プロローグ
なんでしょう……どう書けばいいのかわかりません。混乱しながらひたすら続きを書いている感じです。
ちなみに名前に特に意味はありません。
完全に手探りなので、アドバイスがあればいただきたいです。
一応五万文字まで書きました。更新ははやめにしていきたいです。
英雄たちは空を見上げた。
中心となる人と魔の住まう世界の外枠に、この世界はある。死した英雄たちはそこで、かつての因縁を収め、平穏な生活を過ごしていた。
その世界はなにもなく、ただ木々と草地と荒野があるだけのつまらない世界。英雄たちは暇を持て余し、娯楽と言えばかつての騒乱、かつての野望を思い出したり、武や知を競い合ったりすることである。しかし――それは数年、数十年と時を経れば飽きてくるもの。すでに新たな英雄が生まれなくなって五十年余りの年月が経った。
なんか起こらないか、というぼやきに似たそれが呟かれるとき、1人の少年が降ってきた。
今まさに服をはためかせ、落下している。悲鳴がないということは、恐らくは気絶しているのだろう。
それを見ていた三人の影があった。
「……アウリュアレ、アレを地面に落ちる前に止められるか?」
1人の老人が、妖艶な美女へと問う。美女は顎に手を当てる。
「大丈夫かしら、ギリギリで止めてその反動で破裂したり」
少年ははるか空の上から、物理法則にしたがい加速している。一瞬目を逸らし、再び同じ位置を見れば影も形もなくなっているほどに、速く落下している。
「ひぃぃ、やめてー!そういうエロのない血なまぐさいこと言わないでよぉ!」
長い耳を持った金髪の少女が耳をふさいで、かき消すように叫んだ。
老人は呆れたようにため息をつく。
「少しずつ速度を落とせばいいだろう」
「――し、知ってたわよ」
「ほうほう、儂試されちゃった」にやにやと老人は笑った。
「うるさいわね。御年千歳は黙っていなさい、このアホ髭ぇ」
「処女が化石になっとる女は言うことが違うの」
女性はかあっと顔を真っ赤に染め上げた。びしりと老人を指して、叫んだ。
「絶対絶対絶対許さないからな!?お前絶対覚えてろよ!――っと、喧嘩してる場合じゃないわね」
美女は虚空へと手を伸ばすと、何もない場所から一本の白い杖を取り出した。
先端を落下する少年に向けた瞬間、青白い光が少年の体に灯った。
加速は一転減速を開始し、地面に着くころにはゆるやかなものとなる。
音もなく地面に横たわった少年に、三人は近づいていく。
目を瞑り、胸は上下している。生きてはいるようだ。
「イグニス、この子どうするの?」
アウリュアレは杖を消しながら訊いた。
「儂の家まで運ぼうか。アウリュアレの家は足の踏み場はないだろう」
「ぐぐぐ、まぁそうだけど……」
「私の家近いよ?」
首を傾げて、エルフの少女は言った。二人は顔を引きつらせる。
「お主、気絶している男の上で腰を振って搾り取るつもりか」
「犯る気満々ね、この淫乱エルフ」
心外だ、と言わんばかりんにエルフの少女は叫ぶ。
「さすがに下心は八割よ!」
と、弁解にならないことを述べた上で、それにと続ける。
「見た感じ成人前の一番おいしい時期じゃない、干からびたって一日で戻るわ!食事の世話を完璧にすれば、毎日搾り取れるわ!最高の時期よね!」
「……若き命を削り取るわけにはいかないな」
「そうね、とりあえず運び込んだらアルビレオを呼んで健康診断しましょう」
「うむ、名案だ」
二人が頷き合い、少年へと再び視線を向ける。
「いいじゃない、限界の生命の灯火こそおいしいのよ」
当然返答はない。それでも気にせずに見た目不相応な妖艶な雰囲気を見せ、エルフの少女は口回りをぺろりと舐めた。
「そう、知識のない若い男に出しすぎると悪いことになるとか恐怖を煽りながら腰を振る。温かいものに満たされるのを感じながら嘲笑うの、我慢できないのは貴方が悪いのよ、貴方はすごい変態さんなのって、幼いっぽく振舞いながら無邪気に笑うとね――」
反応はされなかった。あぁこれガチで無視されてるわ、とエルフの少女は嘆息し、やれやれと両腕を広げた。どう見てもこっちがそぐわない言葉を発しているというのに、いい性格をしている少女である。
「む、起きそうだな」
その声と共に、少年はうめき声をあげた。そして、ゆっくりと目を開いた。
「起きたか。大丈夫か?」
「え……は、はい」
上半身を起き上がらせて、周囲を見回す。
「ここは……いや、あなたたちは……」
困惑する少年の前に、エルフの少女が躍り出た。
「痛いのが嫌い、血なまぐさいのも大嫌い、でも破瓜の痛みは快楽、メイリンちゃぼぉぉ!?」
エルフの少女は上から降ってきた老人のげんこつにより、ごろごろと地面を転がる。
「小粋で小悪魔的な場を和ませるジョークだったのにぃ!」
「お主の見た目でキッツイ下ネタなんぞ、ドン引きだと何度もいっただろうに」
老人は額に手をあててため息をついた。視線を挙げて、少年と視線を合わせる。
「この場所については話そう。そしてそれが終わればお主についても問いたい、良いかね?」
何事もなかったかのように続ける老人と、転げまわるエルフの少女。
引きつった顔で、少年は頷いた。
「うむ、じゃあ向かうか。そういえば――君の名前を教えてくれるかね。私はイグニスだ」
「……えっと三室啓介ッス」
「ミムロケイスケ?ミムロが名前でいいのよね?」
女性の言葉に、少年は慌てて訂正した。
「ケイスケ・ミムロッス。ケイスケが名前にあたるッス!」
英雄の領域と呼ばれるこの世界に、異常な少年が舞い降りた。彼はただの人間で、英雄たちと比べれば、なにもかも足元には及ばないだろう。
ただ三人は一つ未来を予感させた。
退屈のなくなった未来を。
啓介はこの時は知らなかった。
――英雄たちの玩具になる未来を。