特異(得意)なバスケで異世界攻略 第11話
次の日の朝、森の泉亭のとても美味しい朝食を食べた俺は早速依頼を受ける為、冒険者ギルドへ向かった。ちなみに朝食は焼き立ての白いパンと、ジャガイモっぽい何かで作られたポタージュスープだった。
ギルドへ着いた俺は、真っ先にミリカを探して受付に向かった。すると俺を見つけた彼女は小さく胸の前で手を振り『おはようございます。昨日はごちそうさまでした。また誘ってくださいね!』と言ってくれたので俺は、「俺はおはよう。俺もミリカと一緒に食事出来て嬉しかったよ。じゃあ次は初クエスト達成のお祝いで食事に誘ってもいいかな?今日になるかもしれないけど。」とお誘いを入れると、いつもみたいに顔を赤くしながら『是非おまちしておりますっ♪』と答えてくれた。
それから少し会話を楽しんだ後、何かいいクエストは無いか尋ねてみた。できればCランクへ上る試験にもなっている犯罪者の討伐系でと付け加えて。するとミリカさんは少し困った顔をして、
『ギルドマスターからロウさんの強さはAランクにも匹敵するとは聞いていますが、初めての依頼でそんな危険なのは私が怖いので、一度だけで構わないのでDランクの魔物討伐依頼を受けて貰えませんか?もちろんロウさんの事は信じているので、その中でも強い魔物の討伐依頼にさせてもらいますので構いませんか?もしロウさんに何かあったら…』と最後の方は消え入りそうな声で喋っていたので、俺は慌てて、
「もちろん、構わないよ。それだと今晩食事にお誘い出来そうだしね!じゃあ何か良い依頼を見繕ってよ。」と言うと、ほっとしたような顔の彼女は『じゃあ東にある森の中で発見されているオーガの討伐依頼はどうでしょうか?これも決して安全な依頼ではありません。普通はDランクのパーティーで受ける依頼ですが、ギルドマスターの言葉とロウさんの事を信じます。必ず無事に帰ってきて下さいね。』と言った彼女に依頼の詳細を教わり歩いて3時間ほどの距離にあるらしい森を目指す為ギルドを出た。
(結局ミリカは頑なに"さん"付けだよなぁ。何か譲れない物があるらしいけど…。まぁそこも可愛いから良いか♪)などと考えながら、街を出る前にミリカに教わった道具屋と雑貨やに寄り、水や食料にポーション(飲むと怪我を治す効果有)等冒険に必要そうな物を買い異空間に収納し、森へと向かった。
街を出た後、かなり上がったステータスの確認の為に走って行こうと思い、軽く駆け出してみたらいつもの全力より早いスピードで景色が流れていった。(これは凄いな。いつまで持久力は続くのか?)と思いながら走り続けていたら結局一度も休憩を挟まず、しかも息も切れていない状態のまま15分程度で森の入り口に着いた。
(やっぱりチートはスゲーな。良し、スキル【チェストパス】で安全に倒そうと思ってたけど、こんなに強いなら色々試してみよう。武器も何ももっていないから格闘系のスキルを造るか)と思い何か良いのが無いか色々考えながらオーガの目撃情報がある森の中央付近にある湖を目指して進んで行った。
森の中ということもあって少しスピードを落として進み、途中出てきたゴブ計5匹を各ひとケリで瞬殺しながら、約15分程進むと森が開けて明るい場所が見えてきた。そこまで行くと小鳥が水浴びしている綺麗な湖があった。湖に近づいてみると、底まで見えるほど水が澄んでいて小魚の群が泳いでいるのが見える。
(なんて幻想的なんだ。これで魔物がいなければ最高のデートスポットになりそうなのになぁ。そんなに大きくなさそうだからいっその事この森の魔物を全滅させてミリカさんと二人っきりで…。)等と独りニヤニヤしながら少し妄想に耽っていた。暫く妄想に耽った後、オーガをおびき寄せる為先程瞬殺したゴブの死体をバスケットから出し適当に捨てた。
(血の匂いにつられてそのうち現れるだろう。)と考え、少し離れた場所に座り込み街で買ってきたオーク肉の串焼きをバスケットから出し、昼食を取ることにした。バスケットから取り出した串焼きは買った時のまま熱々でとても美味しく食べる事ができた。
(やっぱり時間停止のアイテムボックスは最高だなぁ。生きている物は入れられない見たいだけど常に手ぶらでOKだし、何より食事最高だ!この依頼が終わったら装備もそうだが、食事も充実させよう。色々しないといけない事があるけど楽しみだなぁ♪)と今後の事を考えていると
『グヴゥーッ』と喉の奥から出てくる様な唸り声が聞こえて来た。