ファーストコンタクト1
2019年9月2日夜明け前。
弘明はパソコンの前で口を開けていた。
モニターに映る掲示板の投稿に、驚いていたからだ。
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スレッドが7件あります。
1.お母さんへ 2018-08-02 23:21
2.お腹が痛いんです。助けてください。2018-09-01 05:22
3.遺言 2018-10-10 20:18
4. 行き詰まったら、読んでほしい。私からのプレゼント 2018-12-24 19:04
5.みんな、騙されるな 2019-02-21 12:28
6.どうしたらいいんでしょうか 2019-06-22 07:52
7.(new)私は栗山加奈です。投稿して下さい。必ず返事をします。2019-08-19 22:03
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この文章には力を感じた。
この女性は、自分と同じように気がついている。
良かった。
自分の考えている事は間違っていない。
弘明はキーボードを置き直した。
カタカタと入力する。
自然と笑みがこぼれる。
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title:re:私は栗山加奈です。投稿して下さい。必ず返事をします。
初めまして。
私は宇野弘明といいます。
いない人同士で、話したりしても大丈夫な事に気がつきましたか?
私も、先日おじいさんとほんの少しだけですが、話す事ができて、わかりました。
でも、どこに住んでいるかは、わかってません。
まずは、お返事をいただけませんか。
私も多分、書いてもらえたお返事に、お返しができるはずです。
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「こんなもんかな」
弘明は登録ボタンを押した。
少し躊躇ったが、そのまま勢いをつけた。
しばらく待つ。
何も起こらない。
「やっぱり間違ってなかった」
安堵のため息とともに笑いがでた。
「はははっ。もう1人にならなくていい。誰かと、誰かと話が出来る」
久しぶりに解放された気分だった。
弘明は返事を待つことにした。
心配なのは加奈という人がもう生きていない場合。
半月も経つと、どんな事が起こっているかわからない。
その時は、別の要素が働いて、いなくなった場合も考えなければいけない。
少し不安がなかったが、そうならない事を祈って。
弘明は早めのシャワーを浴びる事にした。




