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忘れもの  作者: lycoris
2/3

忘れ物 中

それは間違いなく汗だった。

暖かい日差しが差し込んでいた。

雨だからって、暖かい格好をしたのが仇になったか。

いや、これは焦りからきた汗だろう。

心臓が高鳴る。

そして、とっくに出ていた結論に情報処理が到達した。

恐らくこれはタイムトラベルだ。

どうしては分からないが。

そんな事より、周りの懐かしい風景に夢中になる。

見慣れた建築物の列。

汗をふき、結論に辿り着いた時から、内心期待していた事を確認するために、電話BOXを出て、近くのコンビニを目指した。

あっという間に着いたそこには、自分が求めていたものがあった。

昔から欲しがっていたものだ。

コンビニを出てから目を集中し、辺りを観察し、何かを探すように見つめていた。

コンビニを出て向かった先は、自分の家があった場所だった。

そこには、やはり自分の家が有り、中から聞き慣れていた声も聞こえる。

だけど、そこで立ち止まり辺りを探し、家の近くで耳を澄ませてみた。

が、生まれたときからずっと聞いていた声が聴こえない。

怪しまれるといけないので、足早に家から離れていった。

少し名残惜しいが、目的を見失わないように。

電話BOXがあった所には、近くに公園が有った。

だが、自分の記憶には無かった。 公園の近くに電話BOXなんて無い筈だった。

おかしいと思ったものの、記憶の入れ違いか、「空白の日」に電話BOXが無くなったのか。

公園も少しだけ変わっていた。気がする。

公園に入り、見渡したが、誰も居なかった。

公園の時計は12:30を指していた。

公園の近くには坂があった。

そして、その坂を登った先には学校があった。

久しぶりに学校を覗いてみたくなった。

少し急な坂を登り始めた瞬間、頭に何か語りかけてきたようだった。

目を閉じてみると、何かが見えた。

子供の頃の自分、周りには3人の子供。

何だこれは。

記憶には無い。

いや、これが「空白の日」の記憶なのか?

取り敢えず、急いで坂を登った。

自分が泣いていたからだ。

虐められていたのかもしれない。

知りたい、今日に一体何が起こったのかを全て。

そして、学校に着いた。

息を荒れげて周りを見渡す。

誰も居ない。

また、目を閉じてみる。

子供の自分が泣きながら坂を下っていた。

我慢できずにポロポロ涙をこぼしていた。

目を開け、再び周りを見渡す。

すると、学校の池の近くに何か箱が置いてあった。

無色透明の箱には、何かが沢山詰めこまれていた。

そして、その箱は池の手前ではなく、届かないほど奥にあった。

どうやら、自分の周りにいた3人が箱をあそこに置いたのであろう。

奥まで行くには、池の囲いを渡らなければならなかった。細い囲いを。

そして、情けない事に自分は、怖くて渡れなかったんだろう。

だが、確かに渡るには、勇気が居るだろう。

今の自分でも、少し怖いと思うほど、池の水は深く、そして、不気味に濁っていた。

中には魚や亀などが居るが、こいつらも中々の迫力があった。

だが、箱の中身を確認するためには、物怖じしてられない。

囲いの上に乗り、箱へと近づく。

近づく度に何か違和感を感じた。

あと半分くらいまできた時に違和感の正体に気づいた。

池の水かさが増えていた。

だが、半分まで行って引き返せない。

少しずつ進む。

箱にてが届きそうになった時、後ろから物音が聞こえた。

ボコボコボコ

振り返って見ると、池の水は既に溢れかえっていた。それどころか、何処からと水が湧き上がる音がする。中の水もより濁っている気もする。

おかしい、と学校を見た時には学校の方から水が雪崩れ込んできていた。

学校を覆うほどの巨大な津波がこちらに迫ってきた。

考える暇も無く、箱など無視して、囲いから飛び降り、急いで学校を抜け、坂を下って行った。

まだ水が迫ってくる音がする。

急ぎ、転びそうになるも走る。

そして、坂が段々と平地に近づいてきた辺りから、水の音は止んでいた。

後ろを振り返ると、ただただ何もなく普通の坂だった。

やはり過去には干渉出来ないのか…

安心し息を整えその場に立ち尽くしていると、にわか雨が降ってきた。

そして、段々と今日の記憶全てを思い出した。

そして、涙を流していた。

何も出来なかった事に。

その後、子供の自分は家に帰り、ベットにうずくまり、泣きじゃくっていたらしい。

一方今の自分は、何もすることが無くなってしまった。

恐らく、もう学校には、戻れないだろう。

振り返らず、ゆっくり坂を下る。

ちょうど雨があがっただろう。

公園の前に着いた。

瞬間、ある方向を目一杯に睨みつけた。

あの3人の子供達がいた。

どうしようという気は無かった。

が、頭では分かっていても、我慢できない事もある。

だんだんと怒りが湧き上がる。

そして、走りだした。

全力で子供の方に迫る男性。

どう見ても、警察を呼ばれてもおかしくないだろう。

だが、考えてるだけ、無駄だ。

この怒りを鎮める方が先だ。

子供達もこちらに気づき咄嗟に逃げ出す。

当然こちらが早い。しかし、向こうは3人。

しかも、パニックになり、バラバラに散らばっている。

クソっ

誰を狙うか、考えているうちに、どんどん離れて行く。

逃がすか!

2人居た方向に向かい走る。

1人は見当たらなくなったが、2人は公園を出ていた。

柵を飛び越え、道路に出た。

その時、エンジンがし、立ち止まった。

目の前まで、バイクが寄ってきた。

そんなことより、2人の子供は、既に視界から消えていた。

何処かに隠れたのか。息継ぎをする音がエンジン音にかき消されていく。

一体誰なんだ、こんな邪魔をする奴は。

すると、ヘルメットをとり、こちらを見る。

懐かしい顔があった。

それは、成長した、3人の内の1人だった。


今回は長くなりましあが、ここまで読んでいただきありがとうございます。

まだ続きます。

ですが、次で最後になると思います。

良ければ、次も読んでください。

それでは。

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