その12 第11話 コタロウ ビフォーアフター
「宵越しの銭は持たねえ」
「いつから江戸っ子になったんすか?」
「借金取りが来てからに決まっているだろうが、ボケ」
中世でもお風呂はあったそうです。
ただ、男女混浴の大衆風呂だったため、キリスト教では禁止されたそうです。
ハンクとの会話、女性にはどうなんだろう。
一応男の子向けなので……。(汗)
改訂小
前半が改訂後、後半が改訂前です。
第11話 コタロウ (改訂後)
継続は力なりって本当だぞ。
毎朝の稽古のおかげで体のさばきが良くなってきた。
さらに、成長期だからな、身長が伸び体力もついてきた。
レイダーの攻撃をまともに受けても耐えられるようになると、受けたり流したりの変化が取れる様になる。
まだまだ手加減されているが、強くなってきた実感はやる気を出す。
「レイダー、ちょっと試したい事があるんだ」
「何でございますか?」
「武器無しでやってみたいんだ」
「それは構いませんが」
木刀とガントレットを外し対峙した。
「よし、攻撃するから、かわしてよ」
「はい」
まずは正拳。
「えいっ」
スッと引かれた。
次は、踏み込んだのち、回し蹴りから後ろ回し蹴り。
「せい、やっ」
後ろ回し蹴りがあと少しの所を通過したが、当らない。
「くそー」
正拳による2段攻撃も、前蹴りさえ体を開いてかわされ、そのまま突っ込んで飛び蹴りをしたが、レイダーの体はそこには無かった。
「くそー」
結局泥だらけになっただけで終わった。
「これは何と言う技でしょう?」
「空手、武器のない時に襲われてもいい様にと思ったんだが、駄目だ、当らない」
「いえいえ、今のは十分脅威でした」
「はー、だといいんだけどな」
自信あっただけにショックだが、やはり足さばきだ。
レイダーは引き足がうまい。
今はかわしているだけだが、攻撃しようと思えばいつでも出来る様に引いている。
円で引く感じか、分かってはいるんだがなー。
コタロウとは仲良くなった。
それも、餌をやったらすぐに、げんきんな奴だ。
「行くぞ、コタロウ」
かけっこはかなわないが、止まれというと俺が追い付くのを待っている。
言葉が通じるとまではいかないが、感じてくれているようだ。
コタロウに乗る、というよりしがみついては振り落とされる。
はたからどう見られようと、これが俺達流の遊びだ。
それが証拠に、ちゃんと乗るまで待っていてくれる。
時にはこっそりヒールのお世話にもなるが、地面に座り込むと鼻先を押し付けて起こそうとしてくれる。
コタロウはかなり頭がいい馬とみた。
これはあれか、馬は飼い主に似るというやつか?
それとも、頭の足りない飼い主を助ける為か?
うーん、似る方に1票。
そんなある日、コタロウの背に鞍が置かれていた。
「何で鞍が置いてあるんだ?」
「お坊ちゃま、裸馬は危険です」
馬の世話をしている人がそう答えた。
もしかすると、俺に怪我でもされたらクビになるのかもしれない。
「俺が怪我をした事があったか?」
「いいえ」
「何故だと思う?」
「分かりかねます」
「落ちる練習をしているからだ」
「練習、でございますか?」
「そうだ、戦場では何が起こるか分からないい。 万一落馬しても怪我をしないように練習しているんだ」
「はあ」
「邪魔をするなと言っているんだ」
「は、はい。 申し訳ありませんでした」
無茶苦茶な理屈で押し切った。
そそくさと鞍を外す姿に申し訳なく思ったが、コタロウはまだ仔馬だしな。
「3歳になったらつけてくれ」
「はい、お坊ちゃま」
やれやれ、馬と遊ぶのも楽じゃない。
遊んで汚れたら、風呂場で洗う。
そうだ、風呂あるぜ。
水を張って、金箔で包んだ炎の魔石を入れるだけ。
体はメイドさんが洗ってくれて、湯船につかって極楽、極楽。
「いい湯~だ~な、は、は、はん。 いい湯だ~な~っと」
気もちいいー。
綺麗になったら、勿論ハンクに会いに行く。
「ハンク~」
「ばぶー」
だきつき放題で、プヨプヨだぞ。
一緒にハイハイしながら、動物と魔物のお勉強だ。
ハイハイする先で寝っ転がると、体をクニュクニュと這い上がってくる。
その小さな手足が、くすぐったいやら痛いやらで笑っちまうんだ。
それに聞いたか?
「ばぶー」
だぞ。
俺なんか「ぶー」だけだったのに、ハンクは天才かもしれん。
おっ、今度は俺の顔の上を通るのか?
よし頑張れ、と思ったら座り込んで顔を覗き込んできた。
そして、俺の顔をペシペシしたかと思ったら、
「いてててー」
鼻の穴に指を入れてきた。
さすがにこれは痛かったが、これは、ひょっとして、もしかして、あれか?
……穴があると指を入れたくなる……。
ハンク、俺はいま確信した。
お前は間違いなく俺の弟だ。
そしてハンク、お前からの挑戦状、このルーラァ、兄として、男として、正々堂々受けて立つ。
ほれさせた女の数かものにした数かは、お前が話せるようになってから決めよう。
だが、しかーし。
ハンク、これだけは覚えておけ。
たとえかわいいお前でも、こればかりは負けてやるわけにはいかない。
男と男の真剣勝負だからな、ははははー。
「ばぶー」
何? 絨毯がどうかしたのか?
魔物? そうか魔物、倒した魔物の数でも勝負を望むか。
よかろう、受けて立つ。
そして、大人に成ったら杯を酌み交わし、互いの健闘をたたえ合おうぞ。
うーむ、美味い酒が飲めそうだ。
……酒?
しまった、ここにはワインと馬乳酒しかなかった。
米、米がいる。
「アン、アン?」
「はい、ルーラァ様、何でございます?」
「植物図鑑持って来て」
「はい、ただいま」
「これかな? いや違う。 これかな? うーん」
悩んでいたら、アンが横から声をかけてきた。
「これはライでございますね」
「ライ?」
「はい、家畜の飼料ですが、高い小麦の代わりになるとか」
「それだ!」
どこだったかは忘れたが、そんな話を聞いたことがある。
「現物を見たい、粉にする前のものだ」
「はい、すぐに手配いたします」
「ばぶー」
****************
第11話 コタロウ (改訂前)
継続は力なりって本当だぞ。
毎朝の稽古のおかげで体のさばきが良くなってきた。
さらに、成長期って事もあるんだろうが、身長が伸び体力もついてきた。
レイダーの攻撃をまともに受けても耐えられるようになると、受けたり流したりの変化が取れる様になる。
まだ手加減されているのを感じてはいるが、強くなってきた実感はやる気を出す。
「レイダー、ちょっと試したい事があるんだ」
「何でございますか?」
「武器無しでやってみたいんだ」
「それは構いませんが」
木刀とガントレットを外し対峙した。
「よし、攻撃するから、かわしてよ」
「はい」
まずは正拳。
「えいっ」
スッと後ろに引かれた。
次は、踏み込んだのち、回し蹴りから後ろ回し蹴り。
「せい、やっ」
後ろ回し蹴りがあと少しの所を通過したが、当らなかった。
「くそー」
正拳による2段攻撃も、前蹴りさえ体を開いてかわされた。
そのまま突っ込んで飛び蹴りをしたが、レイダーの体はそこには無かった。
「くそー」
結局泥だらけになっただけで終わった。
「これは何と言う技でしょう?」
「空手、武器のない時に襲われてもいい様にと思ったんだが、駄目だ、当らない」
「いえいえ、今のは十分脅威でした」
「はー、だと良いんだけどな」
自信あっただけにショックだが、やはり足さばきだ。
レイダーは引き足がうまい。
今はかわしているだけだが、攻撃しようと思えばいつでも出来る様に引いている。
円で引く感じか、研究が必要だ。
コタロウとは仲良くなった。
それも、餌をやったらすぐに、げんきんな奴だ。
「行くぞ、コタロウ」
かけっこはかなわないが、止まれというと俺が追い付くのを待っている。
言葉が通じるとまではいかないが、感じてくれているようだ。
コタロウに乗る、というよりしがみついては振り落とされる。
はたからどう見られようと、これが俺達流の遊びだ。
それが証拠に、ちゃんと乗るまで待っていてくれるのだから間違いないだろう。
時にはこっそりヒールのお世話にもなるが、座り込むと鼻先を押し付けて起こそうとしてくれる。
コタロウはかなり頭がいい馬と見た。
これはあれか、馬は飼い主に似るというやつか?
それとも、頭の足りない飼い主を助ける為か?
うーん、似る方に1票。
そんなある日、コタロウの背に鞍が置かれていた。
「何で鞍が置いてあるんだ?」
「お坊ちゃま、裸馬は危険です」
馬の世話をしている人がそう答えた。
もしかすると、俺に怪我でもされたらクビになるのかもしれない。
「俺が怪我をした事があったか?」
「いいえ」
「何故だと思う?」
「分かりかねます」
「落ちる練習をしているからだ」
「練習でございますか?」
「そうだ、戦場では何が起こるか分からないい。 万一落馬しても怪我をしないように練習しているんだ」
「はあ」
「邪魔をするなと言っているんだ」
「は、はい。 申し訳ありませんでした」
無茶苦茶な理屈で押し切った。
そそくさと鞍を外す姿に申し訳なく思ったが、コタロウはまだ仔馬だしな。
「3歳になったらつけてくれ」
「はい、お坊ちゃま」
やれやれ、馬と遊ぶのも楽じゃない。
汚れた体を風呂場で洗って。
そうだ、風呂あるぜ。
水を張って、炎の魔石を入れるだけ。
体はメイドさんが洗ってくれて、湯船につかって極楽、極楽。
「いい湯―だーな、は、は、はん。 いい湯だーなーっと」
気もちいいー。
綺麗になったら、勿論ハンクに会いに行く。
「ハンク―」
「ばぶー」
だきつき放題で、プヨプヨだぞ。
一緒にハイハイしながら、動物と魔物のお勉強だ。
ハイハイする先で寝っ転がると、体をクニュクニュと這い上がる手足が、くすぐったいやら痛いやらで笑っちまうんだ。
それに聞いたか?
「ばぶー」
だぞ。
俺なんか「ぶー」だけだったのに、ハンクは天才かもしれん。
おっ、今度は俺に顔の上を通るのか?
よし頑張れ、と思ったら座り込んで顔を覗き込んできた。
そして、俺の顔をペシペシしたかと思ったら、
「いてててー」
鼻の穴に指を入れてきた。
さすがにこれは痛かったが、これは、ひょっとして、もしかして、あれか?
……穴があると指を入れたくなる……。
ハンク、俺はいま確信した。
お前は間違いなく俺の弟だ。
そしてハンク、お前からの挑戦状、このルーラァ、兄として、男として、正々堂々受けて立つ。
ほれさせた数かものにした数かは、お前が話せるようになってから決めよう。
だが、しかーし。
ハンク、これだけは覚えておけ。
たとえかわいいお前でも、こればかりは負けてやるわけにはいかない。
男と男の真剣勝負だからな、ははははー。
「ばぶー」
何? 絨毯がどうかしたのか?
魔物? そうか魔物、倒した魔物の数でも勝負を望むか。
良かろう、受けて立つ。
そして、大人に成ったら杯を酌み交わし、互いの健闘をたたえ合おうぞ。
うーむ、美味い酒が飲めそうだ。
……酒?
しまった、ここにはワインと馬乳酒しかなかった。
米、米がいる。
「アン、アン?」
「はい、ルーラァ様、何でございます?」
「植物図鑑持って来て?」
「はい、ただいま」
「これかな? いや違う。 これかな? うーん」
悩んでいたら、アンが横から声をかけてきた。
「これはライでございますね」
「ライ?」
「はい、家畜の飼料ですが、高い小麦の代わりになるとか」
「それだ!」
昔聞いたかネットで見たのかは忘れたが、そんな話を聞いたことがある。
「現物を見たい、粉にする前のものだ」
「はい、すぐに手配いたします」
「ばぶー」