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過去断ち

お待たせしました


「はぁ……はぁ……許さぬ、許さぬぞ……!!この妾が……妾がこのように醜き姿を晒す事になるとはな……」

「随分相応しい姿になったじゃないか。擬人共の祈りが無ければ生きていけない下等生物にはお似合いだ」


 まだ生きてやがったか!しつこい!!あれを食らって生きてるのは駄目だろ!生物としてさ!!いや、これは元々ダメだったか。

 擬人の肉塊切断面を無理矢理癒着して、肉塊で脊髄と神経を接続しているのか?他にも補助関節のような役割も果たしているのか。

 先程までのような他と隔絶したような存在感はまるで感じられない。だが、果てしない生への執着を感じる。決して油断できない。


「新たな器を一から作り直さねばならぬではないか……よくも、よくもやったな!!このプロジェクトにどれだけの年月が掛かったと思う?それが、それが貴様らのような低次元の下等生物共がお釈迦にしやがってッ!!私の恨み、思い知れぇぇぇぇえ!!」

「どれだけ時間が掛かったか?それは私達の台詞だ。私達の結婚式をぶち壊しておいてよく言うな」

「黙れ下等生物!お前らと私を同じ土俵に挙げるなっ!!私達は生命の到達点ッ!究極の生命体ッ!神へ至る唯一の存在ッ!」

「それがどうした?本気でかかってこい。さっきから一撃も当たっていないぞ」


 肉塊を変形させた多彩な攻撃、そのどれも遅い……機動力を補う為に4足になっているのだろうが、当たらない。


「なんで当たらないっ!クソっ!クソぉぉぉぉぉぉぉお!!」

「そこっ」

「ぐぉぉぉぉぉ!!ぐっ!ぬぅっ……!!まだ、まだ私はやれ──」

「これで終いだ。永遠に消えろ」


 白露に横っ腹を貫かれ、よろけた偽神を一突きし、打ち上げる。空中で錐揉み状に回転する奴に白露が追い打ちをかける。

 空中に留まり続ける奴に追い打ちを掛け、白露が裏側から追い打ちを掛け、その裏側から追い打ちをかける。


「ぁ……ぅぁ……」

「しつこい!死ね!!」

「っかはァッ!」


 偽神に組み付き、頭に剣を突き立てる。このまま位置エネルギーを使ってぶち殺すッ!絶対に生かしておくものかっ!!


「ぃ……ぃゃ……死……」

「このッ!いい加減死ねぇぇぇぇ!!」

「死……ぁ……か……」


 肉塊と手で脳を貫かれるを防ぎやがった!物凄い力で刃を握られていて動かせない。こんな空中では体重もろくにかけられない!


「ぐぅっ!!まだ死なないかっ!」

「ぁ……ぇ……ぁ」

「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


 地面に到達した。したのに!刺さり切らないッ!もう頭蓋には到達しているっ!あと数cm、数cm差し込めばこいつは死ぬのにッ!

 はっ……!!見える。未来が見えるッ!なるほど、そうか……そうか……勝った!このまま続ける!!


「ぅ、ぁぁ……死……ぅ……」

「3、2、1……」


 来たっ!ここだっ!このタイミングで3メートル右に避ければ直後に白露の一撃が刺さった剣に当たる!!


「さすが主様!タイミングバッチリです、ねっ!!」

「ァァァァァァァァァァァァア」

「固っっっ!」


 固すぎてまともに刃が走らない!突き立てられた剣にありったけの魔力を注ぎ込んでいるのに!!


「今行きます!」


 剣を握る手にふわりとした感触……何度も触った白露の手だ。視線を上げると、白露と目が合った。優しく頷いている。

 優しい魔力だ。この魔力が致命傷になるんだ。偽神はまともな生物じゃない。ここで、消さなければならない。


「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」

「こん……こんな……」

「「どりゃぁぁぁぁぁぁ!!」」

「ァァァアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛──わた──まだ──」


 終わった……断末魔も、偽神の肉体も、何もかもを銀光が灼いていく。全部全部、片付いた。

 今こそ、やるべきことがある。過去を断ち切り、未来を見れるようになった今こそ、やらなければならないことが。


次、最終回です

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