教会へ
お待たせしました
やっぱり取り付けなかった。でも、主様のそういう所も含めて全部全部溶かして受け入れるのが愛情だ、主様には生きき辛さなんて感じて欲しくないし、心から安心していて欲しい。だから、部屋から出て欲しくなし、私が全部やってあげたい。
……嘘をついた。部屋から出て欲しくないのも、何から何までやってあげたいのも全部全部私の性癖。私に何もかも委ねて擦り寄って来る……想像しただけで脳が蕩けそう♡全部やってあげまちゅからね♡ふーっ……♡トリップする所だった。危ない……こんな危ないもの外に出す訳にはいかない。嫌だ……人に会いに行かせたくない。でも、一旦決めたことを主様は曲げない……。
「出来ましたよ」
「ん、ありがとう」
「どういたしまして♡……行きましょうか」
「う、うん」
最悪っ!!この住所登録されてる!これじゃ主様と歩くこともできないっ!いや、そんなことは無い。
私が抱えて進めばいいdいや駄目だ。屋根の上を走ると2時間の講習が……多少人通りがある……そんなもの関係ない。私は歩く!
「よいしょ……主様と街並みを見るのも久しぶりですね」
「昨日見た街並みと違う気がするんだが……?」
「ここは通ってないので気のせいなんじゃないですかね」
「そうかな……?そうかも……」
あ、危なかった……一緒に歩けなくなる最悪のパターンは回避出来た。まったく……端末にワープ機能なんてあるのか。
主様は妙な所で勘が鋭い……というか、周辺状況の変化に目敏いのだろう。確か、擬人狩りにそういう技能があったはず。
っは!!主様の出自を知らない?よく考えれば知る必要なんてなかった。大切なのは過去ではなく今。
今主様が幸せなら過去がどれだけ暗く重くとも置いて行ける。そういうものだと私は知っている。だから、知る必要なんてない。
「着きました」
「早くない……?そんなに歩いてないが」
「私と主様では歩幅が違いますからね」
「気遣いの匠……好き」
「ぐへへ……」
おっと……変な笑みが。主様に引かれていないといいけど……うん、いつものかっこいい主様だ。今すぐにでも唇に吸い付きたい。
「ここか……なんというか雰囲気あr」
「「っ!?」」
人感センサーも無いのに勝手にドアが開いた?魔力探知に特化した何らかの機器でもあるのか?
こんな辺鄙な場所に住む人間のポイントでそんな機器が作れるはずがない……何者だ?あの神父。そんなものを主様に近d
「ようこそ……教会へ。おやおや……おやおやおや……随分お早い到着ですね。式のご相談ですかな?それとも洗礼ですかな?」
「式の相談です」
「では、こちらへ」
怪しい。やっぱりこんな怪しさの権化みたいなものに頼むのは良くないのでは?式なら他の場所でだってできるしこんな所で
「ふむふむ……人数は最低限ですか。えぇえぇ、問題ありませんとも、そういう方々の為の教会ですからな。お任せください」
「助かります!」
「そうですな……信仰上問題になる場面はありますかな?多くの方が讚美歌大讃頌の部分で──」
なんだコイツは?近い。主様に近すぎる。主様の近く半径1m以内に入るな。主様を狙っているのか?
あれよあれよという間に結婚式の段取りが決まっていく。1番手間のかかる披露宴がないのから当然ではあるけれど。
「なるほど……となると必要値は……これくらいです」
「……?少なすぎます。こんな値なら生存してるだけで満たせますよ」
「ふふふ……道楽でやっている事です。ボランティアのようなものですからな」
「……ふむ」
納得はできないけれど、式を挙げるとなると他の場所では必要貢献値が足りなくなるのは火を見るよりも明らか……
主様も式を挙げなければ満足しないだろうから私としても助かる……助かるけど気味が悪い。なんなんだこの教会は。
「次はお二人の服のご準備に入ります。都合が良い日時はありますかな?」
「そうですね……では明日の15:00に」
「お待ちしております」
「帰りますよ、主様」
「ん、あぁ、そうだね」
ワープ先として登録できるところを敢えて伝えないあたり掃溜の住人への配慮は出来るようだけれど……
まぁいい……私にはこれから主様を可愛がるという重大な用事がある。こんな場所の考察なんて後ですればいい。
「白露さん?まだ人前なんですけど……」
「そうですか?そうかもしれませんね……ふーっ……♡ふーっ……♡舌噛んでも治してあげますから♡ちゃんと切れた舌は私が責任をもって処分♡しますから」
「え……まっ……」
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早めに出します