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第2章 金沢雪夜君


「おぉ、2年4組の美化委員か。」


それ以上先生がなにも言わないから両手を振りながら聞いた。


「先生、これなにすればいいんですか?」


さっきの担任同様、この先生も驚いた顔をした。


「おぃおーい。委員会入ってもう3ヵ月近く経ってるんだぞ?いい加減覚えなさい」


覚えなさいって…だってなにやるかなんて聞いたことないし。わかるわけないじゃん!つうか、もう1人の委員はどこだよ!?


「すみませんわかりません。教えてもらえますか?」


嫌みに聞こえないように。でも少し反抗するように私は声を出した。

すると先生との目線が合わない。

すぐに後ろから声がした。



「三澤先生。」


…この先生三澤先生って言うんだ。なんて一瞬思って振り返った。




あ。


「金沢。同じクラスだろ?美化委員の仕事教えといてくれ」


そう言うと三澤先生は校庭の方へ向かった。


そうだ…もう1人の美化委員。金沢君



金沢、雪夜君。


無言で私の前を通ると、鮮やかな手さばきでだらしなく結んであるゴミ袋の口を締めた。

手袋とゴミ袋を両手に持って突っ立ってる私はまるで役に立たない存在だ。


私に見向きもしないで他のゴミ袋の口をきつく締め続けている。先生の言葉なんて聞かなかったみたいな感じだ。

だからどうすればいいの!?苛立つ私は思わず声を出した。


「ねぇ…」


すると後ろからキンキンする複数の女子の声がした。


「これぇ!!これもっ!!お願いしまーすっ」


めちゃくちゃ大きい今にもはちきれそうなゴミ袋をドサッと私の目の前に置いてさっそうと行ってしまった。

どうしたらいいのかわからず私はとりあえず中に入れようとゴミ袋を持ち上げた。腰に来るほど重い…思い切りゴミ袋を抱え込むと


ビリッ ドサドサー


足元にゴミが散乱した。

前かがみになった体制のまま金沢君が口を開いてこっちを見てる。


「なにしてんの?」


初めてちゃんと私の顔をまともに見た。そういえば話したことない。

なんてそんなことじゃなくて


「ごめん」


まばたきもしないで金沢君の顔をまじまじと見ながら真顔で答えた。


「ごめんあのさ、教えてくれる?…仕事」


金沢君の顔は見えなかったが、肩の動きからして確実にため息をもらした。しかも大きめの





一通り美化委員の仕事を説明してくれた金沢君は


「わかった?」


と最後に付け足した。

喋り方が巧いな。なんて考えながら私は首を前に傾けた。

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