No.4 フォックス
俺の相棒が決まった。
名は、見た目がペガサスのようなので、飛ぶ馬→Fryフライ+Horseホースで「フラース」。
これから、こいつとどんな未来をつくっていけるのだろうと、期待に胸を膨らませていた。
「アグリーが決まったところだし、早速バーチャルワールドに行こうぜ!
ロボット王国でゲームだ!」
黄竜が言った。
「おう!」
「それじゃあ…Let’s go to the Virtual World!!」
え?今なんて言った?
レッツゴー…?
というか、さっきまで隣にいた黄竜がいない。
まさか、さっきのでバーチャルワールドにワープしたのか?!
どうしよう、取り残された…
だいぶがっかりしているのが顔に出ていたらしい。
『今あいつが発した言葉は、地球からバーチャルワールドに行く時の合言葉だ。
開けゴマ、みたいな。』
フラースが教えてくれた。
でも。
「あいつ、なんて言ってたんだ?…」
それがわからなければ、黄竜がバーチャルワールドにワープしたことはわかっても追いつけない。
『Let’s go to the Virtual Worldだ。ゆっくり日本語っぽく言うと、レッツゴートゥザバーチャルワールドだな。』
フラースが教えてくれた。
じゃあ、俺も黄竜と同じように…
「いくぜっ、レッツゴートゥザバーチャルワールドぉっ!!」
思いっきり合言葉を唱える。
俺とフラースはまばゆい光に包まれた。
光が収まるとそこは、見慣れない風景。
青い星地球が見える青空が広がり、目の前には、最上階が見えないほど高くて立派な白い高層ビルがそびえ立っている。
ぐるりと周りを見渡すと、真っ白な高層ビルがいくつも建っているが、住民はいないようだった。
ビルがたくさんあるところの道は白く、きちんと整備されていたが、俺たちがいる一番高いビルの前は、土がむき出しの土地だった。
聴こえるのは風の吹く音ぐらいで、とても静かだった。
「竜青!」
黄竜の声がした。
振り向くと、黄竜と、黄竜の肩の上に乗っているキツネがこちらに向かって歩いてきた。
「そのキツネ、ペットか?
黄竜がキツネを飼ってたなんて知らなかった!」
俺がそう言うと…
「あぁ、コイツは俺の…」
「キツネなんて失礼ね!アグリーよっ!!」
黄竜とキツ…アグリーが同時に何かを言った。
言い出すのは同時だったけれど、キ…アグリーの言葉のほうが大きかったので、アグリーの言葉は聞き取れた。
なんか牙をむき出しにして、毛を逆立てて…俺に威嚇してる。
…プライド高いやつなのかな?
キツネって言っただけで怒られるなんて…
別に俺は、アグリーを怒らせようとして「キツネ」と言ったのではない。
ただ、額にオレンジ色の宝石がついているだけで、見た目が見るからにキツネだから…
黄竜がまぁまぁとなだめると、アグリーはしょうがないわね…と大きくため息をついた。
そして、さっきよりは優しい、でも強い言い方で。
「私は、黄竜様にお仕えするアグリー、フォックスよ。」
自己紹介をしてくれた。
心を許してくれれば優しそう。
なんか、知らない人から見た黄竜みたいだ。
フッと、いつの間にか入っていた力が抜けた。
「さっきはごめんな。俺、越谷竜青。こっちが、俺の相棒、」
『フラースだ。』
「よろしくな!」
フラースと一緒に、俺は笑顔でフォックスに向けて挨拶をした。
俺があやまったことに満足したのだろうか。
「よろしく。」
フォックスも口元に笑みを浮かべて挨拶を返してくれた。