趣味
騎士団が起き上がり得物を持って肉薄してきた。銃で対処不可能と悟ったのだろう。
肉薄してきた擬人の剣をいなしそのまま腹を突き上から迫ってきた擬人に投げつける。
死体に引っ掛かった擬人を白露が捉え、脳味噌を取り出した。いい判断だ······。
「死ね·······」
「ぬぅぅうんっ!!」
「光、あれ······」
こちらに向かってきた擬人の脇腹を切り裂き、勢いで反対の擬人の首を撥ね、手を返して前の擬人を纏めて貫いた。
「流石主様ッ!」
「こいつらが弱いだけだ」
「聖光滅魔閃」
「ふん!」
大仰な名前の割にやっていることは単純。集団の魔力を集めて放つ······それだけだ。魔獣相手にしか当たらない。
「このスピードを避けたッ!?」
「はぁあっ!!」
「ぎ······」
この程度で驚いている擬人を白露の足が貫いた。一気に8人······便利なものだな。安定感もありそうで羨ましい。
「素晴らしいな」
「ありがとうございます!」
「に、逃げろッ!!撤退、撤退だッ!!」
「忠義の街が聞いて呆れる······」
街の人間もそうだ。あのガキを守ろうとしなかった。これが忠義の街だというのだから笑えてくる。
「あぁ······そうだ。面白い事を思い付いた」
「何をするんですか?」
「ちょっと忠誠を試そうと思ってな······教会に行くぞ」
「······?はい」
街の中心には必ず教会があり、そこでは住民に集会の知らせを放送されたりする。
悪趣味この上ないが、それを利用すれば面白いことが出来る·······楽しみだなぁ。
「来たぞ!撃て、撃てーーっ!!」
「そんなん当たりませんよ」
「ぁ、がっ」
教会の前で銃を乱発していた騎士団を家屋が両側から押し潰した。白露の倒し方は派手で見ていて飽きない。
切りかかってきた生き残りの脳味噌を貫く。気持ちよく鑑賞していたというのに邪魔をするな······!!
「道を開けろ」
「さ、させるかっ!!」
「邪魔です」
「ぐ、ぅうっ!!」
白露が立ち向かってきた騎士を八つ裂きにした。誇張ではない······本当に八つ裂きになったのだ。
「さ、行きましょう」
「あぁ······」
「これ以上近付く事は許しませ······」
「なんだって?」
教会の最上階に放送機材があるはずだ。邪魔な教会内に居た一般信者の腹を刺し剣を頭まで振りぬいた。
独孤流突きは本来ここまでやらなくてはいけない。面倒故に略していたが今はそうする必要もないだろう。
「ここから先は通さない。邪悪な者よ、去りなさい!」
「去るつもりはないが?」
「だまりなさ·······」
「永遠に······だまりなさい」
白露の口の中には心臓があった。随分素早く取り出したな······一度にこれだけ栄養を摂って大丈夫なのか?
「あった」
見つけたはいいが······どうすればいい?この分かりやすいボタンを適当に押すのか?今まで機械を弄っておけば……。
「聞こえているか?」
「バッチリです」
「分かった、ここに、お前達の中で熱心な信徒の死体を持ってきた人間には報奨金を出そう。その額面はどれだけ女神に貢献したかで決まる。励め」
こんなものだろうか······ん?白露の顔が引いている······あぁ、なるほど。本気だと思っているのか。
「嘘に決まっているだろう?まぁ、待ちはするがな」
「嘘なら何故待つんですか?」
「生きられる!と思った擬人が殺された時にどんな顔をするのか見たいだろう?」
「なるほど······聞こえましたか?」
どういうことだろうか?先程、擬人に聞こえていると聞いたばかりなのに。いや、質問をしている?一体誰に……?
イアーピース······あぁ、あの二人か。確かにこんな放送があれば困惑するか。危なかった。昔も報連相を疎かにした為に世界が滅びたらしい。
『我々は脱町者を引き続き狩ります』
「あぁ······それでいい」
『行くぞ』
『うーい』
おまたせしました!次も一週間後に投稿します!




