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white snow  作者:
the innocent boy
35/60

calling herself Rin is the girl.part2

依頼者リン視点となります。更新が遅くなってすみません(^^ゞ

 「いい加減にしなさい!」

 もの凄い剣幕で事務所の扉を開け放ったのは、やや小太りの身体を宝石で着飾った中年女性だった。彼女は呆然としているミーナたちを余所に、ずかずかと少女の元へ行く。

 「『エリカ』! あんた、また勝手にこんなところに来て!!」

 「『エリカ』……?」

 ミーナたちは顔を見合わせる。すると、中年女性はフンっと鼻で笑って「どうせこの子が『リン』とでも名乗ったんだろう? まったく、姉さんもとんだ子供を押し付けてくれたよ。この子はね、エリカっていうちゃんとした名前があるのさ。それなのに、私が引き取った時から自分のことを『リン』だと思い込んでいる。気違いなのさ」と吐き捨てた。

 「気違い? ハンッ、それを言うならあんたの方が気違いだぜ!」

 リン―――いや、エリカ―――は反抗的な目を義母に向ける。

 「宝石で着飾らないと見られないような姿だなんて―――ま、あんたの場合、身につけていても見られないけどな!」

 「何だって?! ああ、こんなイカれた子を押し付けられるなんて、私ゃ本当に不幸だよ。何度言っても妄想を止めないし、口調はまるで男みたいで―――」




 「オレは男だ!!」




 少女は叫ぶように言った。

 「オレは『エリカ』なんて名前じゃねえ。オレは『リン』だっつってんだろ!」

 その時、一人の少年が恐る恐る事務所にやって来た。クリフトだ。少女は目を見張った。

 「お前……」

 驚きと怒りのあまり声が出ない。

 白に近い金髪、氷のように澄んだ瞳。その表情からは何を考えているのかまったく読めない。―――間違いない。あいつだ。

 エリカの脳裏に、遠い昔の記憶―――仲間のフリをして、自分たちを裏切った男―――が浮かぶ。

 「―――っの野郎!!」

 エリカはクリフトに飛びかかると、馬乗りになって彼を殴った。

 「!? おいっ、やめろって!!」

 クリフトの後から現れた背の高い青年は、何事かと驚いて二人を引き離す。

 「大丈夫か?」

 青年ヒバリはクリフトを立たせてやると、一部始終を見ていた者たちに「一体何があったんだ?」と尋ねる。

 「さあ。僕の知ったことじゃない」

 サクラはさも興味なさげに肩を竦めた。その時、静寂を破る音がした。

 「エリカ! 余所様の子になんてことをするんだ! 謝りなさい!」

 その音は、厚化粧の義母がエリカの頬を叩いた音だった。

 「だって、あいつは―――!」

 エリカは一瞬クリフトに目をやり、彼の表情に驚きの色がないのを確認すると、舌打ちした。

 「憶えてねえのかよ。それとも、忘れているフリをしているだけか? 卑怯なあんたらしいよ。……まあ、どっちでもいい。あんたがあんたであることは変わらねぇしな。義母ババアに免じて、とりあえず謝ってやるよ、悪かった」

 義母ババアが何やら喚いたが、オレは無視した。『あの人』に比べたら、義母なんて怖くも何ともない。

 「お前に話がある。ちょっと時間をもらってもいいか?」

 半ば強制的だったが、それでもオレは確かめたかった。

 忘れてるとは言わせねえ。忘れていたとしても必ず思い出させてやる。オレたちのことを―――。

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