特異(得意)なバスケで異世界攻略 第12話
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唸り声がする方に目を向けると、そこには3m以上はあろうかという青黒い大きな体をした魔物がドスッドスッとこちらに近づいてきた。右手には大きなこん棒みたいな丸太を持ち、よだれを垂らしながらゴブの死体の方に近づいている。
俺は、(よしっ、サクッとやっつけますか)と何故か恐怖心もなく軽い気持ちで立ち上がり、オーガと思われる大きな魔物に向かってダッシュした。オーガの真正面まで進み、(それでは新しいスキルを試してみるぞ…)
『スキル【トラベリング】【ユーロステップ】‼』と叫んだ。
そこからは高速で1歩目は左に踏み込み、2歩目は右に大きく振り、最後はオーガに向かい思いきり飛び込んだ。
あまりの速さにオーガには分身しているように見え、簡単に懐へ這い入り込むとそこで『【レイアップ】』と念じ手の中に出来たバスケットボール大の魔力を50P程込めた玉をオーガの腹に直接叩き込んだ。
するとオーガの腹には大きな風穴が空き、そのまま膝から崩れ落ち息絶えた。
(ふーっ、やっぱり簡単だったな!ステータスが上がった後の身体能力がバカみたいに凄いし、さらに新しいスキルも上手くいったしな。まず【トラベリング】で行動範囲2歩以内の制限で全能力2倍にし、【ユーロステップ】で残像を見せる。最後に近接攻撃の【レイアップ】で確実に仕留める。現役の頃の得意パターンの流れの一つだしスムーズに出来たな。これで近・中距離の【チェストパス】に続いて、近接攻撃も出来た。後は遠距離攻撃のスキルだな。スキル名はもちろん【3P】で決まりだが、内容は少し吟味してから創造しよう。)
※【トラベリング:バスケットボールを持つと2歩までしか歩けない基本ルール。】
※【ユーロステップ:左右交互に大きくステップし相手を交わすステップの事。昔ユーロ圏の選手が多様していた事が名前の由来】
※【レイアップ:シュートの基本。ゴール近くまで持って行き、流れのままバスケットの近くで飛び上がり打つ方法。1番確率の良いシュート】
※【3P:約7m程離れた遠い距離から打つシュートの事。通常シュートは決まると2点だが、このシュートは決まると3点となる。ダンクシュートと同じくバスケットの花形プレーの1つ。】
俺はオーガの死体に近づいた後、大事な事に気が付いた!
(ヤバい…。討伐した証明をどうすれば良いのか全く聞いていない。そういや解体とか売れる部位とか冒険者の基本知識が全く無い。そういえばランク試験後の説明の時にミリカは説明してくれようとしてたけど、俺がケントさんに大体聞いてるから大丈夫って流したんだっけ。実際になってみると何も知らないことに気付いてしまった…。帰ってからミリカに聞かなきゃな。)とほんの少しだけ反省したが、
『まっいいか。俺にはアイテムボックスがあるもんね~。』
と誰もいないのに言い訳がましく大きめの独り言を呟き、オーガの死体をバスケットに収納し街へと帰って行った。
まだ日も沈み切っていない内に街に着いた俺は、ミリカに依頼達成の報告をする為にまっすぐ冒険者ギルドへ向かった。ギルドの中に入り受付のカウンターを見ると先客がいるみたいなので、少し喉が渇いていた俺は先に一杯やろうかとギルドの酒場に向かった。そこで冷えたビールがあったので、(日本語と同じ名前の物もあるんだなぁ。)まずは1杯目を一気に飲み干した。
『ぷっは~っ』と一息ついて2杯目を貰おうとすると、近くで飲んでいた山賊みたいな恰好をしたおっさんに『おい。お前。良い飲みっぷりだが最近このギルドに来たばかりで、ミリカちゃんとえらく仲良くしてるロウって奴じゃねえか?』と絡まれた。俺は自重はする気が全く無いので、速攻でぶっ飛ばしても良かったのだが、まだ登録して直ぐなのにギルドに迷惑をかけるのも嫌だったので完全無視を決め込んだ。
するとおっさんは激怒して『オイっ。ガキが無視するんじゃねーよ!』と怒鳴りながら席から立ち上がり、胸倉を掴んできた。ここまで来ると流石に無視はできないので、一発ブチかまそうと思った時に、
『オイっ、そこまでだ!』と大きな声で、目の前の山賊おっさんより1まわり以上でかい体をしたおっさんがやって来た。ギルマスの”ゴッズ”だ。山賊おっさんは慌てて手を放し、ギルドから出ようとしたがゴッズに止められ待機させられている。ゴッズは酒場の店員に何があったか詳細を聞くと、今度は酒場だけではなくギルド全体に聞こえる大声で
『ここにいる若い冒険者の名前は”ロウ”。先日登録したてのルーキーだ。俺がランク認定試験を行い現在スタートランクの最高のDランクだが実力は最低でもAランクはある。だから俺の権限でDランクでは特例の専属受付も付けてある。絡むのは結構だが自分の力量を考えてからでないと痛い目にあうぞ!こいつは力加減を知らん。先日ギルドを半壊させたのもコイツだ。とにかく俺は忠告したからな!知り合いの冒険者共にも広めておけよ!』と叫んだ。