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white snow  作者:
you were laughing up your sleeve at me.
59/60

inherit

数年ぶりです。再開しました。

「記憶を取り戻したいか?」

「あんたは……!」



願ってもない言葉だ。俺は記憶を取り戻したい。過去のことを知りたいわけじゃないが……この戦いには必要なはずだ。

何もかもが足りないこの世界で、神とやらを倒すなんて……無謀過ぎる。

きっと玲も―――いや、サクラもそう思っていたんだろうな。あいつの場合、馬鹿馬鹿しいと鼻を鳴らしているだけかもしれないが。

「マルス。どうやってここに来たんだ」

かつて俺を利用した男―――どうしてここにいる? こいつはここにいないんじゃないのか。

「ふん、くだらんな」

「何……?」

「それを知ったところでどうすると言うのだ。『愚弟』を持つと苦労するな」

「チッ……兄気取りはいい加減にしろ」

敵か……味方か。まったく何が言いたいのか分からないぜ。クリスよりも掴みにくい奴だな。

「そうだったな。お前はお前であって、『ゼロ』ではないのだから」

「ふざけたことを抜かすな。俺はゼロだ」

「違うというのが分からないのか?」

突如圧し掛かるような魔力がこいつから溢れ出す。俺は咄嗟に剣を引き抜こうとして―――気づいた。それを察したのか、マルスが笑う。

「お前の手元に剣はないぞ、『すばる』」

誤算だ。完全な誤算だった。マルスは有無を言わさず鋭く斬り込むと、執拗に狙ってきやがる。くそっ……長い間『すばる』として生きてきたせいか。頭じゃ理解してるのに、奴の動きに身体がついていけない……!

記憶……俺は本当に記憶が欲しいのか? 詳しいことは分からない。だが、こうして『ゼロ』は戻ってきている。現に、身体の支配権はすでにゼロのものだ―――。

「悩め、ゼロよ。お前たちは記憶よりも欲しているものがあるはずだ」

「あんたは…――お前は何が望みなんだ?!」

攻撃を回避するだけでも一苦労―――このままじゃやられるだけだ。マルスのことだ、また俺を利用しようとでも思っているんだろう。ろくでもない奴に目をつけられたものだな。

「望み、か」

マルスはニヤリと不敵な笑みを浮かべた。

「私の望みはただ一つ。さて―――何だと思う?」




 

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