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これだけか……


「な、なんだこれは」

「誰がこんな事をしたの!?」

「落ち着け······全て俺がやった事だ」


 思った通り怪訝な顔が目に入った。当然だろう。怪しげなコートを着た人間が荒唐無稽な話をしているのだから。


「見せた方が早いようだな」


 ざわめいている元囚人たちの前で監獄塔の残骸を薙ぎ払い全て蒸発させた。残虐の象徴として残す事すら贅沢だ。いい気味だ。


「!?!?」

「ほ、本当に!?」

「俺は殉神教徒を全員抹殺する。来たくないものは逃げ出してかまわん。だが、復讐したいと願う者がいるなら俺と共に来るがいい」


 先程までの喧騒が嘘かのように静まり返っている。何人残るか······?一人か?二人か?

 いずれにせよ数人しか残らないだろう。奴等の中に異様な能力者が居るのだから。

 監獄塔を破壊した助っ人が居るとて、それを相手どれるかと言えば、無理だ。

 一人、また一人と立ち去っていく。俺は命を散らさせたいわけではない。だから、それでいい。


「お前達は······残るのか?」

「はい、是非お手伝いさせて頂きたく······」

「同じく、共に手伝わせてもらいます」

「そうか······名と能力を述べろ」


 二人の男女が残っていた。この先弱い人間は死ぬ。無駄に命を散らせたい訳ではない。戦えるか気になるのだ。


「私はダリア・アネーモ。無機物を自由に動かせます」

「俺はノール・アンテー。精神を錯乱させることが出来ます」


 相補的な組み合わせ······素晴らしい。錯乱という面でも申し分ない。最低限の自衛をさせても問題無いだろう。


「良き働きを期待している」

「「はっ!」」

「水の確保は急務、、井戸を作れ」

「はっ!」


 無機物の操作、どの程度の物なのか、見せてもらおうか。この程度簡単にやってもらわなければ。


「······!動け」

「ほぉ······」


 地面が井戸の枠を組み上げてゆく。これだけの動きを制約なしに······素晴らしい。

 この能力があれば殉神教徒(ゴミ)を抹殺できる······。人類の解放と復讐をようやく始める事ができる。


「ふふふふふ、はーっはっはっはっはっ!!」

「ど、どうしたんですか主様!?」

「ようやく始まるのだ、笑わずにいられるものか······何か重大な事を言わなかったか?」

「いやですね〜、空耳ですよ」


 この体は未だに実験に恐怖していると。治療の為にも早く抹殺しなければ······それ以外に平穏をもたらす道はない。


「完成しました」

「ご苦労。白露よ、体を洗っておけ。そのままでは一傷が致命傷になりかねないだろう」

「はい、ありがとうございます」


 これならばアネーモも納得するだろう。無論その為の勧めだ。だが、白露の姿を見たいのも紛れもない事実ではある。


「ん〜······久しぶりに綺麗になりました。ありがとうございます」

「気にするな。お前は計画に於いて重要な役割を持っている。気にかけるのは当然よ」

「それでも、ありがとうございます」


 美しい銀白色の柔らかな毛、幼さの残る完璧な顔の造形、美しい······。だが、美しいだけに痩せた体の痛々しさが目立つ。


「心臓は全て白露に食させる。これは決定事項だ······いいな?」

「何の異存もありません」

「食べたくないのでどうぞという感じです」 


 アネーモは真面目、アンテーはどちらかといえば軽い人間なのだろう。その違いが作法と内容から察せる。

 懐かしい。俺も昔はアンテーのような時期が有った。もう戻る事はないだろうが······。



「いいんですか······主様?」

「気にするな、お前のポテンシャルが最も高いのだk······主様?」

「はい、指示にしたがうんですから特におかしくありませんよね?主様♪」

「そうだな······好きに呼ぶがいい」


 白露は計画の要になる、それでモチベーションが保たれるなら呼び名は問題ではない。

 俺にはこんな眩しい笑顔を向けられては無碍にする事は出来ない······。


「これからどういたしまょう」

「白露に人形を作らせ、それをアネーモが操作し、通り魔事件を起こす。治安の問題上奴等は出てこざるを得ない」

「なるほど!さすが主様!!」

「そこでアンテーの錯乱を利用し部隊の隊員を抹殺。さらなる混乱を起こし、粛清に出てきた司教を俺と白露で抹殺する」


 ここで重要なのはいかにして殉神教徒を街から出さないかだ。だが、ここは忠義の街司教を捨て逃げる人間などいない。

 それでも万が一ということがある一人も見逃す事はできない。例えどれだけ可能性が僅かであったとしてもだ。


「この作戦上お前達二人は騒動を起こすのに手一杯になる。その間街の人間が事件を恐れて脱出する可能性は否定できない」

「そうなります」

「そこで俺と白露は地下に潜る。白露の糸を使い脱走する人間は発見次第殺す」

「承りました」

「了解」


 この作戦が成功すればこの世界を蝕む寄生虫が減る······人類の復権、なんとしても成し遂げなけれならない。

次も多分三日後です!

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