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ダブル  作者: 茶の字
第1章 幼稚園時代
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第87話 今日の教訓「人を利用しちゃいけないよ」

 オレの目の前で、この空間の異常をどうにかしようとマークとワルテールがサバットを駆使してステッキを振るっている。だが深度一の壁に頼みの綱のそのステッキを弾かれて、マークとワルテールは手も足も出ず苦戦をしている。

 これでオレが追い打ちをかけてダブルを使って攻撃に転じたら、マークとワルテールはすぐに撃退出来るだろうが、ダブルをここで見せるのは馬鹿もいいところなので、その選択はしない。秘匿すべきは最後まで秘匿する。


 とりあえずアミックからの要請だった武装解除は面倒臭いので、逃げる方向で動くことにした。


「風壁」


 オレは廊下に風壁を展開した。ただただ風が強烈に循環する風の壁だ。ここに人の身で入るとおそらく天井にへばりついてしまうだろう。そしてそこから逃れる(すべ)はない。もしも逃れたら床に向かって落下するだけである。

 そして悲しい哉、マークとワルテールは風壁があることに目を向けてない。

 未だ慎重に深度一のあった空間をステッキでつついていた。だが弾かれることもなく深度一の壁が解除されたと判断するや、喜び勇んでオレの方へと飛びこんで来る。


「あ」


 マークが顔から突っ込んで、風に頭を持ち上げられてくるりとのけぞると、足が今度は風壁の中に入った。

 くるりと更に回転をかけられて、マークが尻から床に落ちた。

 回転がかかって頭から落ちずに済んだのは僥倖なのだが、マーク本人は怒っていた。しかもオレに対してである。理不尽である。


「マークはオレをステッキで叩いたよね」

 オレが痛かった手を掲げてみせると、そこを打ったのは私だけどなとワルテールが申し添えた。


「そうだったっけ。まあいいや。二人ともオレに攻撃をしたのは本当のことだし」


 ワルテールが黙って前に出た。そして慎重にステッキを風壁に向けて差し入れる。

 途端にステッキが上方に弾かれた。チッと舌打ちして攻撃の速度を上げ、サバットの技術も盛り込んだのか、ステッキを回して上から叩くと見せかけて下から回し、風壁へとフェイントをかけている。だがその技も、風壁によって天井へとステッキが跳ね上げられてしまった。


「む。先程のとは違う」「まだ何かあるわけだな」


 わかってないらしい。音も静かだし完全に循環してるから、視認できないと風の壁があるとは思えないからかも知れない。

 でもわかってないなら体感すればいいだけのことだ。

 二人はその場に留まって存分に検討するつもりだったのだろうが、オレは意地悪なので、残ったその風壁をマークとワルテールに向かって押してみた。


 ずいずいと風壁がマークとワルテールに向かって進む。


「おい」「何だこれは」


 自分たちに近づいて来る風壁にマークとワルテールが驚いていた。

 マークが自らのステッキの先端を入れてみる。するとその先端はものの見事に天井へと跳ね飛ばされていた。


「何度でも確かめたらいいさ」


 風壁は外側の上昇気流が内側では下降気流になっている。最初の壁を通過したらしたで床に叩きつけられるわけだが、それは内緒だ。

 そうこうしてるうちに階段の踊り場まで追い込まれて、ワルテールが足でも踏み外したのか景気のいい音を立ててゴロゴロ階段を転げ落ちる音がした。


 見届けるのはここまででもういい、とオレは判断した。


 あとは真理ちゃんを捜して合流するだけだ。

 真理ちゃんを捜すのは簡単だ。オレが深度一をかけたのだから、自分の感覚を辿って深度一のある場所を探すと、奥から二番目の右の部屋に真理ちゃんがいることがわかった。

 ティリオーダウンの接舷する桟橋があるが、ティリオーダウンは桟橋に対して横付けしてるようではなかった。

 それともこれが横付けしてる形なのだろうか。ティリオーダウンはティアドロップ型の強襲艦、強襲型惑星制圧艦だっけか、そんなとんでもない質量兵器でもあるので、ティアドロップの形からじゃどこが横で高さなのかもわかりづらいのだ。


 周囲も見渡してみる。予想以上に安全だった。人っ子一人いない。この階にいる者はみんなティリオーダウンにおそらく乗り込んだのだろう。

 この後の狙いを考えればその流れが自然でもある。


「ふむ」


 なんとなく悪戯心がわいたので真理ちゃんの深度一を解除する。

 オレは真理ちゃんが逃げ込んだ部屋への入室許可を求め、扉を二回叩く。

 それから──。


「ほとほと」


 とつぶやくと扉がガラガラと開いた。セプト製の重い扉だ。だが開くのは煌子力の補助があるのだろうか、簡単に開いてるようだった。オレがなかなか中に入らないので、真理ちゃんが脇に退いてオレを部屋の中に招き入れてくれた。

 扉の形状からしてわかるが広い部屋だった。

 荷物置き場の一つなんだろうか。おそらく宇宙から物資を届ける際に宇宙船からこの部屋へと荷物の出し入れをしてたんではないかとオレは思う。

 今はこの荷物置き場には水とお菓子類の段ボールが置いてある。これは艦隊にいる女性陣からのリクエストだろうか。これだけを見ていると、とても地球に対して含むところがあるとは思えない。

 その含むところが出来た原因は、オレなんだろうけど…………。


「それにしてもよくわかったね、真理ちゃん」

「何が」

「ほとほとのこと。ずっと前に決めたことなのに」

「その話はこの騒動の最中にも寛司くんとしたんだ」

「弟さまと?」

「うん。真司くんなら一番槍で突っ込んでるだろうねって話とかもしたよ」

「なんか覚えててくれて嬉しいような嬉しくないような微妙な塩梅?」


 それから真理ちゃんが扉から顔を出して右左と確認した。


「片付いたの?」

「風壁に四苦八苦してると思うよ。撤退しかないんじゃないかな」

「おつかれさまです」

「いえいえ」

「じゃあちょっとは時間あるのね」

「ちょっとなら」

「じゃあお願いがあるんだけど」

「ほい、なんでしょう」

「何が起きてるのかわからないから、通信機はほしいの。あの移動船に付いてたみたいな」

「あ、それオレも思ってたんだよ。真理ちゃんに要るなって」

「じゃあお願いします。喋らないで思念で話せるのがいいです」

「形はどうしようか。希望はある?」

「じゃあコイン型で。子供が持ってても怪しまれないでしょ。プラスチックとか、おもちゃ感満載のがいいかな」

「おっけ~。真理ちゃん以外が持ってもコインでしかないようにしよう」


 そしてちょろっとオレはダブル発動した。

 みるみるコインが出来上がってく。色は真理ちゃんの大地に合わせて、緑の大地色にしましょう。


「わ。すごい。本当ダブルって便利だよね」

「どうだろう。きちんと作動するか、ちゃんと確認取ってからじゃないと何とも言えないかも」

「あ、それはあるかも」

「あ、結構ひでー」

「酷い目に遭ったの、私と恵風なんだけど」

「そうだったそうだった。ごめんごめん」


 オレは真理ちゃんにコインを手渡した。真理ちゃんが裏表を確かめて念じてみる。


(聞こえる?)

(聞こえる。そっちはどう? オレが何て言ったか教えてね)


 真理ちゃんがうんと頷いた。

 もうこれで通じてるのはわかったし充分なんだけど──。


(オレは貧しい男の子。財布には小銭しかない。ご飯はあるけどおかずがない。でも買うお金もない。そうだ。うなぎ屋で匂いを嗅いでご飯を食べちゃうぞー。ぱくぱくぱくぱく食べました。食べては匂いを嗅いでまたぱくぱく。

 あー美味しい。

 そしたらお店の主人が出て来てオレに対してこう言った。たっぷり鰻の香りを堪能したんだ、金を払いな。

 いきなりそんなことを言われても。

 それでもお店の主人は譲りません。お金を払えの一点張りです。

 だからオレはお財布から小銭を取り出して財布の中に落として言いました。

 ──音だけな)


 真理ちゃんがキョトンとしてオレを見た。

 そして腑に落ちたようだ。


(おもしろ~い。でも長くて言えないよ)

((あはははは))


 オレと真理ちゃんは二人して笑った。


「というわけで実験成功。大丈夫そうだね」

「ね、今のお話なぁに?」

「江戸の小咄だよ。おもしろいでしょ」

「うん」

「小野先生が大好きなんだよ、これ」

「あー産婦人科の」

「そうそう。シッ」


 オレは口に指を当てた。


「あいつ、あんなことして生きて帰れると思うなよ」


 訝しげに周囲を睥睨してるのが手に取るようにわかる。マークの声だった。どうやら風壁を突破して来たらしい。でもそんな眼で見られたくないなー。


「くそ。スーツがざんばらだ」


 何か変な日本語だけど、どうやらマークはボロボロになってるようだ。


「フランスのマルションマルションを舐めるなよ」


 そう言って歌い出した。これはフランスの国歌だろうか。随分と勇ましそうだ。でもそれを言うならマークさん、あなたが相手してるのは侍男児だぞ。

 オレは真理ちゃんの右手を取って深度一に潜る。


「侍は必ず仇を討つんだぞ」


(あに)さま、それは言うな)

(え? 何で?)

(日本人だとばれる。折角くるる人とかいう人種と誤解させてるのに、それを自分から解いてどうするんだよ)


 アミックに名乗ったから気を抜いてたが、そうか、差異をつければそれはそれで実験の検証にもなるか。

 アミックの部下ではなく、ジャン・ジゼルの部下だと言うことだし。

 でもそうなると何でそんなのがここにいるのかわからないが、初期設定を続けた方がいいというのはわかった。


(そうだったな。了解)

(聞こえてないから大丈夫だけどね。気をつけようぜ)

(おっけ~)


 真理ちゃんを見やると真理ちゃんが頷いた。真理ちゃんにはしっかり聞こえてるようだ。

 だが深度一に潜ったばかりのオレと真理ちゃんに、思わぬところから横槍が入った。いきなりブースト深度一をぶつけられたのだ。

 オレの張った深度一が上から下へとあっという間に引き剥がされて行く。


「ここで消し飛ばすかよ」

 オレはこの一撃を予期していなかった。完全にやられた。


「いたっ」「荷揚げの作業場だっ」


 オレの声が聞こえたらしい。失敗した。でも足音はまだ向こうだ。

 急いで扉の鍵をかける。そしてその競争はオレの方が早かった。ドンドンと扉を蹴る音がするが本気ではないようだ。本気で蹴ったらセプトの扉は固そうだから、怪我をするのは自分たちだとわかってるのだろう。それにマークとワルテールは多分いまステッキしか持っていない。そのステッキも風壁を抜けてきた以上、その形状を果たしてとどめているかどうかも怪しいところだ。

 すると弟さまから連絡が入った。


(今ノーラの方に迎撃したんだけど、状態固定をかけようとすると、動きが速くて固定をかけるに至れない。どうする兄さま)

(笑ってないで位相拒絶でもぶつけてやってくれよ)

(応。あ、失敗した)

(え? マジ? どうして)

(通常空間にいるんだろ、多分)


 と言うことはオレたちの動きに合わせて潜ったり出たりしてるのか。

 対応力はあるんだな。手間を惜しむ(たち)でもないらしい。


(どういうことなの、真司くん寛司くん)

(あー、多分いまノーラに邪魔されてる)

(ブースト深度一には位相拒絶で対抗するしかないんだけど、ノーラを見つけようとしたら通常空間にいるみたいで見つけられない)

(位相拒絶は私達にかけてるの? 寛司くん)

(そう)

(ノーラは寛司くんより上? それとも下にいる?)

(たぶん上)

(じゃあ寛司くん、天井に位相拒絶を張っちゃって)

(おおおおっ)(天才かよ真理ちゃん)


 そこでブースト深度一がピタリと止まった。


(止まった)(止まってるね)

(どう? 負担あるかな、寛司くん)

(いや特には。あちらさんが無茶苦茶頑張りだした感はあるけど、オレの方は特に問題ない)

(よかった。じゃあ、しばらくこれを維持してれば大丈夫ね)


 そんな真理ちゃんにオレは話しかけた。


(このブースト深度一はオレたちを拒絶して入れてくれなくて困ったんだよ。やっと位相の拒絶って技を見つけて対処したんだけど、オレたちこれにかかり切りになっちゃうからさ。かなり苦労したんだ)

(でもこれならオレが天井に位相拒絶を張ってさえいればいいわけだからね。兄さまのトレースもずっと続ける必要もなくなるし、かなり助かる。ありがとう真理ちゃん)

(役に立ててよかったわ)


 マークとワルテールは荷揚げ場の扉に張り付いてることだろう。だが深度一を展開しちゃえばすぐ逃げ切れる。少なくともマークはエー・トゥールを持ってない。すでに送還してしまったからだ。

 セプト人が会場警備のために性能を落としたエー・トゥールを貸し出すのならわかるが、通常のエー・トゥールを地球の人間にホイホイ貸したりするとも思えない。セプト人からすればあくまで地球人は文明の劣る劣等人種でしかない。

 浸透戦略を主張してるのは、残留艦隊の中では最早アミック達だけなのかもしれない。


 全て予断だがそうそう外れてはいないだろう。流れがそういう流れなのは一目瞭然なのだ。

 その当たりが付いただけでも真理ちゃんの大功績だ。


 何よりいいのは、これでノーラをこちらの階に引きずり下ろせるということだ。弟さまが位相の拒絶をしてるから、ノーラも本気で攻撃するなら、同じ舞台に立たなければもう二度とその機会はない。

 そしてきちんと対峙すれば、そうそう後手に回ることもない。その自信はある。

 オレは真理ちゃんの右手を取り、もう一度彼女と深度一に潜った。


(真司くん。思うんだけど地下五階に人を集中させ過ぎじゃない?)


 何だろう。また真理ちゃんからの疑問だ。


(足止めかな?)

(だってすぐ隣にティリオーダウンがいるのよ)

(それはないと?)

(うん)

(あっ、そうかっ。しかもあれかっ。セプトからするとオレたちとアミック隊をまとめて始末できるチャンスでもあるのか)

(あとセプトのことをちょびっと囓ってしまった地球の人も)

(あっ)


 そうか。そういうことか。真理ちゃんは凄いところに気づくな。

 くそ。

 オレはティリオーダウンの巨大な船体を見ながら、自分たちの周囲も見渡す。

 射線は通りまくるぞ。水平に打てば、それだけでオレたちは全滅だ。その後に周囲の壁や地殻が崩れても、それから深度一に入ってもティリオーダウンの装甲なら充分に保つのだろう。強襲型惑星制圧艦とは言えティリオーダウンは立派な恒星間航行も可能な宇宙船でもある。


(人を集めてる最中だな。追い込み漁か)

(そうだね。餌は私達で、アミック隊とジゼル電気の関係者は私達を追いつめてるつもりで集められ、セプト本体はここに邪魔者をまとめて追い込みをかけてるんだと思う)

(そしてめでたく皆殺し、か)


 こっちは大決戦になると思ってたが、向こうは単なる虐殺で済ませる気だったらしい。オレよりよっぽど物騒な発想を持ってるんだな。そのことが身に染みてわかった。


(発想じゃなくて体験から来てるんだろうな。こんなやばいのを相手にしてるんだな)

(急ごう? 真司くん)


 請われるままにオレは急ぐ。だが逃げずに真理ちゃんを連れてふたたび荷揚げ場に舞い戻った。

 真理ちゃんも逃げた場所にもどるのに、抵抗もしないし質問もしなかった。理解が早くてとても助かる。真理ちゃんさまさまだ。

 オレはドアから少し離れて深度一を解く。ただし保険で自分たちに状態固定はかけておく。


「ねえ、マークさん、ワルテールさん、話を聞いてくれる?」


 返事はなかった。

 そこにいるのは見たからわかってるのに返事もしてくれないとはね。酷い大人だ。オレはともかく真理ちゃんはあなたたちを助けようと思ってるのに、その態度はないんじゃない。


「あー、もう聞いてくれてると思うから言っちゃうけど、このままじゃマークさんもワルテールさんもセプトの人たちに殺されちゃうよ?」

「そんなことはないから、ここを開けてくれないかな?」


 こんこんとノックする音がした。


「今セプトの人たちは地下五階に、セプトに関わった全ての地球人と、それからアミック隊とか邪魔な人を集めてる真っ最中なんだよ」

「子供が嘘を吐くのは今だけの特権だが、あまりに荒唐無稽だな」

「じゃあアミックと連絡を取ってよ」

「アミックさんは我々の上司ではない。無関係な人だ」


 そうだった。マークとワルテールはジャン・ジゼルの部下だった。

 あーもう面倒臭い。

 と思ってたら真理ちゃんに手を引っ張られた。


(敬称を付けないと説得にはならないよ、真司くん)


 なるほど。そういうものなのか。社会勉強だな。真理ちゃんありがとう。

 ということで──。


「本当に死んじゃうよ。何でセプトのこんな秘密基地にアミックさんの部下でもない自分たちが呼ばれたのか、おかしいと思わないの?」


 ぴたりと扉をノックする音が止んだ。


「後ろを見て。ティリオーダウンはいつでも撃てる体勢だってわからない? 姿勢がおかしいってわかるでしょ?」


 見てくれてるだろうか。気配は息を飲むような感じがするのだが、そう簡単には割り切れないか。アミックに連絡を取ってくれれば一発で本当のことだとわかってもらえるのだが、さて、ティリオーダウンの偉容を見てどう判断してくれるだろう。


 そしてオレが真理ちゃんと返事を待っていると、オレたちとマーク達を隔ててたセプトの特製の扉がいきなり爆散した。頑丈なはずだったセプトの扉がごっそりと消えている。

 ティリオーダウンからの攻撃だ。あいつら埒が明かないからとりあえずぶっ放したのだろうか。

 オレと真理ちゃんは状態固定をかけてるから傷一つ負わなかったが、マークとワルテールは別だ。彼らはただの人類だ。地球の人間だ。

 ティリオーダウンからの攻撃だから、扉の惨状を見た以上、もう彼らの息の根を止まったものと見るべきだろう。それはわかっている。だがオレは真理ちゃんの手を繋いだまま、そーっと扉のあった場所から顔をのぞかせる。


「あ、生きてる」


 マークの声だった。


「それはないだろ。オレはアンタの心配してたってのに」


 というかマークが生きてるならティリオーダウンからの攻撃ではなかったのか? でもそんな威力を出せる武器が他にあるか? ワルテールだってステッキしか持っていなかったのに?

 もうちょっとだけ壁越しに顔を出して見たら左手の方角に銃を構えるミランダさんを見つけた。アミック隊副隊長、あの聡明なミランダさんだ。


 オレが一目を置いた彼女ならわかってもらえる──。


 そう思って声をかけようとしたら、目の前の空間が突然破裂した。今までの比じゃない攻撃力のエー・トゥールだ。

 ミランダさんが牙を剥いたのかよ。

 しかもこの攻撃は壁越しに真理ちゃんを狙っている。真理ちゃんがいる場所を予測して狙って撃ったんだ。だから壁が粉々になる。真理ちゃんが拷問を受けてたことはアミック隊なら誰もが皆知っている。つまり狙いとしては真理ちゃんを足かせにしてオレを足止めにする。そのつもりだ。


「どいつもこいつも」


 何と言うか──。

 オレが利用するつもりでいたのに、オレのやってることと言えばアミックの尻ぬぐいばっかりだぞ。


 脳が痺れてます。あー疲れた。こっから構想通り行けば相当楽しんでもらえると思うのですが、さて。

 長いですが第87話、お届けいたしました。

 本来昨日書くべきだったのですが、応援を頂いたのは、しっかりせんか、まだまだ出来るだろ、という叱咤激励だと思ってます。そのことすら伝える余力が昨日はありませんでした。改めてありがとうございます。

 というわけで読んでいただいた読者さんへ、どうもありがとうございます。

 見つけてくれてありがとうございます。その気持ちでいっぱいです。

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