シナリオⅣ 3 後章 第1話
シナリオⅣ 3.11〈私が変わったときに変わり、私が頷いたときに頷くような友は必要ない。そんなものは、私の影がずっとうまくやる〉
I don’t need a friend who changes when I change and who nods when I nod; my shadow does that much better
草創歴0449年9月(9/1)
この日、荒れ模様渦巻き雷鳴鳴り止まぬ中、帝都「喜見城」にて、大規模なる「栄典の儀」が催された。
本来であれば武勲を褒め称え、栄誉を授与する壮大な式典である。
だが近年、帝国総軍は攻めあぐねるばかりか、戦況は膠着状態に陥っていた。
シナリオⅣ 3 後章 序説
中央大陸北西部に於いては、民間組織「クリシュナ派」の活動が更に著しく活発化していた。
その本拠地たる人工島「アルキストラテゴス」は外洋へと逃れ、その所在地は杳として知れない…。
のみならず、南部内陸に於ける第弍帝国総軍が対帝国同盟「カイト」によって陥落。
フィデース・レグヌム(教皇國)キアを除く、南部内陸全ての国家及び小都市が傘下に加わり、目下最大の敵対勢力と言えた。
南東諸島群に於ける第参帝国総軍進攻の度合いも停滞し、摩皇軍と法王院との三つ巴、教皇会介入の末に、連絡途絶の只中にあった…。
何者かによって第参帝国総軍は乗っ取られたとの風聞も聞こえてくるが、その真偽は定かではない。
最中の「栄典の儀」は、第肆(四)帝国総軍の「賢者の山」殲滅戦敗走の憂き目を補填する、「鉄鎖騎士団」再編成に他ならなかった。
アルキストラテゴスを取り逃がした責を取り、帝国軍第肆階位、肆(四)大総統の一人、マスター・エイヴィスの配下に組み込まれる事となったのだ。
無論、憤然やるせない。
とは言えども、遂に正規軍に編成されたと思えばこそ、「電子の監獄」(センテンスト)に手出しし難い事実。
「ラミナ=プロクルサトール(剣聖)」マリティネーテ・ディギトゥスメディウスは、配下にそう諭した。
今は耐え忍ぶ刻であると…。
で、あるならばと鬱屈した心のままに、最終内壁「金剛牆」前庭に整然と騎士等は立ち尽くす。
元より、肉親を囚われ従うばかりの虜囚の騎士団に士気がある筈も無い。
「チョール・ゲルニカ(国歌の都市)」に於ける敗戦のトラウマ深く、先の戦いでも多くの同胞が亡くなった。
やるせない気持ちが高まるばかり。
生き残り、補充された彼等の唯一の支えたるマリティネーテ嬢とて、一時消息不明になったものの、負傷の身を推しての「栄典の儀」参加である。
マリティネーテの顔色は傍目から見ても優れない。
常に側近として控えていた筈の、「栄光位騎士」ヒロト・グラーティア・ドゥーロの姿は失われていた。
代わって副官として控えるのは、「金眼の社」のケンタ・ウルス・タングマアイである。
だが事は第肆(四)帝国総軍の再編成には収まらず、急遽に「次期帝位継承の儀」が御披露目と相成った。
滅多に公けの場に姿を現さぬ初代帝位「ラシュア・エクナス」が、その日に限っては、設えられた謁見の座に現れたのである…。
異質な甲冑に全身を覆われ、その素肌を垣間見ることも叶わず、顔貌に至っては論外である。
にも関わらず、それがラシュア・エクナス本人であろうと無かろうとも、その形容し難い威圧感は他を圧倒していた。
悍ましき夜の住民「永劫種」にして、肆(四)大総統の一人、マスター・エイヴィスでさえも畏怖し頭を垂れる。
マリティネーテ嬢もそれに従い、臣下の礼を取った…。
「……。」
「宝槍家」の遺伝子に組み込まれた、教皇会への絶対服従の因子が彼女の精神を蝕む。
だが、蝕まれていると実感出来るだけ、今の己は解放されているのだと自覚出来る。今までに抱いた事も無き感情だ。
これは亡き婚約者、同じくハイランダー(貴戦士)であり、轡を並べ共に競いた「ファルコン・メーカー」の魂が与えた奇跡であると言う他ない。
彼の魂を今もまだ近くに感じる。
なればこそ、その想いに応えようと誓った。
彼の囚われの弟、ジ・ハド煌王國の銀翼の将を救わんが為にも…。
そんな彼女の心の葛藤はさて置き、次期帝位継承者が壇上に上がるや、動揺が一気に拡がった。
「なっ…なんと…。」
元より、先の公爵ガーランド家(我園家)は断絶しており、ラシュア・エクナスは公爵位を受け継いだものの、縁もゆかりも無い出自とされる。
当時、草創歴424年、剣の師範役であったラシュアが継承者となったが、恐らく今回のそれは、それを上回る事態と知れた。
漆黒の甲冑を纏い、威風堂々と姿を現したのは誰であろう、クリシュナ派の参謀役として名の知れ渡った「ヤーマンターカ・ハヒキ」、その人である。
その傍らには、煌びやかな和装の衣を身に纏いし、リュー・シュレンメイの姿もあった。
だが、その面差しは冷ややかであり、見知った者は違和感を覚えるであろう。
しかして、それがリュー・シュレンメイのもう一つの顔。「左近の橘」としての顔であった。
「御神座」を補佐する約定に則とり、どういう経緯を辿ろうとも、運命を共にするが務め。
眼光鋭く、絶え間無く憤怒の表情を宿したヤーマンターカの変貌ぶりに関わらずとも…。
だが「右近の桜」はこの地を後にした。
リンベル・カセンショウは、ヤーマンターカの身に起きた異変を伝えるべく、彼等の母国たる東の祇園「戸隠の郷」(レクスサクリフィクルス)へと舞い戻った。
リューに後を託し、必ず戻ると告げて…。
だが刻は無情に過ぎ去ってゆく。
友と交わした誓い、その形骸。
その象徴とも言える次期帝位継承者が、ヤーマンターカ・エクナスと名を改め、その座に就いた。
それは初代帝位ラシュア・エクナスに次ぐ、肆(四)大総統を指揮する立場にある事を証明する。その副官であるリュー・シュレンメイも同様だ。
マスター・エイヴィスにとっても、寝耳に水の人事であった。
恐らくこれは、腹心とも言える帝国軍第壱階位、闇将軍にも独断の事と思われる。
とは言え、誰であろうと異議を唱えるだけ無駄なこと。
マスター・エイヴィスの影に身を潜めるヴィンター・パトリオティスとて、見透かされているかのような錯覚を憶える…。
「覇光核」の霊子配列構成図をもたらし、ソルティア公国(現帝国)の文明レベルを飛躍させた人物こそがラシュア・エクナス。
…底知れぬ男であるのは言い得て妙であった。
(^ー^)ノ後半戦の1話目は…ヤマさんの変貌から。
そして続々とゲスト?キャラも登場予定ですww




