忘れ物 後
後ろからもう1人がやってきた。
一体どうなっているんだ?
そう問いかけようとした時だった、
「お前、時間は大丈夫なのか?」
は?何の時間だ?
空は既に夕暮れに染まっていた。
「早くしないとヤバイぜー」
後ろの1人が言う。
頭に少し痛みを感じた。
何だ?何が起きてる?何が起こる?
2人がバイクにエンジンをかけ、2人がかりで囲う様に除速で回り始めた。
「あの箱には用済みだが、あっちの箱はいいのかよ?」
電話BOXの方を指差しながら、言う。
全身の力が少しずつ抜けていく。
もうここには居られないのか?
「そうだよ、急げよ」
「戻るのなら同じ要領でやらなきゃな、チャンスは少ないぞ」
交互に、それも少しにやけながら言う。
早くしないと帰れなくなるってことか?
同じ要領ってことは、また雷が降らないといけないんじゃないのか?
「ほらほら、早く電話しちゃいなよ」
言われないでも!
すぐに電話BOXに駆け込み、小銭を入れる。
何も反応が無い。
それに、雷も降ってこない。
どうしろっていうんだよ。
「待てばいいじゃんか、もう少しだけ。」
そう言うと、1人が帰っていった。
お前は一体何を言いたいんだ。
投げかけようとした言葉を遮り、
「もうすぐ5時だ。雨がふる時間だろ。」
残った1人がいった。
いつの間にかそんな時間いなっていたのか。
先にそれを言って欲しかった。
それに、本当に雨など降るのか?
それ以前に雷は降るのか?
元の時代に帰れるのか?
もし、本当に雨が降るのなら最後に、今日が本当にあの「空白の日」なのかを、念を押すように確認しに、コンビニへ駆け込んだ。
そして、これが夢じゃないこと、もうすぐ5時になることを確認し、外へ出ると、夕焼けに染まっていた空が曇り始めていた。
コンビニを出て、公衆電話へ向かい走った。
2人はそこにいなかった。
少し荒い息を整えながら、電話BOXの中に入った。
空からは気配はあるものの、雨など降っていなかった。
が、雷は鳴り響いていた。
小銭を入れ、深呼吸をし、受話器に手をかける。
電話BOXの辺りを見回し、受話器を耳元に当てた。
「…………………」
周りが光った。
その後、物凄い轟音が鳴り響いていた。
目を覚ましたら、家に居た。
玄関にポツリと突っ立っていた。
靴を脱ぎ、家の中に入る。
周りから音がしない。
自分の足音すらも。
目の前はハッキリとは、見えず、半開きの状態だった。
体中がダルい。
そんな中、無意識に日記を漁り、「空白の日」を埋めていく。
蘇った記憶を、震える指でなんとか書き綴った。
体からはとても寒気を感じていた。
日記を書き終わると、すぐにベットに倒れこんだ。
そのまま目を閉じた。
今日起きたことを書くのを忘れた、そう薄れゆく意識の中思い出し、深い、深い眠りについた。
翌日、会社の休憩室で同僚やら部下やらがテレビの前に集まっていたらしい。
どうやら、昨日起こった事について騒いでいたらしい。
近場の公衆電話に雷が落ちた。
などでは無く、1人の死体が、焼き焦げた死体が電話BOXの中にあったというニュースだった。
1、2話の間が少し空いてしまいました。
すみません。
ですが、ここまで読んで頂き本当にありがとうございました。
このお話はここで終わりです。
少し長かったですが、お付き合い頂きありがとうございました。
次のお話が完成したら、また、会いましょう。
お会いできるのを楽しみにしてます。
本当に本当にありがとうございました。
そでは、また