No.7 リアルゲーム
リアルゲーム中、俺は敵のロボットに追い詰められてしまったが、フラース、フォックス、黄竜が助けてくれた。
次はもっと考えて戦わなければ。
あれ、そういえば…
「ヒロインの子は?…」
「え?…」
ロボットと戦う前まで一緒にいた、ヒロインの姿が見当たらない。
不意に、
「皆さん!!」
ヒロインの、叫ぶような声がした。
ヒロインは、さっきのビルの所に隠れていた。
「何かあったのかい、レディ!?」
黄竜がすかさず大きい声でヒロインに聞く。
「まだロボットがいますっ…
あっ、後ろっ!!!」
とっさに後ろを振り向き…
ザンッ―――
刀を思いっきり振ったような音。
俺はぎりぎり、飛びのいてかわしていた。
さっきまで俺のいた所の空気を、思いっきりロボットが切り裂いていた。
「あっぶね…」
キッとロボットに向き直る。
俺を切り裂こうとしていたのは1体のロボットだけだったが、そいつの後方には、まだ4体ほどロボットが構えていた。
「次はサクッと終わらせようか!
フォックス、ソード・スラッシュ!」
「フラース、ウイング・スプラッシュ!」
「了解!」『了解だ!』
フラース、フォックスが技を放つ。
瞬殺。
2体のロボットは光り、弾けて消えた。
残り3体。
コイツらにも同じように、フラースたちの技を御見舞いしてやった。
「完全勝利、だな。」
黄竜が満足そうに腕を組んだ。
「あのっ」
ヒロインが、俺たちの所に駆け寄ってくる。
「ロボットを倒してくださり、ありがとうございますっ!」
また勢いのいいお辞儀をする。
そして、少しうつむき気味になって話を続ける。
「でも…まだ、この国にはたくさんのロボットが潜んでいます。
これからも、ロボットを倒してくださいますか?…」
真っ直ぐと俺たちを見つめる。
YesでもNoでも受け止めてくれそうな優しさと、
どんな結果になってもこの国を守るんだという強さを兼ね備えた、
そんな目をしていた。
俺たちの答えは。
「もちろんだ!!」
ヒロインの目が大きく開く。
「ありがとうございますっ!!
私も…私も、ロボットと戦えるように頑張ります!
今後とも、よろしくお願いいたしますっ!」
またお辞儀。
「よろしくな!」
俺からも挨拶。
とびきりの笑顔つきで。
では、私はこれで。と言って、ヒロインは去っていった。
やっぱかわいいなぁ…
俺は、ヒロインの姿を見送っていた。
「これで、今日のゲームは終了だな。
どうだった?初めてのリアルゲームは。」
黄竜が聞いてきた。
「最高に面白かったぜ!
怪我はしないのに本気で敵と戦えて楽しかった!」
俺は興奮気味に感想を述べた。
「そうか、よかった!
じゃあ、地球に戻ろうか。」
俺は、こっち(バーチャルワールド)に来るときのことを思いだす。
「あ、待って黄竜。
帰る時の合言葉って何だ?」
こっちへ来る時、俺は合言葉がわからなくて、危うくバーチャルワールドに行けない所だったのだ。
「Back to the earth。
わかり易く言うと、バック・トゥ・ジ・アースだ。」
「ありがとう!黄竜!」
礼を言う。
「それじゃあ早速。
Back to the earth!!」
行きと同じように、大きい声で合言葉を言ってみた。
しかし…
「あれ?…地球に戻らねぇ…」
合言葉を言っただけで、何も起こらない。
「え?そんなはずはないぞ。じゃあ俺が…」
黄竜がおかしいなと首をかしげている。
『おい、ヤバいぞ…』
フラースは何か気づいたのだろうか。
青い顔が、青ざめている。
『オールブレスが、石化してるぞ…!』
「えっ!?…」
強い風が吹いた。