さらなる絶望
前回のあらすじ
つかまった
「起きろ!仕事の時間だ!!」
「うぐっ」
鞭で叩き起こされた。良かった······背中じゃなかった。せめて藁のベッド欲しい。
「さっさと働けぇ!!」
「ぎゃあ!」
悲鳴をあげてはみたが鞭の痛みに慣れてきたのか最近痛みが無くなってきた。新品のハンドルは木片落ちないな······。
「遅い!」
「ぁがっ!!」
あ······ハンドルに罅が入った。でも木片集まるしいいや。むしろラッキーだったかもしれない。
「貴様ら!飯の時間だ!!」
そそくさと食堂に向かって一人で鯖缶と麦を喰らう。奴隷達の目に光は無かった。ああはなりたくない。
「嫌だっ、あそこだけは嫌だぁぁあ!!」
「黙れ!貴様の性根は煉獄でしか直せん!!」
「嫌だっ、誰か、誰かぁぁあぁぁぁあ!!」
煉獄······確か殉神教以前の宗教での死後の世界だっけ?主に悪戯レベルを裁く場所だった、よね?
「仕事に戻れぇっ!!」
そそくさと仕事場に戻って木片を集める。さっきの罅がいい感じに木片を落としていく。
「貴様ぁっ!休むなぁっ!!」
「あ、がぁっ!」
また鞭か······もう痛みは感じない。背中に傷が残るのは嫌だけど仕方ない。どうせ明日でさよならだしね。
「仕事はおわりだ、戻れっ!!」
そそくさと牢屋に戻って人形をつくる。よし、いい感じにできたんじゃない?これなら看守も騙せる。寝よ寝よ。
「起きろ!仕事だぁ!!」
「がっ!!」
今日も今日とてハンドルを回す。目的は分からないけど、良からぬ事に違いない。こんな事は明日で終わりだ。
「飯だ!さっさと食えっ!!」
「お······」
そそくさと食堂に行き例の男子を探す。どこかな?お、居た居た。鯖缶美味しそうに食べるなぁ。
「······出来たか?」
「手元にある」
「でかした。少し借りるぞ」
謎の男子が眼帯を外して人形をじっと見つめ、そしてこちらに手渡してきた。え?これで終わり?
「夜中、サイズが入れ変わる。しっかり起きてろよ?」
「了解」
「飯の時間は終わりだっ!!」
ハンドルを回して牢屋に戻る。いよいよ今日だ。なんだ?部屋がどんどん大きくなっていく。
「驚いたか?」
「おわっ、したよ」
「行くぞ。この、排水口からな」
「なるほど!」
排水口を進んでいく。脇にしっかりスペースがあるのは助かる。ザル警備が仇になったな。ざまぁ!
「よし、出口だ!!」
「しゃあ!」
出口に向かって走っていく。これで、こんな退屈な所とはおさらばだぁっ!!くははは!はーっはっはっはっはっ!!
「こ、ここは······!?」
さっきまで隣に居たはずの男子も居なくなっている。光景も外ではない。鉄の部屋のようなものだ。
「また男か······」
「チッ!」
監獄······馬鹿な。脱獄したはずだ。なのに何故、まさか反抗的な奴隷をあぶり出すためのあのガバガバ警備······!!やられたっ!!
「新入り、来い!」
「うぐっ」
連れて行かれた先にはふたなり。あの匂いがする。あの時のあの匂いが······!!ま、まさか······
──自主規制──
相手がスッキリしたのと同時に牢屋にぶち込まれた。なるほど······ここが煉獄か。
確かにこんな所には打ち込まれたくはないな。だが、こんな所早々に脱獄してくれる。
「ん······?かはっ!!」
「それは矯正帯、せいぜい長生きするんだな!!あーっははははははは!!」
長生き?装着された時こそ怖気づいた、が特にえ······動きが、鈍い!?これで作業か······取り敢えず寝よう。
次もカットシーンあると思います。