特異(得意)なバスケで異世界攻略 第17話
「ええええええっ~~~~~~!!」
俺は思わず叫んでしまった。
「ミリカ‥さん‥。ちょっとお聞きしたいのですがミリカさんは貴族のご令嬢か何かでございましょうか?2人で住むにはちょっと広すぎるような気がしますが…。」と恐る恐る尋ねると、ミリカは不思議そうな顔をして
『私の実家は小さな農村の普通の農家ですよ。』と答える。するとオーシャンさんは、
『旦那さま。奥様は先の事を考えていらっしゃるのですよ。この物件ですと10人くらいは娶っても十分な広さがございますので。もちろん裏庭には20人程の従者が住める離れもございます。貴方様は必ず大物になられます。この業界で何十年もやってきた私の目に狂いは無いはず。何よりも奥様が一番分かっていらっしゃいます。』
俺は再び「ええええええっ~~~~~~!!」と叫んだ。
それから少しやり取りした後、『また近々お伺いいたします。』とオーシャンさんと別れた後、ミリカに色々尋ねた。要約すると、この世界では有能な男性は最低でも数人の妻を娶らなければならないらしい。有能な遺伝子を少しでも多く後世に残す為だそうだ。ヤキモチを焼いたりしないのかと尋ねると、沢山の妻を娶れる夫に対しての尊敬と、その妻に選ばれた事の光栄さで自慢こそあれ、誰もそんな事は思わないらしい。
最初の不動産屋は俺の事を見抜けないで、妻を1人だけしか娶れない一般人と一緒の扱いをしたので激怒したらしい。『ロウさんはこんなに素敵でオーラがあるのに、それを見抜けないなんてなんて節穴な目を‥ぷんぷん!』と思い出してはまだ怒っているみたいだ。
俺がびっくりした理由は前の世界が一夫一妻制だった事を説明すると、それこそ信じられないと言い『ロウさんの凄さを知らしめる為と、もちろん私の為にも遠慮なく素敵な方を探してくださいね。』と念を押される始末だった。
まぁ、そんな願いを叶えるためにもまずはお金を稼がないといけないなと言うと、『Sランク冒険者を超えるとスグですよ。私がしっかりサポートします。』と笑顔で答えてくれた。
日も沈みかけた頃、用事があるというミリカと渋々別れた後、ミリカに教えて貰った鍛冶屋に向かった。
”モッグの店”とだけ消えかけた文字で書いてある看板を見つけ中に入ると、そこにはずんぐりむっくりの体型のいわゆるドワーフ族と言われるおっさんがいた。
俺はおっさんに「武器が欲しいんだが。」と伝えると、
『そこらに並べてあるのから勝手に選びな』とっぶっきらぼうに答えた。
「俺が欲しいのは既製品ではなくオーダーメイドを作って欲しいんだけど」と言うと、一見客には作らねぇと答え、奥に入って行こうとした。
俺は慌てて冒険者ギルドのミリカの紹介だと伝えると、『真面目なあの子の紹介なら聞いてやるが、本当か?お前みたいな若造が高実績って事は無いだろうし、一体どんな手を使った?』俺は少しイラっとしたが、ミリカの顔もあるのでグッと我慢をし『ミリカは俺の妻になる予定だ。もうプロポーズも受けて貰っているが文句あるか?』と答えるとおっさんはびっくりした顔で『あの子が結婚とは…』と言った後、『さっきの言葉は訂正しよう。すまんかった。真面目なあの子が認めた奴だ。俺はあの子の両親の知り合いでな、小さな頃から知っている。この街のギルドに就職し単身で引っ越してきてからは親代わりのつもりでいる。遅くなったが俺はモッグ。鍛冶師だ。腕には自信がある。結婚祝いに何でも好きなもん作ってやるよ。但しあの子を悲しませたら、お前の頭をこのハンマーでカチ割ってやるからな!』とクソデカいハンマーを見せながらニヤリと笑った。
それから少しミリカの話で盛り上がった後、俺はスピード重視の戦いをしたいので少し軽めの双剣を作ってもらう事にした。色々な剣を持ってみて使いやすそうな重さを調べ、俺の身長・体重・手の大きさ等を測った。
俺はミリカの為に稼ぎたいからその為の武器代は自分で払いたいと伝えたが、
『自分の娘をスグに未亡人にはしたくねぇ。だから簡単に死なねぇ様に俺が造れる最高の武器をプレゼントしてやる。突貫で3日で造ってやるよ。但し取りに来るときは必ず2人で来いよ。直接祝ってやりたいからな。』と言ってくれたので、遠慮なく気持ちを受け取ることにした。