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一体、何があった!?(代弁)

3日後になるといったな。あれは嘘だ。

「ここの年号は大事よ?しっかり聞きなさい」

「はい」

「西暦2021年4月この世界と異世界を繋ぐ扉が現れ、様々な生物、物が流入した。ま、ここは常識よね」


 桃色の髪をポニーテールにした気の強そうな女性が板書を背に仁王立ちしている。語っている内容はこの世界の常識だ。


「同年8月この世界の人間に特殊能力や魔法が使えるようになった。俗に言う異能革命ってやつよ」

「何故そんな事があったんですか〜?」

「知らないわよ。世界を繋げた奴が面白がってやったんじゃないかしら」


 また適当な……教師の言うセリフではない。まぁ、仕方ないっちゃ仕方ない。彼女の服装はメイド服、本来教えるような立場じゃ……ないよね?


「写したかしら?写してなくても消すわよ」

「じゃあなんで聞いたの……」

「西暦2138年二人の人間と一匹の魔物、一人の半魔、そして一柱の神によりFlügel schlagen朝が成立、異世界側に君臨したわ」


 祖父母の生まれた亡国の名前だ。確かに読むだけなら響きはそれなりにいい……でも読む事を全く考えてない名称だ。


「なぜそんな分かりにくい名前なの……」

「知らないわよ」


 無責任すぎる……こんな程度の情報で歴史を完璧に暗記する事を要求してくる問題を出してくるという鬼畜。それが彼女、サリアだ。


「寝るんじゃないわよ!」

「んあ!?」


 独孤彼方(どくこかなた)、何度も聞いた自分の名前だ。珍しいと思っていた事もあるが先祖に同音の人間が多くて平凡な名前だ。


「彼方は男の子なんだから常識勉強しないと生きていけないよ?」

「うっ、そうは言っても疲れが······」


 有沙かわいい。肩まで伸びる蒼髪、同年代と比べれば膨らんでいるだろう胸、そして紺色のタレ目······いつ見ても素晴らしい。


「へぇ〜、疲れてると?私もやってるんだけど?」

「ほ、ほら10歳と20歳では体力がね······?」

「20代ならそんなに体力変わらないと思うけど〜?」

「ほ、ほら授業しようよ」


 退屈だったから寝てたんじゃない。そう、今くらいの時間帯は眠くなるから仕方ないのだ。


「睡眠学習ばっちりの彼方君には特別な問題を出してあげるわ」

「わー、うれしーなー」

「答えてもらうわよ。Flügel schlagen朝を建てた4人を」

「サリアさん大人気ないって······。独孤奏多、ηκπ、エデクト・B・トーラー、μηπ、でしょ」


 何故か認識不可能の名前が2つある。この世界の法則に反しているのか、それとも自分の体が悪いのか、それは分からない。


「けっ、なんで正解するのよ」

「ふふん」

「なら、訓練で分からせてやるわ」


 痛い痛い痛い、髪掴まないで!膝剥けるから、訓練の前に怪我するって!!ぎゃぁぁぁぁぁあ!!


「ぎゃーーー、有沙助けて」

「頑張ってね」

「味方いなかった〜」


 連れて行かれた先はくたびれた案山子の立っている円形の庭。いつもの場所だ。

 その中心に異様に立つガタイのいい男は······独孤壮ニ、父さんだ。安心感すら感じるいつも通りの光景だ。


「お、来たな、彼方」

「父さん、攻撃しながら話すのやめない?」

「やめないぞ。外にうっかり出た時はこれくらいできないと死んでしまうからな」

「サリア助けて」

「これくらい出来ないと売られるわよ」


 ここは天上界の辺境で、外界からは隔絶されている。町中では男はカモにされてしまうらしい······特にふたなりに。


「さて、いつも通り案山子を突いてみろ」

「ふぅ·······ふんっ!!」


 案山子の鎧を木刀が貫いた。中々いい感じではないだろうか?速さも申し分ないn


「まだまだだな。切り口が甘い」

「速さも無いわね」

「ぐぐっ」

「さて、やるわよ」


 サリアが軽く構えて目の前に立ちふさがった。メイド服が風ではためいている······またか。負けず嫌いにも程がある。


「はっ!!」

「サリアの負けだ」

「くっ!」


 サリアの首に木刀を突きつけた。サリアの方が速いし力も強い。それでも勝つのは俺が未来を見ているからだ。

 25秒、一日に25秒で未来が見える。たとえ短くともカンニングが出来る。なら勝てるに決まってる。


「よし、次は俺だな」

「えぇ〜」

「······行くぞ」


 ──未来が始まる


「はぁあ!!」

「ぐはぁっ!」


 父さんが分身し8方向から攻撃してきた。なすすべもなく自分が倒れている。


 ──戻ってきた


「はぁあ!!」

「っ!!」


 青空が見える。避けたはず、避けたはずなのに今、目の前には青空が広がっている。一体どうなってるんだ。


「当たるだろ?」

「どうやったの······」

「ゆっくりやるから見てくれ」


 父さんが分身し、ある者は飛び、ある者は背後に、本当にあらゆる角度から突きを放った。


「どうだ、これなら避けられないだろ?」

「なるほどね」

「突きの動きは一つじゃない。どんな方向からでも通用する。それが突きの深さだ。それに······」


 父さんが突然回し蹴りの動作を始め······え?なんで!?ちょ待って待って待って!!当たる寸前で止めた。び、びっくりした。


「せっかくこの足の因子を受け継いでるんだ。使わないともったいないぞ?」

「わ、分かった」

「集団と戦う時もあるだろう。そんな時どうするのか見せよう」


 父さんが指を鳴らすと同時に案山子が増殖、そしてジグザグに並んだ。

 瞬間、父さんが一番手前の案山子に一撃、その案山子を蹴り剣を抜き次の案山子の首を落とす。

 そして、その胴体を蹴り次の案山子をひと突きその案山子をもう一つの案山子に投げ、止めに胸を突き刺した。


「こうすれば大人数だろうと倒せるだろ?」

「な、なるほど?」

「これを素早くやるんだ。やってみろ」

「う、うん」


 案山子に向かって刺突。そして、剣を抜いて、首を薙ぎ払う。そのままくっ、体勢が整わない······蹴るか。


「ふんっ!!」

「な······」

「ほぉ」


 別の案山子に向かって蹴り、命中の瞬間まとめて突き刺した。同時に剣を縦に振るって最後の案山子に投げ最速の突きを放った。


「ふぅ······」

「臨機応変に対応するとはな」

「すごいでしょ?」

「なら次は動いてる相手にやろうか?」



2日に一回くらいのペースになるかもしれないし、3日に一回になる可能性もある。気分次第ですね。

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