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降臨

お待たせしました


「まさか……そんな……そんな筈がない!こんな事があってたまるか……!!」

「さぁ世界……祝え。妾の降臨を」

「ぁ……ぁぁ……」


 復活した……偽神ヴィクトリアが……復活した。か、勝てない……こ、こんな化け物に隻腕で勝てるわけがない。

 領主達なんてこいつにとって文字通り人形でしかなかったんだ……こんな圧倒的な化け物……戦いになるのか?


「不遜な……妾を見下ろす建物などあってはならぬ。己の分を弁えよ」


 建物が……まるで平伏するみたいに曲がった……今までの領主達とは根本から違う。次元が違う……。


「主様……私の目をよく見てください」

「う、うん」

「主様は私が居ないと何もできません。確かにかなり体は他の人より丈夫ですけどそれだけです。大したことありません」

「お、おん」


 急な悪口……何故?確かな事実だが、何故こんなタイミングでそんな事実を陳列した?


「でも大丈夫です。私が隣に居ますから。なんだって出来ます。相手が何だろうと関係ありません。だから、大丈夫です」

「そうだ……確かにいつもと何も変わらない。何を怖がってたんだか。元凶が目の前に出て来たんだ。ぶっ潰すよ!!」

「元気になりましたね。私達の結婚式を台無しにしたんです。ぶっ潰しますよ!」


 体の底から気力が湧いてくる。奴はこちらに気付いていない。というより、何も気にしていない。気にする必要もないんだろう。


「しかし、妾への供物が見当たらぬの。よく見れば妾の神殿でもないのぉ……不遜である。世界の全ては妾の為にあらねばならぬ」


 瓦礫の裏に隠れて、白露の糸でローマ字を筆記体を作り、不意打ちの相談を……地形をいちいち変えるな!している。


「ふむ……この地の記憶を見せよ。妾に思考などという手間を取らせるな」

「……うん!」

「……んっ!」

「妾の前に立つならばそれなりの態度というものがあろう。まして人形風情が妾の前で直立しようなどと……万死に値する」


 今までの様子を見て奴は目前以外注意を向けない事が分かった。だから眼前に人形を置いた。糸人形はそう簡単に壊れない。

 そして両側から魔力を纏った一撃を食らわせ離脱、内部から生じる白銀の魔力で怯んだ所を殺す。

 そしてダメ押しに、2秒時間を先取りするっ!!油断しているうちに確実に殺す!こんな面倒そうな相手と正面から戦う必要はない!!


「炎の色が黄金色など不遜。妾の髪と同じ高貴な色をただの現象風情が纏うなどあってはならぬ。妾が気付かぬとでも思ったか?浅はか……浅知恵が通じるわけがなかろう。この全能にして!高貴なる!妾に!!」

「ぐぉッ!」

「ぎッ!」


 床がゴムか何かのように柔らかくなりどんどん沈んでいく!出ようともがけば元の硬さを取り戻すせいで抜け出せないっ!!


「妾は世界に愛されている。貴様ら木っ端如きが近付いて良い存在ではない。今より世界はようやく始まる。新た、ぁッ!!」

「げほっげほっ……はぁはぁ……」

「貴様ァ!妾の体に傷を付けたことは何をもっても償えぬぞ!待て、何故死んでおらぬ。貴様は地面に圧殺されておらねばならぬのだ。何故」

「お前が世界を有機体みたいに捉えれるなら私だって出来る……そして、状態異常の解除は回復魔法の基本」


 便利が過ぎる。だが、これでようやくまともな土俵の上で戦える。しかし、どう戦えばいい?

 白露の攻撃が当たった箇所は全然傷付いてない。治ってはいない。だが、白露の魔力を常に垂れ流す以上火力はこれ以上出せない。

 あの長い詠唱をしても武器に血を吸わせれてないから大した火力にならない。そもそも血を吸わせれる程隙があるのか?


「主様、考え方を変えましょう。必ずしも主様が武器に血を吸わせる必要はありません」

「あっ……!」

「それと、あと何秒残ってますか」


 来た時はイカサマとかでよく使ったから合計5分は使えたはず……最近は怠けてたから最大3分くらいか。今までのを考えると


「……あと150秒」

「私に20秒ください。十分血が吸えるはずです」

「…………分かった。任せたよ」

「お願いします!!」


 白露に武器を渡し20秒先取りし、確かに手の中に存在する自分の武器を手に詠唱を始める。時間の先取りは同時に出来ない。

 ここから20秒、白露は当たりもしない攻撃を続ける。そして、俺はどんな攻撃が来ようとも詠唱し続けなければならない。


「ッッ!貴様!!高貴なッ!妾の肉体にッ!これ程傷を負わせる不遜ッ!償う機会すら要らぬようだなッ!!」

「仄暗き闇の底の骸に命じ奉る。眼前に贄はあり」

「どうした。妾の体には傷一つ付いておらぬぞ。所詮は魔物──待て、魔力の流れがおかしい。もう一匹居ったであろう。答えよ、不遜であろうが」

「憎悪のままに怨め、呪え、祟れ。永き神への恨みと我が身を糧に」

「これは……怨念の塊。残念だったのう。騙し討ちを考えておったようだが、今っ!それも無為となるっ!この絶望をもって贖いの初めとする」


 空気がどんどん冷え固まり、個体となった空気が全身を突き刺してくる。こんな事で詠唱を止めると思うな。


「ほう?命が要らぬようだな。良かろう。灼熱に焼かれ、この」

「眼前の全てを喰らいつくさん。晶牙の獣よ、答え給え……我が前に敵はなし、抜刀」


 剣を抜き放つ。その動作だけで擬神に従っていた環境は無に帰り、どす黒い風圧が擬神の身を削り取り、結晶を生やしていく。


「ぐッ!ぎぃッ!痛いッ!痛いぃぃッ!!なんだこれは!何故治らぬ!がぁぁぁぁぁ!!」

「間に……はぁはぁ……合ったん……はぁはぁ……ですね」

「これだけ血を吸わせてくれてありがとう。ゆっくり休んで」

「はい……はぁはぁ……頑張って……ください」


 痛みに悶絶し、空中で転げ回っている擬神に向き直り、跳躍!剣を突き刺し、剣を逆手に持ち替え、振り抜き打ち上げる。


「ゴミ虫がッ!!許されるt」

「くたばれぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

「ぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!痛い痛い痛い痛い痛いぃぃぃぃッ!!」


 打ち上がった体が落ちきらないうちに時間を加速し、顔の肉をねぎ取る。腕、肩、腰、脚、首を切り付け、剣を頭に突き立てる。


「ぁ……ぐ……死……ぐっ……」

「はぁはぁ……」

「主様、大丈夫ですか」

「休めば……平気……」


 全身という全身を切り裂いた上に地面に空いた穴の奥深くまで落ちていったんだ。もうほとんど力は残っていないはず。

 十分に休憩した後、穴に向かって最大火力の一撃をぶち込み、死体を確認すればいい。とにかく今はゆっくり休もう。


「衣装も縫い直さないといけませんね。よいしょ」

「こんなに早くに高速移動して大丈夫?」

「大丈夫ですよ。結構呼吸整いましたから」

「ならいいんだけど」


早めに出します

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