No.8 消えた帰路
オールブレスが石化した?
それって…
「このままじゃ地球に戻れない…わね…」
フォックスが言う。
そうだ。
それたちがここに来られたのも、オールブレスのおかげだ。
どうしよう…
なにか、地球に戻る為の手段は―――
「プルーム・ブレイド」
ザンッ――――
俺は無意識に飛びのく。
えっ?…
さっき、今日のゲーム分のロボットはすべて倒したはずだ。
でも。
誰かが、俺たちを斬ろうとしてきた。
「邪魔者発見。直ちに排除する。」
前方には、濃いピンク色の髪を肩のあたりまで伸ばしていて、それと似た色のメガネをかけた少女がいた。
左手首には、ピンクを基調としたオールブレスらしきものを巻き付けていて、
そこからは、光で成る、翼の形をした刀が出ていた。
刀には、ほんの少し血がついている。
血?…
俺の左腕を見ると。
ほんの少しだけ、斬られた跡があった。
ほんの少しだけ、血も出ている。
おかしい。
この世界のゲームでは、どんな攻撃を喰らっても怪我はしないはずである。
実際、ロボットたちと戦った時は、6・7発位銃で思いっきり撃たれたが、
何もケガを負わなかった。
「竜青!!」
黄竜が、焦った様子で駆けてくる。
「あのレディは、ゲームの登場人物じゃない。
だから、戦ってまともに攻撃を受けたら、
最悪の場合、俺たちが死ぬ。」
…っ!!
死ぬ?!…
それは…絶対に嫌だ。
『ここはとにかく逃げた方が…』
ザンッ―
フラースの言葉の途中、また少女が攻めてきた。
このままではマズイ。
『竜青、俺の背中に乗れ!
飛んで逃げるぞ。』
「ああ。」
俺は、フラースの背中にまたがった。
途端、フラースが一気に飛び上がる。
「黄竜とフォックスは?…」
心配だ。
フラースに問う。
「大丈夫、問題ないぜ!」
左側から、黄竜の声が聞こえた。
左を見ると、
黄竜が、天使のような、少し黄色の混じった白い羽を携えて飛んでいた。
「黄竜!…よかった!!
つーか飛べるのか?
あと…フォックスは?…」
頭に浮かんでいる事を次々と言葉に代える。
あ…でも待て…
天使の様な翼って…
黄竜、もしかして死んで―――
「フォックスは大丈夫。
今だってここにいるから。」
ほら、と黄竜の背中の羽を指す。
「実は、フォックス、いろんなものに化けることができるから、
こうやって俺の羽になる事もできるのさ!
さすがの俺も、俺だけじゃ飛べないよ!」
よかった。
黄竜もフォックスも無事で…
「倒す。」
いつの間にか、少女が前方にいた。