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どこまで人を馬鹿にするッ

前回のあらすじ

いつもの


『グギガグルゲェェェェェェェェ!!』


 相変わらず最低な目覚ましだ。矯正帯も首だけだったのが腕にも着いてる。より動きにくい·······。


「グギュルゲガガガガガ!!」


 よりによって巨大獣か······。やってやろうじゃないか。ドカンと一発!汚い花火をうちあげてやるよ!!


「来いよ」


 ──始まった


「グギョルォォオォォォオ!!」


 巨大獣が足を地面に叩きつけた。2秒といったところか。このスピードなら間に合う。腱でも破壊するか。

 ──戻ってきた


「グギョルォォオォォォオ!!」

「浅いっ!」


 足を避け腱に突きを放った。くっ、威力が落ちてる。だが、こんなところで死ぬ訳にはいかない!


「グルォォオォォォォオ!」

「っ!危なっ!!」


 打ち付けられた拳を躱してその上を進み目に突きを放った。やっぱり浅いっ!だが······


「グル!ォォォオォォォォオォオ!」

「馬鹿め······おらぁっ!!」


 殴りかかってきた腕が目に当たった隙にかかと落としで腕を切り落とした。よし、脚の筋肉は動く。


「ギルォォォオォォォオ!!」

「はぁ!」

「ギィィイィィィィィイィィィイ!!」


 今度は脚を切り落とした。父さんの言うとおりだ。脚を使わないなんてもったいない事この上ない。


「打ち上がれ!!」

「グゲェ!!」


 巨大獣の腹を渾身の力で蹴り上げ、腕に食らいつく、ゲロマズい。そうこうしていると巨大獣が打ち上がって砕け散った。


「おぉ、派手にやったな」

「はぁ······はぁ······遅い······爆弾は······?」

「ちゃんと作ってあるぞ」

「助かる······モノは?」


 謎の男子の体を眺めても爆弾がありそうな気配はない。小さくしてるにしても一体どこに隠してるんだ?


「ちょっと我慢しろよ」

「え、あ、うん。いぎっ!!」


 歯を折られ、そこに何かが埋め込まれた。変な感じにはえてた歯だからまだいいけど痛い。いきなり何を······


「そこに嵌めたのが爆弾だ」

「え······?」

「壁に叩きつけたりしたら発動する。会心の出来だ。だが······相変わらず制御装置が完成しないんだ」

「そっか······」


 歯に偽装か······古典的だけど悪くはない。脱獄出来ないのは残念だけど、謎の男子の情報なくして出られないし、仕方ない。


「で、制御装置には何が必要なの?」

「獣の体の一部が使えるかもしれない」

「こいつは?」


 落ちてきた巨大獣を指さした。頭は比較的状態がいいと思う。他は······知らん。何も見てないし。


「損傷が激しすぎるな。だが、この仮面は役に立ちそうだ。受け取っておこう」

「それは何より。さて、今日も軽く生き残るとしましょうか」

「あぁ、そうだな」


 ──始まった


「後ろっ!」

「なっ!ぐぁぁあぁぁぁあ!!」

「べきっ、がごぉっ、ぐちゃぁ」


 後ろに腕が4本生えている魔獣が表れ、謎の男子を食い殺している。多腕種······?しかし何故亜人が。


 ──戻ってきた


 叫んで間に合う時間じゃない!なら蹴るしかない!この一瞬に全ての体力を消耗するレベルでいい!動け!!


「はぁあぁぁあ!」

「ゴギルルル······」

「!?!?······助かった」

「早く逃げろ!」


 こいつ、蹴りをガードした······!!矯正帯を着けながら勝てる相手じゃない!謎の男子を守りながら戦えるのか······?


極小化(ミニマイズ)

「ゴル、ルゲゲゴ、ゴゲ······」


 謎の男子の一声で魔獣が縮み、やがて燃え尽きた。確か、大きな生物が小さくなると燃費の消費に耐えられずに燃えるとか······。

 そんな現象を直感的に見抜いて、この一瞬でそれをやってのけるとは······天才か?


「解除。保存ってのはこうするんだ」

「そ、そっか······」

「明日また会おうぜ」

「うん」


 地面が下がっていく。思ったより早く脱獄出来るかもしれない。これ······エレベーターじゃない。どうやって動いてるんだ?


「来い!」

「うぐっ!」


 毎日連れてかれてない?他にも奴隷は沢山いるんだからたまには別の奴隷選べよ······それこそもっと女らしいの居るだろ。


 ──自主規制──


 体が動か······ない。こいつ、何をした。意識が朦朧として······睡眠薬でも盛ったの······か?いつ、どのタ······


「達人には向かない。憶えているか?」

「ぉ·····前は」

「驚いたか?脱獄王と居合わせるとはつくづく悪運の強い事だ······」

「し······ね」


 こいつ······は、ま······た奪ってい······くつも······させ······るか。この距······離なら殺······れる。


「その執念、凄まじい······私の奴隷にしたいくらいだ。しかし、お前はヴィクトリア様の贄となる身······残念だ」

「う、ぉお」

「私は声も誤魔化せる。ちゅっ······」

「ば······かに······」

次もカットシーンがありますよ

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