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労働

前回のあらすじ

負けそう


「ぅ······」

「目は覚めたか?」

「ここは······?」

「奴隷を輸送する馬車の中だよ」


 目の前に眼帯を付けた白髪の男子がいた。隻眼なのか?奴隷馬車······サリアが言ってた。皆······ごめん。


「ここにいる時点で死んだも同然。残念だったな······やれやれだ」

「他にはいないの、君だけ?」

「他の奴は皆買われちまったよ」

「そう······」


 馬車の中に沈黙が流れた。気まずい······。しかし、調教施設を脱獄するつもりなのに仲良くなってもなぁ······。


「お前、能力に自信はあるか?」

「あるけど······」

「調教施設には食堂がある。分かるな?」

「分かった」


 脱獄の相談か······。中々骨のある男子も居るじゃないか。でも他人に脱獄の話はしないほうがいいな。


「佐々と降りやがれ!!」

「ぐっ!」

「なんだ貴様!その反抗的な目は!!」

「あぐっ!!」


 女、いやふたなりに馬車から蹴り落とされ、背中にも鞭を喰うたれた······これが世界か。隕鉄剣も無い······チッ!


「おら、さっさと歩けぇ!!」

「うぐっ!」


 鞭が痛い。こうやって痛みに訴えて反抗心を刈り取っていくんだろう。よくあるパターンだ。


「入れ!」

「がはぁっ!」


 牢屋に頭から放り込まれた。普通の人間なら死ぬよ·······。有紗の言う通り知識をつけないと簡単にカモられるだろう。


「·······」


 周りの奴隷は虚ろな瞳で看守が去ったのを確認してからこちらを見ることは無かった。心が死んでる。


「時間だ、来い!!」

「かはっ!」


 牢の外に引き摺り出され、どこかに連れて行かれる。何処に連れて行くつもりなんだろう······。


「貴様にはこれを回してもらう」

「······うぐっ!!」

「返事が遅いッ!!貴様は我々の言う事を聞いていればいいんだ!!」

「はい」


 今度は鞭で打たれることは無かった。なるほど、こういう風に奴隷にしていくのか。

 取り敢えず目の前にあるハンドルを回す。意外に重いから筋トレになりそう。


「飯の時間だこのゴミクズ共!!」


 周りで作業をしていた奴隷達がそそくさと扉に向かっていく。たぶん食堂に繋がってるんだろう。


「多い······」

「来たな」

「あぁ、さっきの······」

「こっちだ」


 謎の男子に食堂の隅に連れて行かれた。これからリンチとかされないよね?大丈夫だよね?


「さて、お前の能力は?」

「じk」

「大声を出すな。勘付かれる」


 謎の男子に口を塞がれた。お前が言えって言ったんじゃないか!どうして口を塞ぐんだよ!!


「······少し先の未来が見える。見れるのは一日25秒程度ってところ(ボソッ)」

「なるほど······合格だ。アレに当たって俺の能力も教えよう。俺は対象の大きさを自由に変えられる」

「なるほど」


 何となく計画が見えてきた。看守の行動を把握して警備が薄くなる瞬間を狙って小さくなり脱獄するというわけか。


「人形が欲しい。だから······分かるな?」

「任せて。ばっちり工面するよ」

「よし!頼むぞ」


 人形、牢屋の中は暗いし看守もほとんど見てない。なら藁でいいかな?ハンドルの木片を拾うか。


「飯は終わりだ!さっさと働けぇっ!!」


 鞭で打たれたくないのでそそくさと作業場に戻りハンドルを回しながら木片を回収していく。


「ペースが遅い!」

「ぐ······っ!」

「わざわざ水を掛けたのに礼も無しかっ!!」

「ぎゃあっ!!ありがとうございます」


 看守は満足して他の奴隷の様子を見に行った。この程度で屈するわけないんだよなぁ。


「時間だ、戻れ!!」


 周りの奴隷に合わせてそそくさと牢に戻った。中々木片が集まったんじゃない?よし、顔が2つ完成した。


「ふわぁ〜」


 気が付いたら朝だった。牢屋には布団がないので疲れが取れない。それどころか全身痛い······。


「今日もキリキリ働けぇ!!」

「かはぁっ!!」


 頭を掴まれて牢の外に放り出された。サリアが頭を掴んでたのはこういう時のためだったのか······。


「さっさと働けぇっ!!」

「ぎゃあっ!!」


 ハンドルを回しながら木片を回収する。このハンドル、劣化が激しい。それだけ長く使われてるのか······。


「はぁ······ふぅ」

「遅いっ!!」

「ぎゃあぁあ!」


 痛い······連日打たれ続けた傷が治ってないのに。にしてもこのハンドル、何のための装置なんだ?


「飯の時間だ!このクソ共が!!」


 奴隷達に合わせてそそくさと食堂に向かった。これ以上打たれると出血多量で死にかねない。


「どうだ?」

「ぼちぼちだね」

「そうか······アレは劣化が酷くなれば交換される。有効に使ってくれ」

「分かった」


 なるほどね。あのハンドルはもうそろそろ交換されるのか。その前に木片集めとこ。


「あんまりつるんでいると怪しまれる。分かるな?」

「了解。そっちは?」

「早朝2時、だな」

「分かった。終わったら言うよ」


 事前の相談は今日で終わりって事ね。早いとこ出ないと精神がおかしくなるのも時間の問題だ。


「さっさと仕事に行けぇ!!」


 もうご飯の時間終わり!?早すぎるって······あいつらにとってはどうでもいい話か。

 ハンドルを回してひっそり木片を集る。看守は回してるかにしか注目してないからチョロい。


「貴様、止まれ。そのハンドルを交換する」


 看守がやってきてハンドルを交換していった。その衝撃で古いハンドルからはボロボロ木片が落ちている。

 あ、あっぶね〜。バレたかと思った〜。しかし思いがけず木片が増えた。よっしゃ。


「終わりだ。帰れ!薄汚い奴隷共が!!」


 周りの奴隷達に合わせてそそくさと牢屋に戻り、人形の上半身を作った。明日には完成するか。


次はカットされるかも

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