凡人
おまたせしました
「おわっ!!な、なに!?」
「敵ですっ!!」
俺には何も見えn……なんだ!?未来視が勝手に発動してっ……!?!?無数の熱線に撃ち抜かれているっ。
全方位からの狙い撃ちっ……!!ご丁寧に曲射までして逃げ道を塞いでやがる。どこに逃げる?地面か?いや、掘り進むのに時間がっ!!
「!!上だ!真上に飛んで!!」
「舌を噛まないでくださいね!!」
「っ!!」
物凄い速度で真上に跳躍した衝撃が俺の体を襲った。だが、熱線は避けられた。狙撃の位置も上空かつ白露の動体視力なら……!!
「主様、ちょっと上で待っててくださいね。ふんっ!!アミノハバキリ・天」
「おわ──っ」
白露にさらに空高くに放り投げられた。流石にこの程度で驚かない。嘘です少し驚きました。
眼下に何か点のような物が広がって……これは、大量の弓矢っ!!この一瞬で自分の動作1つで矢を放てるように編み上げたのか!?
いや違う!!弓をつがえているように見えたのは残像っ!!実際はもう矢が放たれていた!!
「お掃除完……」
「降りてっ!!」
「っ!!」
白露が俺を片手で抱き寄せつつ、地面に糸を貼り付けて接地した瞬間、先程までいた場所を巨大な小石g……小石?
何故そう見える?大きさは完全に岩石。だというのにな……角がないんだ。まるで水流に削られた小石のように丸い。
だから小石のように見えたんだ。おかしい。たいていの巨岩は風化にあまりさらされていないからこそ巨岩足りうる。
それがなぜこんなにも丸い岩が多い?まるで小石を無理やり拡大でもしたかのようなそんないびつさを感じる。
「白露っ、来てるっ」
「……シィッ!!」
一瞬にして大岩を踏んで叩き落し反撃っ!!しかし、どれだけの距離があるのか分からない状態だと引き打ちを続けられt
「主様、街に攻め入りますよ!!歯を食いしばってください!!」
「分かった!!」
弾丸を避けられるなら狙撃手なんて相手にする必要はない、むしろ先に街を破壊してからゆっくり狙撃手を片付ければ良かった。
ターレンスならこんな事はしない。だから当初の予定通り6番街を破壊すればいい。それができれば俺達の勝ちだ。
街に近付いている事に気付けば狙撃手は俺達を限られた方向からしか撃てない。そんな見え見えの攻撃が当たるわけがない。
「主様!切って!!」
眼前に壁が超高速で迫ってくる……早すぎる。悠長にタイミングなんて測ってる時間はない。勘に任せて切るっ!!
「おらぁっ!!」
「バッチリです!」
無事に壁を破って内部に侵入できた。綺麗な街だ。ここには他の街で見てきたような歪みは一遍もない。
遍くこの街の生物は牧歌的な生活を送っているのが分かる。しかし、この光景は他の街の歪み有ってこそ成り立っている。
他の街で奴隷がゴミのように浪費され続けているからこそこの街は貿易都市として成り立っている。
「グランドッ!」
「クロスッ!!」
空中で自由落下しながらグランドクロスを放ち、地面に激突する直前、白露に抱きとめてもらい、衝撃を吸収。
教会は……中心っ!!今までと同じだ。むしろ今までより簡単だ。相手の戦力が分散している今、不意打ちd
「囲まれてるっ!!」
「ふんっ!!」
「「「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!」」」
エリムサルエが石やら弓矢やら魔法やらを纏めて薙ぎ払い、建物を崩壊させt……なぜ死ぬ前に悲鳴を上げる余裕があるんだ?
音速を超えたエリムサルエに一瞬で首を折られてるんだぞ?声なんて出す余裕があるわけがないのに。
「固い……?主様、ここの擬人殴った感覚が他より重いです。気を付けてください」
「……あぁ」
……後ろから擬人が切り掛かってくる。飛び掛かる地点に剣を差し込む。やっぱり剣の刺さりがよくない。
残り20秒……俺の頭脳では領主の戦術なんて読み切れない。未来視は絶対に残しておく必要がある。雑魚に無駄遣いはできない。
「だぁぁぁぁぁ」
「……」
「こ、ぉっ!!どぉぉぉぉぉ!!」
「っ!?」
エリムサルエに弾き飛ばされた擬人が立ち上がり、炎の魔法を撃ちまくりながら突撃してきた……!?
「しぃっ!!」
「こぽぉっ……」
おかしいっ……並の擬人は呪具に触れるだけで倒れるんだぞ?脳髄を突き刺してようやく死ぬ……?
ありえない。ここの擬人共は異様だ。早く領主を倒して街を破壊し尽くさなければならない。
早く……早く教会に!こんな薄気味悪い連中に一々構っていたらどうなるか分かったものではない。
「うぉぉぉおぉおぉぉぉぉお!!」
「……ちっ」
「ぎゃぁぁ──」
数が少ない……この数なら突破できる!見えた!教会!!このまま突っ切ってくれ……地面がせり上がっ……違うっ、下がってる!!
「囲まれっ……」
「第一遠距離攻撃部隊、てぇぇぇぇぇ!!」
魔法にしても実弾にしても一つ一つの攻撃は撃ち落とせる。だが、ここまで数が多いと腕が追いつかないっ!!
それに実弾を避けるために時間を使ってしまった。残り15秒しか残ってない。このままだとジリh
「充填率100%っ!」
「総員っ!射撃っ!!」
不穏な単語が聞こえたっ!!こんな所早く出ないといけないのに全方位から贅沢に弾幕が貼られて思うように動けない!!
「シィイィィイィイイ!!」
「対象、ロスびぇっ!!」
白露が俺を抱えて壁に突進し、無理やり穴を開けて、上に居た擬人共を天井もろとも薙ぎ払った。
魔法の詠唱の間、わずか数秒……弾幕が緩くなったその僅かな隙に致命的な損害を……否。
そもそも初めから白露は追い詰められてなんていなかったし焦ってもいなかった。相手に乗せられ足を引っ張ったのは俺だ。
次は早めに出したいです