特異(得意)なバスケで異世界攻略 第15話
朝目覚めると、横には俺の腕を枕にして眠っているミリカの姿があった。安心してくれているからなのか、とても幸せそうな彼女の寝顔をみると全力で幸せにしたいと改めて思う。しばらく寝顔を見つめていると、ミリカも目を覚まし、『おはようございます』と少し照れながらキスをしてきた。あまりの可愛さに朝から『ガオー』っとなってしまったのはしょうがないという事で。
本日はミリカも休日という事で、まったりと昼まで過ごした。それまで俺の転移前の世界の事や、この世界の常識、もちろんミリカの事等、沢山話をした。
お昼頃になり、『ぐー』っと鳴った俺の腹の音を合図にランチに出かける事にした。そこでこれからどうするか話をする事を決め、街の人気のレストランに足を運んだ。
現在俺達二人は本日のおすすめランチを注文し、運ばれてきたグラタンに良く似た料理とパンに舌鼓を打ち、締めのハーブティーを飲みながら今後について話をしていた。
『まずはロウさんにこの世界の常識を覚えてもらいながら、冒険者ランクを上げて貰うのが先決だと思います。スキルの事なども教えては貰いましたので大丈夫だとは思いますが、私が全力でサポートさせて貰いますので色々経験を積んで下さい。まずは装備が必要ですね!ロウさんの体にもしもの事があったら私は生きていけないので。。。ランチが終わったらすぐに買いに行きましょう』というミリかに
「生きていけないって、そんなに大げさに…」と言ったとたん、ミリカは少し泣きそうになりながら
『私は昨晩決めたんです。いつまで一緒に居られるか分からないけど、それまでは後悔しない様に全力でロウさんを愛するって事に。そしてあなたの子供を授かり、一生大事にしていくって事に。』
俺は慌てて、「子供って!俺もミリカを大事にするって決めたからもちろん構わないけど、結婚もしていないのにそんなに簡単に決めて良いのか?」と尋ねた。
すると少しびっくりしたようなさみしそうな顔をしたミリカは、『そういえばロウさんはこの世界の常識を知らないのでしたね。こちらでは女性との”初めて”を男性が誘うの事がプロポーズになり、それに女性が答えるのが”結婚をお受けします”って事なの。だから私は貴方のプロポーズをお受けしたってつもりだったのだけど、ロウさんの場合はしょうがないよね。知らなかったんだもの…』俺は話が終わらないうちにミリカの手を両手で握りしめ、
「俺の事を全部知った上で決断してくれたミリカの気持ちを受け取らない訳ないだろ。そこまで考えてくれた事を知って俺はもっとミリカの事が好きになったよ。あらためて言わしてくれ。。ミリカ、俺と結婚して下さい。」
ミリカは少し涙を溜めながら『もちろんです』と答えてくれた。
レストランを出た俺たちは装備を買いに行く予定だったが、俺が家を見てみたいと言った事で二人で不動産屋に行く事になった。結婚までするのだからこちらの世界にいる間少しでも一緒に居られる時間を増やす為に、一緒に住みたいと思ったからだ。もちろん現在はそこまで持ち合わせは無いので、こちらの世界の相場を知るために下見だけなのだが。不動産屋に行く道のりでミリカに聞いた話ではこの世界には分割払いというシステムは無いみたいだ。魔物が蔓延るこの世界ではいつ命を落とすか分からないのが原因みたいだ。但し、賃貸契約は可能みたいだが、旦那さんが死亡した場合など急に収入が無くなった場合に家賃が払えなくなり住む家が無くなるという事も結構多いらしい。
俺はいついなくなるか分からない状況なので、ミリカに財産は残してやりたいから購入予定でいる。その考えをミリカに伝えると俺の腕に腕を絡ませ体を預けながら嬉しそうに不動産屋へと向かったのだった。
不動産屋に到着すると中から出てきたいかにも金持ってます感満載の太った店主に、早速物件を見せて欲しいと伝えた。不動産屋に2、3質問された後、ミリカが冒険者ギルドで働いている事を知ると、上客と思ったのだろうか最初と全然違う態度で丁寧に接客を始めた。
態度が変わった事が気に入らなかったが、家には関係ないかと思い直し現場を見に行くことになった。
1軒目の少し小さめだが、2階建ての綺麗な新築の家を紹介された時に思いもよらない事が起きた。
何と常に温厚なミリカが不動産屋に向けて少し声を荒げて怒ったのだ。
『あなたの目は節穴ですか!』と。