結構
お待たせしました
──白露──
「……結婚してください」
────っはっ!今主様はなんて言った?結婚……確かにそう言われた。嬉しいっ!嬉しいっ!でも少し怖い……主様を赤ちゃんのように扱ってもう長いけれど、私の愛情は覚める気配がない。むしろゆっくりゆっくり筋力が落ちて私なしでは何も出来なくなっていく主様を見ていると興奮して糸が出てきて……そんな事はどうでもいい。問題は主様の見方だ。一般的な人間は結婚をした後の恋人に対して執着心を見せない。どうして書類一つ出した程度で愛しい人を捕まえられたと思ってしまうのか。主様は普通の人間だ。まだ私に全てを委ねてくれない。そういう焦れったい所も愛おしいけれど、主様がそういう勘違いをしてしまうのはよくない。でも……主様がせっかく私に身をささげる気になってくれたのに断るのはもったいない。どう答えればいい?ここでの回答は間違えられない。主様は何故このタイミングで結婚を申し込んできた?何か変わったことはなかったか?新年のお参りは……していない。今のご時世神に祈るのは縁起がよろしくない。主様がどうしても行きたいと言うなら連れていくつもりではあったけれど、主様はそんな事は言わなかったし……変わった事、変わった事……まさか、昨日の乳魔……?いや、そんなはずない。乳を見て結婚しようと思うなら主様はもっと前に結婚を申し出てきているはず……うーーーん……まさか思い付き?うんん、そんなはずない。毎日毎日ねっっっっとり犯してるんだからそんな事思い付く余裕は……時々遊んではいるけど、主様の体力を考えればそんなことを思い付く余裕があるはずが……まさか、昨日の名刺?抜かった……男なんて完全に意識から外れていた。余計な事しやがって……結婚式なんて、ただドレス着て、ケーキ入刀したりして、祝福されるだけの単なる……やりたくなる気持ちは分かる。現時点で主様を待たせて0.2秒くらい……ふむ、いいでしょう。結婚式をやりたいというなら止める理由はそんなにない。主様の意識に関してはリカバリーなんていくらでも出来る。外堀を埋めるという点では役に立たないこともない。いや、書類に残しておくことで動きやすくなるし主様を捕まえてる気分を味わえるから得しかない。なんだ、悩む事はなかった。
「よろしくお願いします」
「っっっっっっっっっっしっ!」
主様が部屋の中で荒ぶっている。猫みたいでかわいい♡書類一つでそこまで喜んじゃってお馬鹿さん♡
でもそんなお馬鹿さんな所もだいしゅき♡私が助けてあげないと危ない目にあっちゃう主様しゅきしゅきだいしゅき♡
はぁ……♡今すぐ、押し倒してぐちゃぐちゃにして理解らせたい。ふーっ♡ふーっ♡我慢我慢……♡まだ実ってない♡
あ♡主様に指輪プレゼントしないと♡サボテンでもできる恋人を逃がさない完全把握術式♡〜指輪編〜のおかげで予習もばっちり♡
これで主様のあんなデータやこんなデータが毎日見放題♡手入れいらずなのが信じられない♡楽しみ……♡
「それで……結婚式なんだけど」
「うんうん♡」
「この人に頼もうと思って」
「……?」
この人に頼む??理解出来ない。人気のない教会で真っ白な衣装に身を包む二人……神にも悪魔にも祈らず二人の心に誓いを立てる。結婚式はそういうものじゃないの?いや、問題はそこじゃない……そんなものこれに比べれば産毛よりも軽くなる。
「外に出るんですか?お外は危ないことでいっぱいなんですよ……?外なんか出なくても結婚式は出来ますから考え直してください……主様の仕事はここでぬくぬくしてる事なんですよ」
「確かに、そうかもしれない。でも、何かの前で誓いたいんだ。死がふたりを分かつまで共に有る事を誓う……なんというか、どうしようもなく眩くて、憧れるんだ」
「……」
……ふーむ、気持ちは分からなくはないけれど、やっぱり私は主様を衆目に晒したくはない。
私にもそういうのに憧れた時期はあった。主様は結構そういうのが好きな人だから尚更感化されちゃったんだろう。
しょうがない……主様の記憶には私との爛れた記憶しかあって欲しくはない。過去は聞いた事はないけれど、あの場所に幸せな人間が居る訳がない。そんな記憶、全部私で上書きしてやる。そうして私との記憶しか無くなった主様と、この家の中でドロドロ溶けるような交尾して時々思い出したかのように寝たり食事したり……子供は、40年くらい大丈夫かな。人間の健康寿命も伸びてきているようだし、これくらい待ってても元気な子は孕める。子供が独り立ちした後は主様とひっそり余生を過ごして……ふふ♡
「……今回だけですよ」
「白露……!!」
「もう♡頼みに行くつもりだったのに私のふわふわおっぱいに飛び込んでどうするんですか♡まったく……♡」
嘘だ。主様を叱るつもりなんて皆無、このまま交尾を初めてなあなあになればいいと思っている。
こんな事を考えている卑しい女を主様の逞しい肉棒でお仕置してくださいっ♡
「んん……ごめん」
「それで、いつ行くんですか?」
「あぁ、うん。今日行こうと思って」
「……明日でもいいんじゃないですか?」
食い下がっては見たけれど、多分行くことになるだろう。盛り上がっている主様は止まらない。そういう所も好き♡
でも私は主様には半開きの口から涎垂らしながら寝ても醒めても脳みそとろんとろんに蕩かしてしあわせたっぷりおねんねを永久にしてて欲しいし、四六時中私と交尾して脳内麻薬どばどば出す事に一日費やすのが一番幸せに決まってる♡
「いや、今日を逃すと空いてる日がない」
「ふむ……そうですか?」
「そう、明日から新年休みに入るんだ」
「……仕方ないですね。さ、準備しますよ」
早めに出します