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白雪姫の継母に転生しました。

白雪姫の継母に転生しました。さて、崖落ちENDを避けるにはどうすればいいでしょうか?

作者: 天音 神珀

「お継母(かあ)さま、酷いです……」

「……」

「私、私こんなにも頑張ってるのに……お城の外にも行っちゃいけないんですか?」

「…………」

「お願いです、お継母さま! 一目で良いんです、お城の外を見てみたいんです……!」

「………………」

「お城の中の掃除も頑張りました、お庭の水撒きも終わりました。お継母さまの言うことは全部終わってるはずです……っ」

「……………………」


 ええと。


 これ、どういう状況なの?






 まず状況把握。状況把握しないとね。意味わからないからね!


 ええと?


 まず。私は高校3年生で、受験勉強真っ最中で? で、さっきも数学の授業を受けていて?


 うん、それで教師に質問に答えろと立たされたんだよね。そこまでは覚えてる。オッケー、問題なし。


 で、ここからが問題。


 聞かれた問題の答えがわからず、何とか答えを導き出そうと考えて……そしたら。


 突然の、立ちくらみ。


 そして、冒頭に戻る。


 私と同じくらいの年だろう綺麗な女の子が、目の前で跪いて上目遣いで私を切なげに見上げている。黒い髪、真っ白な肌、バラの花みたいに赤い唇。でも着ているのはボロボロで継ぎ接ぎだらけの、言っちゃ悪いけどみすぼらしい服。あちこち汚れてるし、袖口は擦り切れてるし、裾は所々破れているのがわかる。


 周りを見回してみる。明らかに教室じゃない。というか現代日本でありえないような、えー、何ていうのかな。そう、洋風の豪華なお城の中みたいな。そんな感じ。その玉座に何故か私が座っていて。


 見下ろしてみると、私が着ているのは……あれ、何か玉座に座っていると言う状況に似つかわしくないほど目の前の女の子と同じくらい酷い服着ているんだけど。何だこれ。というかよくよく見てみるとお城の中も妙なほどがらんとしてる。内装は確かに豪華だけど、調度品の類は全く見当たらない。赤い絨毯が玉座からその向こうまでずーっと伸びていて……それしか鮮やかな色が見当たらないんだけど。


 この子はこのお城の召使かなとか思ったけど、玉座に私が座っていて私の服がみすぼらしくて極めつけに彼女が私を「おかあさま」とか呼んでいるって言うことは、召使じゃなくて……うん? まさか私の娘なのか?


 ……ごめんよく状況が把握できない。いや別に誰に謝らなければいけないわけでもないんだろうけど。


「お継母様! お願いです、どうか、どうか。お城の外に」

「いやあのうん、別に良いよ?」

「え?」


 私がやや戸惑いつつそう言うと、女の子は私を縋りつくような目で見上げてきた。


「ほ、ほんとですかお継母様!?」

「え? いやそのなんと言うか、嘘をつくほど重大なことでもないよね?」

「でもでも、お城の掃除がまだ終わってないんです!」

「……………。…………? さっきお城の掃除は頑張ったって言わなかったっけ?」

「頑張りました! でも、お城の中は凄く広いから、私一人じゃ終わらなくて……」


 まさかこのお城の中この女の子が全部掃除してるのか? 召使は? いないの? ええ?


「ええと判った。頑張ったんだったら、まぁ良いんじゃない? 城の外で気晴らししてきたら?」

「でも、お掃除がまだ終わってないです……」

「そんなに掃除が気になるなら私がやっておくよ」


 よく判らず、親切心で私がそう言った途端、女の子は凄い剣幕で私に怒鳴りつけてきた。


「はぁあァ!? ……そんなのいけません! お継母様は女王さまなのですから! 私一人が辛い思いをすれば良いんです! お継母様がお掃除なんてなさることないです!」


 ……なんか一瞬鬼女のような顔にならなかった?


「? ええと、よくわからないけど、掃除しなくて良いなら助かる。で、私ちょっとあの、一人になっていい?」

「あぁ! お継母さま、やっぱり私はお外に行ってはいけないのですね? うぅ……っ」


 突然泣き崩れる女の子。


 ……もしかして、ちょっと危ない子?


「あの、泣かないでもいいと思うんだけど……」

「ご、ごめんなさい! お見苦しい所をお見せして、ごめんなさい! お掃除してきます……!」


 女の子は顔を両手で覆い、走り去って行った。


 ……。


 …………。


 あの、私、どうすればいいのかな?


 訳がわからぬまま玉座で考え込みかけた、その時だった。


「あ、君はこっち見なきゃいけないからね、こっちこっち!」


 背後から声が聞こえてきて、私は思わずそれに振り返った。


 でも、なんにもないし誰もいない。


 壁に黒いカーテンがかかっているだけ。というか色が城の壁と同化していてカーテンの存在に気付かなかった。


「……気のせい?」

「気のせいじゃない気のせいじゃないから。カーテンの下だよ、カーテンの下。カーテンどけてみてー」


 と再び聞こえてきたので、私は一応。


 無視を決め込んだ。


 お化けとか幽霊の類って、反応したらいけないんだって聞いたことがある。声に反応して応答したりすると、調子に乗るとか何とか。


 まぁいいや面倒くさいから放っておこう。


「ちょっとー。ちょっと君ー。お願いだからこっち見てー。イジワルな継母は鏡にこう聞かなきゃいけないじゃない? “Magic Mirror on the wall,who is the fairest one of all?”」


 残念でしたお化けさん。私は英語が苦手だからあなたの言った言葉の意味がわからないごめんね!


 と、完全無視を決め込んでいると、背後から溜め息が聞こえた。


「……はぁ。何か君、冷たくない?」


 無視だ無視。


「……。まぁいいや。っていうか僕としたことが順番間違えた! 女王様ー。あのさー。そこにバルコニーあるでしょ。そっち行って外の様子見てみてー」


 ……外の様子?


 この言葉には少し興味を引かれたので私はカーテンのほうを見向きもせずバルコニーの方へ歩いていった。


 バルコニーから見えたのは雑草が滅茶苦茶に生えている巨大な……庭?と、


「あ、さっきの子」


 高速移動したとしか思えない。さっきの女の子がそこにいらっしゃった。なにやら井戸で鼻歌を歌いつつ水を汲んでいるっぽい。


 それと。


「……男の人?」


 マントを羽織った男の人が歌を歌いながら女の子の方へとステップを踏みながら歩いていく。


 ……軽そうな男だな。


「…………何じゃありゃ」


 女の子が井戸を覗き込んでいると、男はそれに近づいていき――男も井戸を覗き込む。その途端女の子は弾かれたように井戸から顔を上げて男を見た。


 男は女の子に笑いかけたが――その途端、女の子は高速移動でお城の中に逃げ込んでいった。


 ……え、もしかしてあの男不法侵入者?


 でもよくよく見ていると、女の子はいつの間に移動したのか私のいるバルコニーより少し下にある小さなバルコニーから男をうっとりと眺めている。そして男はそれに歌を歌いながら愛の告白――



 ……心底どうでも良いな。



 何か見てて疲れたので玉座に戻ろうとした時、


「はい、女王様は嫉妬しました! で、鏡を見るんだ。そして“Magic Mirror on the wall,who is the fairest one of all?”って……」

「お化けさん」


 私が呼びかけると、「何?」とカーテンの向こうから返事が返ってくる。


「私馬鹿なのでその英語わからない。ごめんね。寝るね。おやすみ」

「待った待ったそこで寝ないでお話が進まないから! さっきのは“鏡よ鏡、世界で一番美しいのはだぁれ?”っていう決まり文句。英語の方が格好良いかなって……」

「判った。で、寝て良い?」

「全然判ってないからね君ね。もう判るでしょ? 君は白雪姫の継母なの! だから鏡に「一番美しいのはだーれだ?」って聞かなきゃ……」


 うるさいなぁ。


 私がカーテンをぶわっと開くと、随分立派な壁掛け鏡が現れた。私の身長よりも高いし幅も私3人分くらいはあるし、随分豪奢な彫りの額に収まってるし、高いだろうなこの鏡。


 でもそれより問題はその中。


 鏡の中で、真っ赤な髪をした男が手を振っていらっしゃった。


「おはよーう。初めましてー。僕はねー」


 シャッ、とカーテンを掛け、私はそのまま玉座に戻ろうと――


「待って待ってカーテンどけて。これじゃいくらなんでも話し相手の顔が見えなくて淋しいんだけど」

「おやすみなさい」

「お願いだから話聞いてー」


 鏡の中で男が悲痛な声をあげる。


 私は溜め息をついてカーテンを開けた。


「まだ何か用?」

「いやまだ全然用を言ってないというか君の役目はこれからだからね! 君はもう少し混乱しようか。普通なら「ここは何処? あなたは誰? きゃーっ!」って騒いで……ごめんごめんお願いだからカーテン閉めないで!」


 再び男が悲痛な声をあげる。何なんだろ。


「結局、何の用?」

「淋しいなー。そう言う反応が一番傷つくんだよー。まぁいいや、本題に入るよ。白雪姫って知ってるよね? 君はその世界に転生しました! わーいどんどんパフパごめんほんとにカーテン閉めるの止めてなんか地味に心に来るの!」


 ……白雪姫の世界に、なんだって?


「はぁ……ここまでリアクションに乏しい子って初めてだよ……。結構地味に傷つくなぁ。で、それで。君は継母の役割なんだけど」

「継母?」

「さっき女の子がいたよね? あの子が白雪姫。で、君が継母」

「私あの子と同じくらいの年齢なんだけど」

「継母だから何でもありだよ! ここの城主がロリコンだったと思えばさして問題ないよね!」


 そういうものですか?


「で、城主である君の夫は死んだんだけど」


 あ、ロリコンさんは死んでるのか。


「そんな訳で君がここの城主なわけ」

「はぁ。それで女王とか言われてたのか」

「うん。状況は読めた?」

「まぁ一応?」

「オーケーオーケー。で、ちょっと認識との差を修復しておきたいと思うんだ」


 ……認識との差?


「まず、城内だけど。随分がらんとしてると思わない?」

「うん、随分質素だね。良い城主だったってことか」

「あ、そういう発想になる? 普通は貧乏だって言う発想にならない?」

「ならない」

「わーい話が進まなーい。まぁいいや、とりあえずここのお城は貧乏なんだ」


 お城に住んでるのに貧乏なんですか。


「まぁ、白雪姫のせいなんだけど」

「…………はい?」


 私が思わず男をまじまじと見ると、男は「あはっ」と笑った。何が「あはっ」だ、何が。


「ちょっとあの子、妄想癖があってね。自分は不幸だけど世界で一番美しい娘だって思ってるの。で、継母である君が意地悪であるというそういう結論が頭の中でできているらしいんだよね。ちなみにあの子は結構お洒落さんで、街にショッピングに出かけてはすっごい豪奢な服をいっぱい買ってきて、お城の財産食いつぶしちゃったんだよね。で、まー、何ていうの? こわーい男の人がお城にきて、まぁ代償としてお城の調度品とか全部持ってっちゃったんだ」


 それは所謂借金取りという奴ですね。


「そういえばさっきお城の外に行かせてって泣きついてきてたけど?」

「あれは演技。ほんとは継母さんすごい良い人なんだけど、彼女が「掃除するなよ? するんじゃねぇよ?」って感じで牽制して、自分が一人でお掃除してるー、みたいな格好を取ってるわけ。まぁ残念ながら彼女は掃除なんかしないんだけどね。その証拠にお庭、草ぼーぼーだったでしょ?」


 あれはそういうことか。


「あの子は悲劇のヒロインからハッピーエンドを目指す主人公なの。君はだから所謂悪役だね。王子様とハッピーな白雪姫に嫉妬しなきゃいけない」


 待て。


「なんかおかしくない? 借金けしかけたのがあの子なら、どちらかと言えばあの子が悪役だよね?」

「主人公は悪役になれないんだよー。お約束って奴だね!」


 っていうことは、つまる所?


「私に嫉妬しろと?」

「うん」

「で、最終的に小人達に殺されろと?」

「うん」


 ……。


「理不尽だ!!」

「まぁまぁ。それを回避する為に、この鏡が」


 それを聞く前に、私はカーテンを思いっきり閉めて、カーテンの上から鏡を蹴っ飛ばした。


 ガッシャーン!!とけたたましい音がして、ばらばらと鏡の破片がカーテンの下に散らばる。


「寝よう」

「ちょっとちょっと! 鏡割ったらお話が進まないんだけどー」


 玉座に戻ろうと踵を返したところで、目の前に人影が現れた。それには見覚えがある。先ほどの赤髪の男だ。


 ただ、全体が透けている。足までちゃんとあるのだが、向こう側が透けて見える。本物のお化けらしい。


「あ、やっぱり透けるなぁ……はぁ」

「私お化けと友達になる趣味ないから。ごめんね」

「いやあの僕お化けじゃないから。っていうかさっきの君の鏡を割るって言う凄まじい凶行のせいで鏡の精さん御昇天なさったんだけど」

「それはご愁傷様」

「いやさすがにそれは嘘だけどさ。お願いだからちゃんと話聞いてー」


 男は困ったようにそう言う。


「私死にたくないんだ。だから毒林檎持っていって死亡フラグわざわざ立てるほど物好きじゃないの。他当たってくれる?」

「配役が君だから君しか頼れないんだよ! っていうか君がうまくやれば死ぬ必要無いからね。大丈夫だから」


 男はそう言いつつ、玉座に戻ろうとする私を必死に阻止する。


「折角助けてあげたのに、この仕打ち……ひどくない?」

「あなたとは初対面だと思うんだけど?」

「君にとってはね。僕は一応君のこと知ってました」

「ストーカーか!!」

「発想が苛烈すぎるよ君。流石にそこまで酷くないから。君が教師に問題答えるよう言われて、困ってたのを見かけたから、君をこの配役に当てたのに」


 訳がわからない。


 というか、この男は私の元いた世界を知っているのね。


 というかそもそもこいつが転生の元凶なのね。


 へー。ふーん。


 ……すっごい迷惑!!


「何かよく判りませんけど? 何? あなたが私を転生させた張本人?」

「え? あ、一応そうな……」

「で、それでなに? このまま死ねって?」

「いやだから僕死ぬ必要があるとはまだ一言……」

「この……ストーカーが!!」


 私が怒鳴りつけると、「わっ」と男がやや怯んだ。


「こっちはね!! 高校3年なの! いい? 一つの授業休んだらどれだけダメージあると思ってるの? 内申に響くんだからね!? 私が志望してる大学、私の今の成績じゃギリギリなんだから! なのに私に成績下げさせる気!? 何なの!?」

「え、ここそれで怒る所かなぁ……?」

「とにかく返して! 元の世界に戻して! 早く!!」

「えーと。ごめんね。それは、無理かも」


 男は言いつつ頭を掻いて「てへっ☆」と笑った。


「……ふざけてるの?」

「ごめん怒らないで何かオーラがどす黒いよ怖いよさすが悪役に配役されただけのことはあるね!」


 失礼なことを平気で吐いてくれた男に蹴りを入れたい気分だったが、この男透けてるし、多分蹴っても意味無いだろう。すり抜けるだけだったら何か馬鹿みたいだしやめておこう。


「ここ乙女ゲームの世界なの。で、彼女が主役に転生した子なんだけど……ちょっと主役に配役されたって言うのを履き違えちゃったみたいなんだよね。で、城の財産食いつぶすわ何だかんだしてくれたの。それ見てたらなんか、継母さんが可哀想で。だからこの事態を覆してくれる、英雄的な継母を連れてこようと思ったわけ。そしたら何か継母さんと顔の似てる君見つけたから配役してみたの」

「迷惑」

「だろうね。でもここ乙女ゲームの世界だからイケメン?がいっぱいだよ! 嬉しいでしょ?」

「全然。大学に入学できるほうが何倍も嬉しい」

「……。クールだね、君って」


 男はしょげたように俯いた。


「まぁいいや、君を配役したからには今更変えられないし、このまま話を進めるよ」

「やめてほしいんだけど」

「どの道君は元の世界に帰ることは多分できないから、死なない方法をこの世界で選ぶしかない」


 帰れないんだ。酷すぎる。


 お母さんお父さん親不孝な娘でごめんなさい。あなた達の娘に生まれて私は幸せでした。


 というか……死なない方法?


「死なない方法、一応あるわけ?」

「それ、さっき言おうとしてたことだから。遮ったの君だからね、僕悪くないからね」

「早く話して」

「……うぅ。だから……攻略対象である、7人の小人を惚れさせれば多分オーケー」


 ……はい?


「君を殺すのは、7人の小人たちの役目です。いい? 判るよね? 悪い継母は、魔女になって白雪姫に毒林檎を食べさせて、眠りにいざなう。でも小人たちがその魔女をやっつけて、で、歌を歌ってるだけの王子様が白雪姫にキスして白雪姫ハッピーエンド! 良かったね! っていうのがクライマックスだったよね」

「あー、まぁそうだね」


 だけど幾らなんでもその話し方は身も蓋もない気がする。


「つまり。君は小人たちに殺されなければ良い。ならどうすべきか? 小人の所に白雪姫が転がり込んできても、彼らが白雪姫を受け入れなければ良い。でも、とても親切な彼らは普通に考えれば不法侵入者な白雪姫を平気で家の中に入れてくれる。裏を変えせば、白雪姫と接触したら、小人たちは彼女に惚れて悪役の君を殺しにかかってくる」


 (こわ)っ。小人さんたち怖っ!


「だから、その前に小人たちを君がメロメロにすれば良いわけ。そうすれば小人が白雪姫に惚れることはない。オーケー? 簡単だよね! さぁ、小人の所にレッツゴー!」


 ちょっと待ってください。


「女王は白雪姫を殺そうとして、でも狩人が白雪姫を殺せなくて……だから白雪姫は小人の所に行ったんだよね? だったら、女王が狩人をけしかけなければ良いんじゃ?」


 そうだよ。私が狩人さんにもう依頼してるにせよ、「ごめんなさい、殺さなくても良いんです」って頭下げて断ればいいんじゃない?


「えーと、君失念してない?」

「何を?」

「思い出して? 城内のもの、鏡とカーテンとカーペットと玉座以外、全部取られるくらいここの財政は逼迫(ひっぱく)してるんだよ? 見てのとおり、使用人を雇う金も無い。まぁ、使用人は白雪姫が全部解雇したんだけど」


 使用人さんたち、うちの白雪姫がごめんなさい。新しい職業は見つかりましたか? もし見つからなかったら本当にごめんなさい。


「つまるところ、狩人を雇う金も無い。そもそも継母は良い人だったのでそんな血なまぐさいことはしません」

「じゃあ白雪姫が小人の所に転がり込む必要は全くないよね?」

「あー、だから。彼女には妄想癖があるの。実際彼女が「白雪姫」の配役だからある意味妄想ではないのかもしれないけどさ。でも彼女にとって自分は「悲劇のヒロイン」なの、判る? 自分は「継母に殺されかける」という恐ろしい目に会わなくちゃいけないの。そして、王子様にめぐり合ってハッピーエンド」


 ……。はぁ。


「だから、狩人は「存在しなければならない」。「存在していなくても」ね。小人たちの所に転がり込んだ彼女は「自分は継母に殺されかけてる!」ってアピールする。そのお話の中で狩人が存在するだけ。だから白雪姫を実際殺そうとした狩人も、白雪姫に逃げろと言った狩人も実際には存在しません。彼女の頭の中以外には」


 ……白雪姫想像力豊かなんだな。


「小人たちは不法侵入した彼女に何故か一目ぼれして、彼女の不幸話を聞いて、ある日普通の林檎を齧って寝た白雪姫の姿を見て死んだと勘違いして「女王打倒!」になる。で、君はどこに逃亡しても多分小人に見つかって捕まえられてシナリオ通り、崖から落とされ、白雪姫、めでたしめでたし、になると」


 まったくもってめでたくない。


 何? 私なんにも悪いことしてないじゃない。さっきの話を聞いてると、継母は毒林檎とか渡してないじゃない? 白雪姫がそこらから普通の林檎とってきて食べて死んだフリして王子様のキス待ってハッピーエンドじゃない、私関係ないじゃない!


「さぁ、小人たちを惚れさせに行こう! で、そのためにこの鏡があったんだけど……はぁ」


 男は後ろの鏡……の破片を見て溜め息をついた。


「割っちゃダメじゃん」

「腹立ったんだもの」

「でもこれお話に必要なんだよ……鏡の精がいなきゃ、小人たちの所に辿りつけないし」

「どういう意味?」

「小人たちの家は、迷いの森の中にあるの。迷いの森って言うのはその名の通り、滅茶苦茶に人を惑わせる森。白雪姫が逃げる時、物凄く森の中で迷ってなかった? とにかく森を抜けようとする彼女が行く先々で木に引っかかったり引っかかったり引っかかったりしてたよね」

「……木に引っかかってるだけじゃない」

「まぁそれ以外何とも言いようがないしねぇ。彼女自身、行くあてがあったわけじゃないし。まぁ、その森の中だと迷うの。白雪姫はシナリオにあるから最終的には小人の家までたどり着けるけど、君はイレギュラーだからね。着けるかどうか判らない。だから真実を答える鏡に道のりを聞こうと思って……あーぁ」


 男は頭を抱える。


「……仕方ないなぁ。あんまりこういうことはしたくないんだけど」


 そう言うと、男は前に手の平を突き出した。


「天と地の狭間より、赤き道化師は君の名に、罪と夢を裁かんとす。奏でる音は断罪を、途切れた弦は罰を謳え。我、世界の行く末に、神と人との果てを見る」


 男がそう言った瞬間。


「え……」


 男が突き出していた手の平から光が溢れ出し、一枚の手鏡が現れた。


「……はぁ。まぁ、あんまり大きいことすると怒られるし、これで勘弁してよね」


 男は手鏡を私に手渡してくる。


「今のどういう原理?」

「え?」

「どうやって鏡が出てきたの?」

「え……あー……えっと……内緒♪」


 男はにっこりと笑って、


「……じゃあね☆」


 と突然掻き消えた。


 ……。


 …………。


 結局私、この鏡をどうすれば良いんだ?


「……鏡よ鏡。誰かいるー?」


 手鏡にそう聞いてみると。


『はい、おりますよ』


 突然鏡の中に一人の男が浮かび上がった。


「……執事さん?」

『ええ。お嬢様にお仕えする身ですから、正装が良いかと』


 鏡の中に現れたのは、金色の髪を肩口で結わえた執事姿の男性だった。


「えっと、鏡の精さん?」

『はい、その通りでございます』

「7人の小人の所に行きたいって言って、意味通じる?」

『ええ。お嬢様を殺めるかもしれない小人のことですよね?』

「うんそれ。その小人の家に行く道筋を教えてくれる?」

『では一緒に参りましょう』

「え、いいの?」

『お嬢様の懐に納めてくだされば、この鏡でしたら私もご一緒できますから。それに口頭で伝えるだけでは道を間違える可能性もございます。一緒に参りましょう』


 親切な精霊さんだな。助かります。


『まず、隠し出口から城を抜けましょう。表には白雪姫と王子がいるはずです。お嬢様が逃げたことを知ったら、白雪姫はすぐに小人のところへと向かうでしょう』

「え、嘘」

『本当です。私は真実しか申し上げません。ですから、隠し出口からこっそり抜け出しましょう』

「隠し出口って何処にあるの?」

『地下牢の更に下にある、船着場の奥です。船が一艘ありますから、それで城の外の川に出ましょう。川に出たら森はすぐそこです。早速参りましょう』


 鏡の中の執事さんは的確に指示を出してくれる。そこは右へ、とか左へ、とか。一番奥の牢に入って、中に置いてある木箱をどけて隠し扉を開いて、そこにある階段を降りて、とか。降りた先に見つけた船に乗って、船を楔から解いて…………そんなこんなで、全く知らない場所だけど、精霊さんのおかげで普通に城の外まで出ることができた。


「……花畑?」


 城の地下に流れる川を下っていくと、右手に花畑が見えてきた。その奥に森があるのが判る。


「もしかして、あれ?」

『そうです。やはりお嬢様は御聡明であらせられますね。あれが迷いの森になります。ですがご安心下さい。私がご案内いたしますので、20分ほどで小人の家に着くはずです』


 迷いの森の名が泣くな……


「そんなに簡単にいけるなら、迷わない人も多いんじゃ?」

『いえ。ここの森は少々面倒な場所で、長い年月を経た木々が自らの意思で外部の者を拒むのです。外部の者、つまり森に住んでいる小人以外のもの全て、ですね。ですから錯覚に陥り、森に入ってた筈なのに元の場所に戻っているという事例が多発し、人々はここに近づかなくなりました。まぁ全ては白雪姫のために生まれたことなのですが』

「でも白雪姫は拒まれないの? あんな悪女なのに?」

『ええ。たいそうな悪女ですが、主役であると言うのは事実ですから。脇役はシナリオに沿わなければなりません。お話の中に、突然全く関係の無い人間が現れては困るでしょう? 例えば、白雪姫が継母から逃亡している時にばったり誰かと出会う、とか。シナリオがぶち壊しですから。ですから、木々はそう言った邪魔な人間を拒んでいるのです』


 まじですか。白雪姫凄い。というか、主人公凄い。悪女でも主人公は守られるのか。羨ましいね。


 ……あれ? そういえば。


「継母は森の中で迷う可能性があるんだよね? じゃあ毒林檎を渡すのは無理だよね?」

『ええ。だから白雪姫は普通の林檎を拾ってきて食べて死んだフリをするんです。で、元々白雪姫からあなたの評判を聞いていた小人たちが狂乱してあなたを殺しに来る。それが正しいシナリオです』


 ……何故正しいシナリオ通り世界が回ってないんだろ。まぁその方が助かるんですが。


『お嬢様、船から降りてください。森のほうへ参りましょう』


 鏡の精がそう言ってきたので私はそのまま船を下り、一応近くの木に船を括りつけておいた。


『お嬢様、あちらに比較的大きな木がありますね。あの木の左側から森へ入ってください』

「……え?」


 突然の細かい指示に私は唖然として鏡を見た。


『通り道を間違えると、小人のところへは行けません。ですから、言う通りにして頂けると助かります』

「そういうものなの?」

『はい』


 何て面倒な森なんだ……!


 私は苦い顔をしながら鏡の精霊の指示に従って歩き始めた。















「…………ここか」


 私は、こじんまりとした割と可愛らしい家の前で立ち止まった。精霊の指示を受けながら歩きつづけること約20分。ようやく小人の家に辿り着いた。


「ねぇ、鏡さん」

『はい、何でございましょうか、お嬢様』

「最初から不自然にも好感度MAXになる白雪姫はともかく、私がこの家入って勝手にお掃除とか始めたら、普通に不法侵入者だよね」

『……たしかにそうですね』

「じゃあ家に入るべきじゃないよね。でも、家の前にずっと突っ立ってるのも不審だよね?」


 私だったら一発で通報するもの。


「……どうすべきだと思う?」

『……家の前で行き倒れのフリ、とかはいかがでしょう』

「行き倒れ?」

『奇跡的にここまでたどり着いたけど、もう迷いの森を歩く気力が無い、死にかけ……といった演技で、相手の同情心を誘うとか。幸い、彼らは情深い性格をしています。恐らくあなたを助けてくれることでしょう』


 ……なるほど。


「……でも、行き倒れが回復したらすぐに家を追い出されない? 追い出さないで~って泣きついても不自然だよね……」

『そうですね……ではこうなったらもう、記憶喪失のフリです。行き倒れ+記憶喪失なら、絶対同情を誘えます。恐らく記憶喪失が回復するまで置いてくれるでしょう。やってみる価値はあると思いますよ』


 なるほど、それならいける気がする。

 小人たちには申し訳ないけど、しばらくそれで住まわせてもらおう……


『さぁ、家の壁に寄りかかって。小人たちがそろそろ帰ってきます』


 私は家の壁に寄りかかり、目を閉じた。


 小人って初めて見るけど、どんな感じなんだろ。

 まぁ、この世界の元が乙女ゲームだとかあの赤毛が言ってたから、恐らく容姿は整っているんだろう。


 ……それにしても、はぁ。

 元の世界には、戻れないのか。


 無事白雪姫から逃げおおせたら戻れるとかないのかな。


 そんなことをつらつらと考えている時だった。


「そもそもああいうケチくさい依頼人の依頼なんか受けなければ良かったんですよ。お陰で無駄足になったも同然じゃありませんか」


 なにやら不機嫌そうな声が聞こえてきた。


 ……まさか小人たち?


 随分大人びた声だけど……


「でも、こんな森の奥に住んでたら依頼自体少ないしさ……頼んでくれたのを感謝すべきなんじゃ……ひくちっ」

「一体貴方はいつまで花粉症をやっているんです? 一年中頭の中が花粉だらけのお花畑になっているんじゃないでしょうね」

「あ、花粉症を侮っちゃダメなんだからね! ひくち! ほんと辛いんだから! ひくち!」


 ……なんて緊迫感の無い会話。


「……あれ? 家の前に、誰かいる……」


 うわぁ気付かれた! いや気付かれる為にここにいるんだけど。


 私は目を閉じたまま彼らの会話に耳を傾ける。


「……本当だ。誰かいる。女性か?」


 草を踏む音が段々と近づいてくる。


「……ずいぶんと酷い身なりの女性ですね。物乞いか何かでしょうか?」


 うぉおおおい!! その発想は酷いよ!!


「……物乞いのためにこの森に入るものはいないだろう。何処かの国の逃亡者と考えるのが妥当ではないか?」


 逃亡者なのは合ってるんだけど、なんかその言い方だと私が犯罪者みたいなんですが……


「……ねむぅい」

「君はもう少し会話に参加しようねー。で、どうするのこの子?」

「面倒そうだから捨て置きましょうよ。そのうち熊が掃除にきてくれます」


 嘘それ食われるってことじゃない! こんなところで死ねと!? 何処が慈悲深いの!?


「待て。面倒事を運んできたかどうかはまだ判らんだろう。介抱くらいはした方が良いんじゃないか?」


 面倒事は運んできましたごめんね! でも介抱してお願いだから!


「貴方は人が良すぎるんです。いいですか? 今回の依頼主から渡された報酬金はこれっぽっちしかないんですよ。判ってます? そこの所判っててその発言なんですか?」


 ジャラジャラとお金が乱暴に振り回されるような音が聞こえる。


「だが、相手は女性だ。あまりに無下(むげ)ではないか」

「知りませんよ。こんな森に足を踏み入れる方が愚かなんです。大方行き倒れでしょう? ならそのまま放っておけば良いんですよ。あぁもう空腹すぎて腹と背がくっついてしまいそうです。さっさと夕食にいたしましょう」

「……でも本当に可哀想だよ。こんなに服もボロボロだし、多分凄く森の中で迷ったんじゃないかな」


 そうそう可哀想だよ森では迷ってないけどね!


 というかこの敬語野郎、滅茶苦茶薄情。他の人は確かに割合情に厚そうだけど、こいつも小人だというなら口説くのは無理だよ……


「……んんー? あれ、僕なんかこのひと、見たことがあるー……」


 え?


「……はい? ……いえ、確かに……どこかで……」

「そうだね、何か俺も見たことある気がする……」

「私も見覚えがあるな」

「俺にもある。確か街の方で……」

「……あー、僕判った気がする! ねぇ、この子あの人だよ。コーネリアから嫁いできた貧乏くじ引いたお姫様!」


 …………なんだって?


「あぁ! あの新聞にも載ってた不幸なお姫様ですか」

「なるほど。あの我侭娘の母親になって苦労するだろうと言われていた姫君か」

「そもそも政略結婚とはいえ年齢差が可哀想だったよね。ほぼ親子みたいな人と結婚させられてさ」

「っていうことは、夫と娘から逃げてきたのかな?」

「いや、王の方は死んでいた筈だ。今は確か女王と我侭姫しかいないと聞いたことがある」


 ……なに? 私そんなひどい役柄に転生しちゃったわけ?


 今更ながら赤髪の男にふつふつと怒りが湧いてくる。


 あいつめ。次会ったらただじゃおかないんだから。


「で、結局どうするのー……? 僕もおなかすいたー……」

「貧乏女なら尚のこと助ける必要は無いでしょう。食事にいたしましょう」

「待て、シルヴィス。貴方は薄情すぎるだろう」

「そうだよー。女の子なんだし、可哀想じゃない。これがむさい男とかだったら僕も熊にあげていいと思うけど、僕もルーヴァスに賛成ー」


 ……ほんとにこいつら、情深いの?


「とりあえず、朝起きたら家の前が血まみれと言うのはあまりに寝覚めが悪い」

「それはそうかもしれませんけど、見ず知らずの貧乏女ですよ? 介抱しても何の得にもならないじゃないですか」

「まぁいいじゃない。ルーヴァスの言うとおりにしようよ」

「はぁ……(わたくし)はそんな女、知りませんからね」


 そうして私は顔もわからない小人達の家に保護されることになったのだった。


 こんな奴らをほんとに惚れさせられるだろうか……


 予想では、普通に無理だと思う。


 とりあえず……一応、頑張っていこう……















「お継母さま? お継母さま! どこにいらっしゃるのですか?」


 城の中、狂ったように城内を探し回る少女――白雪姫。


「……アイツ……まさか、逃げやがった?」


 およそ可憐な外見からは予想もつかないような汚い言葉遣いがその美しく赤い唇から吐き出される。


「ふざけないでよ! あんたは私が眠りについてそれを小人たちが見つけて小人たちに殺されるのよ! なに逃げてんのよ!!」


 可愛らしい顔を歪め、白雪姫は玉座の後ろに向かって行き、そのカーテンを開け――


「きゃっ!」


 床に散らばった鏡の破片と無残にも額しか残っていない壁掛け鏡を見てわなわなと唇を振るわせた。


「なに――何してるのよ! 鏡の精は攻略キャラクターなのよ!? 何で鏡を割ってるのよ……!」


 白雪姫が怒りで顔を真っ赤にしたとき。


「……あーあーあー、女の子がそんな怖い顔したら、可愛くても台無しだよー」


 そんな声と共に、赤髪の男が現れた。煙管を吸い、煙をふーっと吐き出す。全体はやはり透けていた。


「あ、貴方……鏡の精さん? 私に真実を教えてくれるの? 母がいないんです! どこか教えていただけませんか……!?」

「君の継母さんが何処にいるかは知ってるけど、僕は鏡の精じゃないからなー。それには答えてあげられない、ごめんね」


 男は微笑んで白雪姫を見つめる。


「あ、あのじゃあ……貴方は、えっと……もしかして、狩人さん?」

「白雪姫の心臓を狙う狩人は白雪姫の頭の中にしか存在しないんだよね。だからそれも外れ~」


 ひらひらとふざけた様子で手を振って笑う男に、白雪姫は思い切り怒鳴りつけた。


「なん……何なのよあんた!! 私はね、忙しいのよ! 用が無いなら即刻消えなさい!」

「じゃあ手早く用済ませて消えるねー」


 そう言うと男はにっと微笑んで白雪姫に向かって手を突き出した。


「天と地の狭間より、赤き道化師は君の名に、罪と夢を裁かんとす。奏でる音は断罪を、途切れた弦は罰を謳え。我、世界の行く末に、神と人との果てを見る」


 その途端妙な文様が空中に浮かび上がり、白雪姫の中に飛び込んでいった。


「きゃ!! な、何するのよ……何したのよ!!」

「内緒~♪ じゃあ頑張ってねー、我侭姫の白雪姫」


 男はそう言ってやはり笑いながら、霞のように消えていった。















 継母となった少女は、一癖も二癖もある「小人」たちを惚れさせることができるのか?

 それとも白雪姫に囚われた「小人」たちに殺されるのか?


 命を掛けた賭けが、始まろうとしていた――

 白雪姫の継母に転生しました。さて、崖落ちENDを避けるにはどうすればいいでしょうか? ……略してままてん! 如何でしたでしょう。


 個人的には随分弾けて書きました、はい。


 話が終わってないのはアレです。ちょっと小人を口説くのは短編一つじゃ無理かなと。


 そんなわけで、6/1より連載版のほうの連載を開始いたしました。


 少しでも貴女に楽しんでいただけたならば幸いです。


 続編希望と言うたくさんのお声、本当に有難うございました!

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