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Lesson26 『新ガジェットを社会に紹介せよ。』

帰り道、ゴブリンの支配地を通る。

何人かのゴブリンと遠目に目が合うが敵意や驚きは感じない。

往路で出逢ったゴブリン達が良いように言ってくれたのかも知れない。


途中、道の真ん中で掃除(?)道路整備(?)をしている一団と鉢合わせる。

奇妙な器具を上下させながら図面のような物を見ながら作業しているので、ゴブリン種の中でも技術者階級に属しているのかも知れない。



「*}!SF&'」



驚いたような表情で声を掛けられる。

どう反応して良いのか分からないので、ペコペコしながらその場に待機。



「~F@]/.!」



1人の痩せたゴブリンがやって来て道を指さす。



『えっと、作業中のようですが通行してもいいですか?』



「@>K^-w3」



あ、これは意味が通ってないパターン。

道に塗料っぽいものを塗ってるので、多分今は通っちゃいけないのだろう。



『ここって通れないですよね?』



身振り手振りで通りたい意思を示すと、不安そうな表情で少しだけ道を空けてくれる。

流石に塗料を踏む訳には行かないので脇を迂回しようとすると慌てて制止される。

うーーーん、やっぱり言葉が通じないって大変だな。



『えっと、失礼でなければ通行料をお支払いさせて頂く事は出来ないでしょうか?』



あまりカネを振りかざすのは良くないのだが、掌に鉄貨を並べて相手の反応を伺う。



「:?_@3|~」



彼らは少し首を傾げてから、30枚の鉄貨を慎重に数えながら徴収する。

(こちらがが3人だから鉄貨10枚ずつという意味か?)

俺達の手を取り道の脇に吊り下げられていた網のようなものの前に連れて行く。



『えっと、これは?』



「1<`*」



「ああ、ひょっとしてゴブリン式のハンモックなんじゃないか?」



グスタフが声を上げる。



『は、ハン? 何?』



「ああ、王国には森が少ないからな。

知らないのも無理はない。」



言うとグスタフは木と木の間に結ばれた網に寝転がる。



『え!?』



一瞬制止しようと考えたが、ゴブリン達がウンウン頷きながら道の補修作業を再開したので、少し待てという意味なのかも知れない。



「おっかしーなー。

王国には本当にハンモックがない訳?」



グスタフがしきりに首を捻る。

聞けば帝国や共和国の森林地帯においてはマイナーながら知られた文化らしい。

一瞬、俺が物知らずなのかと思って焦ったが、ジェフも同様らしいので安心する。



「ほら、森林地帯って虫とか蛇とか多いだろ?

地面に直接座ったり寝転んだりするのは危険なんだよ。

多分、このハンモックも防虫蔓で編まれてるなぁ。」



『へー。』



「今回は家に置いて来たけど、俺も猟の時に持ち歩くぜ?」



『はえー。』



この森なんかも直線距離にすれば王国領まですぐなんだけどな。

まあ、国や種族が違えば道具も異なるよな。



「77@>?\-」



ハンモックとやらでウトウトしているとゴブリンから声を掛けられる。

真顔で道を指さしているので、もう通って良いという意味なのだろうか?

俺達が近づくと1人の若いゴブリンが塗装された箇所の上でピョンピョン跳ねてみせる。

うん、どうやら通行許可だな。



「@@"$%」



ふと気になったので頼んでみる。



「ハンモックを売って貰うことは可能ですか?」



身振り手振りで頑張る。

30秒ほど試行錯誤したら真顔で掌を差し出して来る。

61枚の鉄貨が残っていたので思い切って全部渡してみる。

彼は難しい表情で唸っていたが、木立に結ばれていたハンモックを3つくれた。

そして1枚だけを突き返してくる。

1つ20枚の相場なのだろうか?

いや、多分サービスしてくれてるなあ。

申し訳ないので余ってるレーションをプレゼント。

向こうが鉄貨を払おうとしたので、『お釣り、お釣り。』と連呼して止める。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



それ以降は大したトラブルもなく、快適な帰路だった。

綺麗な景色や星空に夢中でハンモックとやらの事はブルータウンに到着するまで、すっかり意識の外にあった。



『ただいまー。

2人共おつかれー。』



「割と順調だったよなー。」



「やっぱり地元が一番だわ。」



『「「あっはっはww」」』



3人で肩を叩き合って笑う。

さあ、一休みしたら網元の家に行くか。

報告する事が山ほどあるからな。


この時の俺達はフカヒレの販路の件こそが唯一にして最大の収穫だと思っていたし、現にこの後そこそこの収入源となる。


だが、意外極まりない事にバズったのはハンモックだったのだ。

今思えば【ゴブリンから買った】という物語性に皆は価値を見出したのだろう。

郊外で本当の本当に大流行した。


そして俺はちょっとした市井の人気者になった。

労働者としてでもなく、冒険者としてでもなく、【面白いネタを披露してれた人】として親しまれることになった。

冒険者を始めてから成功の為に色々と頑張ったが、俺の最初の成功は意識の外の偶然がもたらした。


無論、今ならちゃんと言語化出来る。




Lesson26 『新ガジェットを社会に紹介せよ。』

【名前】


テッド・ウォーカー



【職業】


冒険者



【資産】


銀貨57枚

鉄貨1枚 (ゴブリン経済圏でのみ通用)



【所持品】


折り畳み釣り竿

簡易テント

大型リュック

万能ナイフ

ポートフォリオ

騎士用手袋

トラバサミ

ハンモック



【生産可能品目】


山椒粉

フカヒレ

ラー油



【ポートフォリオ】


ホーンラビット

スライム

サンドシャーク

山椒

ドブネズミ



【仲間】


リコ・クラーク       (司書)

ジェフリー・フィッシャー  (漁師)

キース・ポーター      (運送業)



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



(あとがき)


最後までお読みいただきありがとうございました。

このLesson(教訓)が有意義であったと感じていただけましたら、冒険の道標としてページ下部の【☆☆☆☆☆】やブックマークで評価して下さると幸いです。


ご安全に。

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