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次元電神グレートマックス  作者: ごしいちご
第1話 始動 ~鎌腕食人種シックルリザード 登場~
1/4

異次元からの来訪者

新ヒーロー グレートマックス とうじょう!

二年三組のみんなを守れ!

 天野薫は目を覚ました。


 薫という名前と低い身長、さらに童顔と幼い声でよく小学生の女の子と間違えられるが、男の子、しかも男子中学生だ。


 目の前には青い空に白い雲。

 背中には硬い感触。

 そして全身には激しい痛み。


 「痛い……」


 薫はゆっくりと起き上がる。

 どうやら校舎の裏の地面の上に寝ころんでいたらしい。


 傍らには自分の生徒手帳が落ちている。


 (なんで俺はこんなところで寝ているんだ?)


 ぼーっとする頭で思い出そうとするが、思い出せない。

 給食を食べてからの記憶が……いや、そもそも記憶全体が曖昧な感じだ。

 家族の名前とか、クラスメイトの名前とか、授業の内容とかは覚えているのだが。

 何か大事なことを忘れているような気がする……


 『起きたか、アマノ・カオル』

 「わっ!」


 突然、自分を呼ぶ声がして薫は驚く。人の声じゃない、感情の起伏のない電子音声だ。

 あたりを見回す。

 誰もいない。


 『ここだ、君の左手だ』

 「左手……?」


 言われてみると、左手から声がする……何かが腕に巻き付いている?

 薫は恐る恐る学ランの長袖をまくる。

 透明な水色のクリスタルが埋め込まれた、金色と銀色の大きな腕輪が薫の左手首に巻き付いていた。


 「これは……?」

 『私は次元パトロールシステム1378号。ベリガブラーを名乗る次元犯罪者を追ってこの次元にやってきた』


 クリスタルが点滅し、いつの間にか巻かれていた腕輪から低い声の電子音声が鳴る。

 薫がハマっている特撮変身ヒーロー・次元戦士グレートレッドの変身ブレスのようだ。

 

 「次元犯罪者……? もしかして、俺たちのいるこの次元を侵略しに来たとか?」

 『いや、ベリガブラーは次元侵略者よりも厄介な存在だ。君たちの次元でいうところのゲームに近い感覚で大勢の人間を亜空間に閉じ込めている』


 亜空間……ゲーム感覚……まさか……!

 薫のオタク知識が総動員され、最悪の結果を弾き出す。


 「もしかして、そのベリガブラーは亜空間からの脱出をちらつかせて、閉じ込めた人間たちに殺し合いをさせたりしているの?」

 『よくわかったな、その通りだ』

 「そして、あなたはその犯罪を防ぐためにこの次元にやってきた……あなたはこの次元では何らかの理由で実体を持つことができない。だから、俺の体に憑依した」

 『……驚くほど察しが良いな。この次元ではそこまでテクノロジーは進歩していないと聞いていたが……』

 「いや、こういうのアニメや漫画でよくあるシチュエーションだから……」

 『なるほど、創作か』

 

 (あんまり話しちゃいけないんだけどな。俺がアニメや漫画が好きなこと)


 ……あれ?

 薫は唐突に違和感を覚えた。


 (なんで俺がオタクだって他人に話しちゃいけないんだ?)


 何か理由があったような気がする。

 だけど、思い出せない。


 『君の言う通り、私はベリガブラーの次元犯罪を防ぐためにこの次元に来た。だが、この次元ではエネルギー体である私は単独で実体化することができない。そこで、適合率の高い君の体を借りることにした。意識を失っている時に勝手に憑依しておいてすまないが、君の力を貸してほしい』


 (本当にアニメか漫画みたいな話だな……)


 普通に聞けば信じがたい話ではある。

 百人に聞けば、百人全員が信じないだろう。

 だが、薫にはその話が嘘だとは思えなかった。

 どんなにSFやファンタジーのような話でも、この電子音声の創作だとは思えなかった。

 自分がオタクだからだろうか?

 突然湧いて出た非現実的な話に、わくわくしている自分がいる。


 「……わかった。俺なんかでよければ、協力するよ」

 『協力に感謝する、アマノ・カオル。危険を伴う任務だが、私の存在に替えても君の生命は絶対に守る』

 「薫でいいよ……えーと、あなたのことは何て呼べばいい?」

 『私は次元パトロールシステム1378号。固有の名前はない。君の好きな名前で呼んでほしい』

 「それじゃあ……」


 薫は考える。

 左腕に巻かれているブレスレットは、十中八九変身アイテムだろう。

 ということは、薫の体を使って変身する可能性が高い。


 (変身ヒーローか……)


 真っ先に思い付いたのは、現在テレビで放送中の特撮変身ヒーロー『次元戦士グレートレッド』だった。このヒーローも別の次元からやって来たという設定だった。


 「グレート……グレート……マックス……グレートマックスって呼んでもいい?」

 『了解した。グレートマックス……この次元では、私はその名前を名乗ろう……カオル、よろしく頼む』 

 「こちらこそよろしく、グレートマックス!」


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