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white snow  作者:
all fantasy...?
43/60

white snow


 チャコと別れた後、僕はヒバリが来るのを待っていた。彼が僕を追いかけて来ているのは知っている。勝手に事務所に戻ったら、入れ違いになってしまうに違いなかった。

 視界の端に白いものが映った。僕は顔を上げた。

 ―――雪だ。

 いつの間にか空は鉛色になっていた。車の喧しい走行音も聞こえなかった。時間が止まってしまったかのように思えた。

 「こんなとこにいたのかよ」

 息を切らしてやって来た、背が高く顔立ちの整った青年。彼は紺のピーコートを羽織っていた。事務所を出る時、雪はすでに降っていたのかもしれない。僕が気付かなかっただけで。

 「ほら、戻ろう。風邪引くぜ」

 その言葉を聞いたら何故だか無性に泣きたくなった。彼はどうして今、僕の前にいるのだろう。放っておいてくれれば、僕は―――。

 「俺、結構好きだぜ」

 ヒバリは唐突に言った。「晴れている日よりも、こういう天気の日の方が好きだ」

 それは僕に対する当てつけなのだろうか。雪は、嫌いだ―――。

 「まあ、そう邪険するなよ。ちゃんと理由があるんだ」

 「理由?」

 「ああ。でも、教えない」

 「何でだよ?」

 するとヒバリは意地の悪い笑みを浮かべて「お前が素直じゃねーから!」と言った。

 「意味分かんないよ!!」

 僕は思わず拳を掲げて立ち上がった。ヒバリはさして驚く様子もなく、昇降口まで走って逃げる。

 「危ない危ない。……さては図星だな?」

 言葉に詰まった。

 こういう時、ヒバリはメグリヤの生まれ変わりなんだなと実感させられる。たとえ記憶がなくとも彼女は彼女のままだった。

 その時、ふいに身体が宙に浮いた。天と地が逆さまになる。いつ近づいて来たのか、ヒバリが僕を担いだのだった。

 「さて、帰るか」

 ヒバリはそのままスタスタと歩き始めた。

 「ちょっ、降ろしてよ! このまま帰るつもり?!」

 「降ろしたら逃げるじゃん」

 ヒバリは当然のように言い放つ。

 ―――メグリヤ、君はいつも手厳しいよ……。

 








 「記憶なんて」

 すばるはフローラから視線を放さなかった。

 「忘れてしまった記憶ものなんて、そんなものいりません」

 それが彼の答えだった。

 フローラは理解できないと言うように眉を顰めた。

 「記憶を取り戻したくないと言うのか。……お主、置いて行かれるぞ。これから皆、記憶を取り戻していく。それなのにお主は思い出したくないとそれを拒む。それでは、これから先に起こる戦いについていけぬ。戦いは迫っているのじゃ」

 「―――つかぬことをお尋ねしますが」

 「何じゃ?」

 話の腰を折られたフローラはやや不服そうだったが、ちゃんと応対した。

 「仮に神を倒しに行くとして、どうやって神がいるところまで行くのでしょうか」

 「ふん、愚問じゃな。無論、魔法を使って『神の国』まで行くのじゃよ」

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