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第3章 印象

金沢君。そう、私はこの人と同じクラスだった。



実は密かにクラスの中では上位の男子なんじゃないだろうか。なんて考えていた頃もあった。


私はチャラチャラしてる男が嫌いだ。

髪を染め、ピアスをあけ、ケツまで制服のズボンをずり落としているような 男子。


彼等は彼等なりの自己表現をしてるようでそうでない。結局すべてがみんなのマネ、みんなに合わせてるだけであってそこには自我なんて存在しない。

それを『かっこいい』と思い違えてる人は多く、先生にピアスを注意された時自慢げに辺りを見渡しながら大声をはって先生をちゃかすような男子がいると、それだけでかなり胸くそが悪くなる。


まぁ、何が言いたいのかと言うと金沢君にはそういう要素がない。どこか大人びた感じがすると私は思っていた。ちゃんと自分を持っていて、周りのことになど左右されない人…

なんて、私なりな評価を付けたところで私の考えも周りとは違っていた。



2年になったばかりの頃真理は自分のクラスを見渡しながら、言った


「けっこー今年いいかも!去年は男子終わってたからなーっ」


満足そうに言う真理の目に1人の男子が映った。


「あれ誰?」


周りに人がいるのに大声で思い切りその男子を指差した。

私が、わからない。と答えるとすぐさまその男子の所に走っていった。戻ってくるとまた大声で


「金沢君だってぇー!前は7組だったらしいよ?」


と聞いてもいないのに話してくれた。真理の話はまだ続く。


「きっと下の階だったから気づかなかったんだねーあんな背、高いから気づくもんだと思った」


敬礼をするようなポーズで金沢君の背の高さを表した。


金沢君は特別かっこいい訳ではなかった。ただ背の高さだけが彼を目立つ存在にさせていた。


背が高くてノリがいい。この要素だけで大抵はだいたいの女子にモテる。しかし金沢君は違っていた。

それは不思議ちゃんならぬ不思議君だと言うこと。私はそこだけが気になっていた。

彼の出す雰囲気は人とは違う気がした。なにか特別な人というわけではなかったが雰囲気だけは、違う気がした。



そんな真理と私とはうって変わって美樹は金沢君のことなどこれっぽっちも興味など持っていなかった。騒ぐ真理を見た美樹は私の横で小さく


「ばっかじゃないの」


と言った。


この時ら辺からだろうか…美樹はなぜか内向的になっていった。男子とは全く話さず、女子もクラスの人としかつき合わない。私に比べれば女友達は多いほうだったが一定の女子としか話さなくなった。



真理の方はと言うと、それ以来金沢君にしつこく話しかけ、その度に金沢君は少し会話をして逃げるように教室から出ていってしまった。すっかり気を悪くした真理は1ヶ月後には金沢君の印象が最初とは全く変わっていた。


「あんな暗い子と思わなかったー。気づかないの当たり前だわ」


その後は金沢君に完全に興味をなくしたらしく、他の悪ぶっている男子と時間を共にするようになっていた。

私の中でも『話しにくい人』と金沢君はインプットされ、話すことは一度もなかった。


まぁ、前に言ったように私は男子とは話さない方だが。

  

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