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始めての小説なので、おかしな表現や誤字、脱字等あるかもしれませんが、気楽に暇つぶし程度に読んで貰えたら嬉しいです(笑)

「じゃあ…生物の教科係は瀬田ってことでいいな?」


そう言ったのは私のクラスの生物担当、皆川…名前はなんだっけ。



皆川の問いかけによって、まばらな拍手が教室内に鳴り響く。



瀬田とは、私瀬田麗奈のことだ。


「ちょ、ちょっと待って下さい先生っ」


皆川は私の声をスルー。


私は生物が異常に苦手なのに…こんなの嫌がらせ以外のなにものでもない!!


そもそもなんで私なのよ!


寝てたから話の流れが分からない!!


まずこの成り行きを理解しよう。


そう思いまだ名前も不確かな隣の席の女の子に話しかけた。


名前も不確かっていうのは、新クラスになったばかりだから。つまり今は新学期なのだ。

「ねぇ、なんで私が生物の教科係になったの?」



その子はいきなり話しかけられて少し驚いたような表情をしたが、



「皆川先生が瀬田さんが寝てるから瀬田さんに教科係やらせるって…」



と、答えてくれた。



そんな決め方ってあるかよ…



授業は現在進行中ー。



こんな面倒かつ嫌な係を拒否する権利は私にはないのだろうか…



考えてるうちにまた眠気が襲ってきて、目を閉じてしまった…



「瀬田!」



いきなり名前を呼ばれ、ビクッ、と起き上がる。



「お前、今日放課後生物研究室に来い、いいな」




皆川は私をにらめつけ言った。



私って学習能力ゼロか?

全く、自分のアホさ加減に嫌気がさす。



放課後



生物研究室は教室棟から離れたところにあり、廊下の人どうりも少ない。



あぁ…憂鬱過ぎる…



「失礼しまーす。」



扉を開けるとバッチリ皆川と目が合った。



「おぅ、じゃあここに座れっ」



そういって自分の事務机の横にあるソファーに私を座わるようすすめた。



「ちょっと待っててっ」



仕事のキリが悪いのか皆川はパソコンのキーボードををカチカチ打っている。



この部屋には私達二人だけ。



わざわざ言うことでもないが、皆川はイケメンである。

その上若いしスタイルもいいから女子人気はハンパない。



だけど、私は嫌いだ。

生物ほどではないけれど…


だから、一般女子なら喜ばしいかもしれないこの状況からも早く逃げ出したい…


でも当たり前だが逃げられない。



逃げたらもっと恐ろしいことが待ってそうだから。


皆川がパソコンに向かってる間、やることがなくボンヤリ彼を眺めてた。



ていうか、呼んどいて待たせるってどういう神経してるのよ。



でも、悔しいけど仕事しているこの人の横顔は見とれるほどかっこいい…。


長い睫毛にちょっと重たそうな二重。いい感じにセットしてある髪は、光に反射して茶色がかって見える。


顔の一つ一つのパーツが整い過ぎている。



スタイルだっていいから、細身のスーツがよく似合う。って何褒めちぎってるんだ…



私がぼんやり見てると、彼がいきなり振り返ったので驚いた。



「お前、俺のこと見てた?」


なんで分かったんだろ。



この人の視界に入ってなかったはずなのに…



「いや、え…はい。」



「どっちだよ。」



あからさまに動揺して応えたら、静かに笑われた。



この人笑うんだ。



感情なしの冷血人間だと思ていた。



だって、この人が授業で笑うの見たことないし…



「お前って、俺に一切興味ないんかと思ってた。」


ノートパソコンをたたんで彼はそう言った。



「いや、興味あるかないかって言ったら、ないほうだと思います。」



「ははっ、なんだそれ。」


今度はちょっと声をあげて笑った。



なんか…授業の時の皆川のイメージと違う。



「お前、コーヒー飲める?

「あ、はい。」



「じゃあ今持ってく。」



「あ、すみません…ありがとうございます。」



「いえいえ。」



ってなんでこんなマッタリしちゃってるんだろう…



あっさり終わって帰るつもりだったのに、長々居座っちゃっているし…



「瀬田、もう俺の授業で寝るなよ?」

こっちを見ないで皆川は言った。



やっぱそれで呼び出されたのか。ってことはこれから説教が始まるの…!?



でも皆川の声は授業の時と違って、いたって穏やかで優しささえ含んでいる気がする。




コーヒーの香りがこの小さな生物研究室を満たすにつれて、私の妙な緊張も少しずつほぐれていった。



皆川はコーヒーを持って、私と向かい合わせになるような形でソファーに座った。


ネクタイを緩めながらコーヒーを一口飲む。



この人、私の存在忘れてるんじゃない?



ここは自宅か?生徒の前でリラックスしすぎだろ。



「どうかした?」




そう言われて、私はまたこの人のことを観察していたことに気づく。



「いや、別に。」



彼は一瞬だけ不思議そうに私のほうをみた。



「…あっそう。じゃあ本題。お前、生物めちゃくちゃ苦手なんだって?」



「なんで知ってるんですか!?」



「なんでって、神崎先生から聞いたから。」



神崎とは私が高一の時の生物担当かつ元担任。



「生物以外はオール5なのに生物だけ2。『皆川先生、あいつどうにかしてくださいよ』とか言われちゃってさ、神崎先生に。」



また余計なことを…



「まぁ誰だって欠点はあるじゃないですか、先生。生物出来ないくらい大目にみて下さいよ。」



「いや、駄目だ。お前の受けたい大学は知らないが生物はやっておくべきだぞ。」



神崎にも同じこと言われた。



「…分かってますよ…」



何回も同じこと言われるとイライラしてくる。



「そんなにいやか、生物が。」



先生は困った顔で言った。


「そんなにいやです。生物が。」



「仕方ない、強行手段だな。」


……へ?



「じゃあ今日から俺がお前に生物の個別授業をしてやる。」



え、ちょっと待って、なんか展開がおかしいくない?


「え、いや、い、いいです。結構です!」



「いや、お前に拒否権ないから。」


皆川はそう言ってニヤッと笑った。



なんかおかしい…この人怪し過ぎる!!



「じゃあまず、初歩的なところからかな。」



そういうと皆川はいきなり立ち上がり、私の座ってるソファーの横にすぐ腰を下ろした。



え、何?いきなり授業…?てかなんで隣に座るのよ。



一瞬の出来事だった




「まず、俺を好きになることから始めろ」


そう耳元で囁かれ、私が驚いて彼のほう向くと唇に何か柔らかいものが触れた。


私はキスをされた、らしい。


「好きこそものの上手なれ、だろ?」



「……え、はい。そうですね。………じゃなくて!!」


「ははっ、お前ほんと面白いね」

何!?

私からかわれたの!!?



この人、自分のしたこと分かっているのだろうか。



私は皆川を睨みつけた。



皆川は小首を傾げ、また不思議そうに私を見る。



なにとぼけた顔してるんだ、教師が生徒にキスしたのよ!



でも、睨んでいたつもりが逆に見つめ返され、私は恥ずかしくなって目をそらした。



皆川はさっきまで眼鏡をしていたのに、いつのまにかそれを外してた。そんな綺麗な顔で見つめられたら私が困る!!



ってか顔近すぎ!



なんか徐々に恥ずかしさが増してきて、私は早くこの場から逃げ出したくなった。



立ち上がろとした瞬間、彼が私の腕を強く引き、バランスを崩した私は彼に抱き着くような形になった。



「逃げられないよ、俺からも、生物からも。」



馬鹿みたいに自分の顔が赤くなるのがわかった。



生物どころじゃない…この人どうにかしなくちゃ!!


そして、なぜか私は立ち上がれずに彼の胸の中に顔を埋めている。



その理由は、彼が私の背中に腕を回し、起きれないようにしているから。



ほんと何しているんだこの人は…



やっとのことで彼の胸を押して起き上がると、まだ顔が至近距離にあった。



「瀬田、毎週金曜日の放課後ここに来い、いいな?」


「…もし、来なかったら…?」


「うーん、お前の家に押しかける。」



「は!?」



「お前ん家、俺のマンションの真向かいなことが判明した。」



「嘘でしょ!?」



「いや本当。」


そういって、皆川はそのマンションの名前と住所をつらつらと述べた。



確かに私ん家の真向かいのマンションだった…。



こんな偶然あるのだろうか…

いや、必然なら恐すぎるけど。



「ついでにクラスの課題ノートも集めて持って来て、分かったな?」


「…はい。」


もう承諾しざるおえないだろ。家に来られても困るし。





荷物を取りに教室に行くと電気がついていて、人がいるのが分かった。扉をそっと開けると、サッカー部のジャージが見えた。




「あ、瀬田さん、だよね?」


「うん。」


うーん、名前が思い出せない。


「ごめん、名前なんだっけ?」


「あー俺?木部。木部春樹。


あぁ、ハルって言われてる人だ。



「部活おわり?」



「そう、教室に忘れ物しちゃって。瀬田さんは?部活?」



「いや、私は部活入ってないけど。今日ちょっと先生に呼び出されて…」



「あ〜皆川?でも俺の周りの女子、瀬田さんが羨ましいとか言ってたよ」



私はあいつを好きになれるその子達が羨ましい…



「いや、でも私あの人嫌いなんだよねぇ」



「そうなの!?皆川のこと嫌いって言う女子初めてみた。」


そういって木部くんは笑った。人懐っこい笑顔だと思った。



「じゃあ、私帰るから」



「あぁ…」



私はすぐに教室を出ようとした。



「あ、ちょっと待ってっ!

「ん?」



「あ、あの…メアド、聞いていい?」



男子からメアド聞かれるなんて、私にとっては珍しいことであって…



「うん、いいよ」



「本当!?よっしゃっ」


そう言って、木部くんはまた人懐っこい笑顔を見せた。


なにこの人、なんか可愛いんですけど。



私も自然と木部くんの笑顔につられて笑っていた。

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