staid
主人公たちの過去(前世)を曖昧なままにしてはいけないと思い、補足という形で書いてみました。
全て認めたい。全て愛したい。
何もかも信じて。
けれどそれでは生きていけないことを知っている。
全て否定したい。全て拒絶したい。
何もかも忘れて。
けれどそれでは生きていけないことを知っている。
慈悲深い神はここにはおらず。
罪を裁く神がここにいた。
慈悲深い神はいなくていい。
罪を裁く神がいるのなら。
救いは求めない。ただ懺悔を聞いてくれ。
心が折れるまで追いつめればいい。だってそれが唯一の方法だから。
この呪縛から逃れるための。
何も考えたくないんだ。息が詰まりそうなんだ。もう限界なんだ。
理由が欲しい。
何のために生きている? 何のために戦う? なぜ神は試練しか与えないんだ。
意味。理由。
「つまりお前は、理由さえあればいいのだな?」
もしもいるのだとしたら、神様。
俺はあんたを信じて―――。
これはある人の記憶に過ぎない。これは忘れ去られた記憶の断片である。
絶対者である神は下界を見下ろしていた。愚かな人間共が愚かなことをしているのを冷ややかに見物していた。そう、見物しているだけである。特に何をするわけでもない。
一方、神の使者ではあるが、秩序を嫌うチャールズはそんな主に不満を持っていた。
同じことの繰り返し。それは、創世者でない彼にとって、ただ単に退屈なものであった。
何度も記憶を失い蘇る『英雄』たちとは違い、彼は神によって永遠の命とやらを約束されているのである。永遠の命、どれほど望んでいたか。それが今、己の手中にあるのだということに歓喜する。
秩序から無秩序へ。
彼は『其の人』に暗示をかけ、刺客として『かつての英雄』の元へと送り込んでいる。『其の人』とやらが誰かとは、ここではあえて追求しまい。
チャールズはこれから来るだろう未来について思いを致す。彼の頭には英雄たちの経歴、その末路までしっかりと記録されていた。
「さあて……。これをどう利用して奴らを揺さぶりましょうかねぇ?」
下記は『未来』に生きるジャーナリストが残したメモである。
■巡矢恵
ある時期を境にして姿を目撃されるようになった女性。国に戦闘用奴隷として飼われていたという噂が流れていたが、詳細は不明。
LEC本社ビルにて殺害される。現場に残された証拠からみて、犯人はクリスチアナ・ブランフォードだと判明。
■黒澤玲
ある時期を境にして姿を目撃されるようになった少女。容姿が瓜二つの双子の弟がいたらしい。
川の下流で流されてきた彼女を国民が発見し、死亡を確認。生きている彼女を最後に見た者はおらず、詳細は不明である。
■黒澤鈴
ある時期を境にして姿を目撃されるようになった少年。容姿が瓜二つの双子の姉がいたらしい。
川の下流で流されてきた彼を国民が発見し、死亡を確認。彼が最後に目撃されたのは光の楽園に向かう道中だったようだ。城に向かって走り去る彼を見た者の証言によると「鬼のような顔をしていた」とのこと。
元より喜怒哀楽が激しく、場合によっては二重人格かと思わせるほどだったらしい。
それ以外は黒澤(姉)のケースと酷似しているのだが、気のせいだろうか……?
■クリスチアナ・ブランフォード
光の楽園の兵士。比較的温和な性格だったようだ。
母国を愛す故に、光の楽園に反発を抱いていた仲間を裏切り、仲間であった巡矢恵を殺害した。殺害の動機は不明。また、その際にLEC本社ビルの社員を皆殺しにしている。
巡矢を含む被害者らを殺害後、LEC本社ビルにて自害。またしても動機は不明である。
精神に異常をきたしていたのではないのかと推測。
■フローラ
光の楽園の女帝。
『LEC惨殺事件』と同じ時期に謎の失踪を遂げた。また、息子であるチャールズも謎の死を遂げている。
これらの事件に何らかの関わりがあったのではないかと推測している。
■ゼロ・ブランフォード
クリスチアナ・ブランフォードの兄。
クリスチアナが自害した翌年、姪のエリザベスを引き取り共に暮らすようになる。
『LEC惨殺事件』の真相を知る人物だと予測されているが、本人は「何も知らない」との一点張り。
事件以降目立った行動はしなかったが、数年後に姿をくらます。彼の行方を知るものは誰一人いない。
■レイチェル・デスペラード
元はと言えば、一国の姫だった女性である。ゼロ・ブランフォードの幼馴染。
事件が一通り静まった後にゼロ、エリザベスと共に暮らすようになる。
『LEC惨殺事件』の真相を知る人物だと予測されているが、同じく「何も知らない」との一点張り。
数年後、姿をくらますことになったゼロの安否を心配しつつも、成長したエリザベスと仲良く暮らしている。
■エリザベス・ブランフォード
ゼロ・ブランフォードの姪。それ以外の情報はなく、詳細は不明である。親族がいなくなってしまった現在では、レイチェル・ブランフォードが彼女の世話をしている。
取材に行った仲間が彼女にとある質問をしたところ、「みんなはずっと生きている。だけどベティはここまでだから」と答えたという。意味不明。
あくまでも第三者的な目線で、”外の世界”から少し経った後のことを補足しました。
”外の世界”から”white snow”に移るまでの空白の時間に何があったのか、ということをこれから少しずつですが、書いていこうかなと思います。
長々とすみません、次回は本編へ戻ります(^^ゞ




