ばされた。
「フル・バーストッ!!」
奴の体が白く輝き始め、翠の線が血管のように浮き出て、輝く白光が頭上と背後に集まり光輪になった。体には翠の血管だけが残った。
フル・バースト······殉神教徒の上位層が使う能力、肉体を高次元に引き上げる技……聞いた通りだ。ようやく戦いが始まった。
「主様、これを······」
「······ようやく取り返した」
金色に輝いているが興味はない。興味があるのは力の物質化のみだ。一体何をすれば絶対障壁がこんな肩飾りになる?
「ようやく本領発揮d······?」
「何、これ······?」
白露にも障壁······どういう事だ?これは独孤家のみに適応した力のはず。考えるのは後だ。まずはローティーに集中しなければ。
「よくも、私の体に傷を······」
次も一週間後です。




