特異(得意)なバスケで異世界攻略 第13話
ギルマスゴッズの助け舟(ギルドを壊した仕返し?)のお陰で、山賊おっさんは『すまんな…。』とだけぼそっと呟いてギルドから出て行った。ゴッズの方は俺の方を見て親指を突き立て決めポーズを取ると満足そうに2階へと上がって行った。まぁ、確かにミリカといるとき周りの突き刺すような視線は気になってたので正直ありがたかった。
気を取り直して2杯目を飲み終わった頃、ミリカのカウンターが空いたので依頼達成の報告に向かった。
「ミリカただいま。依頼のオーガ討伐完了したから確認したいのだけど、どうすれば良いかなぁ?」
するとミリカは
『ロウさん。お疲れ様です。討伐完了って聞こえましたけどまだ日も落ちていませんよ!目撃場所への往復時間だけでももっとかかると思いますが…』
「またミリカには詳しく話すよ。それより俺討伐証明部位とか全く知らない事に気付いてさ、とりあえず死体丸ごと持って帰ってきたけど何処に出せばいいかなぁ?」と俺が聞き返すと、ミリカは周りに聞こえない位のトーンで、
『丸ごとですか?もしかしてロウさん激レアスキルのアイテムボックス持ちですか?』と尋ねてきたので俺は「よく似た物だけどね。」とだけ答えた。
その後すぐにギルドの隣に併設されている解体場兼大型専用買取り場にミリカに連れられやって来た。バスケットコートが10コートは入りそうな広さの施設に入ると、レスラー体型で色白の解体施設長のバランを紹介してもらった。
「初めまして。バランさん。俺はDランク冒険者のロウです。これからも色々とお世話になると思いますのでよろしくお願いします。」とあいさつすると、バランさんは屈託のない笑顔で
『冒険者がそんな丁寧な言葉使う必要はないぞ。舐められるからなぁ。でも俺は気に入ったぞ。今後はバランと呼び捨てで構わん。ロウ、こちらこそよろしくな!』と握手を求めてきた。それに答えると、
『レアスキルのアイテムボックス持ちらしいな。では早速出してもらおうか。獲物はオーガだな。だったらこの大型カウンターにのるだろ?』と言ってきたが、3m幅位しかないカウンターだったので、どう見ても俺が倒したオーガは乗りそうに無いと伝えるとバランは首を傾げながら『そんなはずはないんだけど、まあいいだろう。じゃあそこの広いスペースに出してくれ。』と言ったので指示に従い、スキル【バスケット】の取り出し口である”ネット”を広場に出すイメージでオーガを取り出した。
アイテムボックスからとりだした4m近くはあるだろうオーガを見たミリカとバランは『これはっ‼』と二人してハモリ、固まっていた。俺はミリカに
「どうかしたか?大きいから勝手にオーガと思って狩ってきたがもしかして別の魔物だったか?」と聞くと、またもや2人でハモって『これはブラックオーガだ(よ)‼』と。
詳しく聞くと普通のオーガはもっと水色に近い青色で大きさは2m強位らしい。今回俺が討伐してきたオーガは青黒い色をしておりサイズも3mを超えるサイズなのでブラックオーガで間違いないらしい。さらに討伐適正ランクはAランクのパーティーが推奨らしい。
するとミリカは突然泣き出し、
『ロウさん、すみません。ギルドへの報告では只のオーガとなっていたので斡旋したのですが、結果ロウさんを危険な目に合わせてしまって。。。』と言葉を詰まらせていたので、俺はミリカを安心させるため出来るだけ明るい感じで、
「ミリカ。大丈夫だよ。むっちゃ楽勝だったし。それより今晩約束の初依頼達成のお祝いに付き合ってね。その時にミリカには俺の秘密を教えてあげるよ。」とミリカを落ち着かせ、バランには「俺は解体も出来ないから後は任せても良いかな?素材は全部買い取りで頼みます。報酬は手数料を引いた金額を後日取りに来ます。」と伝えて後始末をお願いし、ミリカをなだめながらギルドに戻った。
落ち着いたミリカはまだ2時間程仕事があるみたいなので町の広場の噴水前での待ち合わせを約束し、俺は今晩着る服を買いに行くついでにディナーも食べれるおすすめの高級宿を教えて貰う為にドンガさんの商会へと向かった。