ミッション・フェイズ3-6
「えっ?! 」
「これがそうか」
「違います! 」
激しく否定。
「私じゃありません!! 」
ああそうだろう。
天森の身体は何かの防護を纏っている。
それが、彼女が発した技能に違いない。
では、この異変は。
「なによ、なんなのよコレ!! 」
洋子ちゃんも悲鳴を上げる。
「《《お遊び》》はそのへんにしといたらどうかな、嬢ちゃん」
この場に居ない、別の男が声を発し、次いで姿を見せた。
初老とも、或いは米寿過ぎとも、なんとも掴み処のない茫漠とした風采を持つ、老人。
そして、洋子ちゃんに抜き手も見せず斬り掛かった。
え、洋子ちゃんに?? 。
ってちょっおま!! 、えええ?!?!?! 。
ぎん。
そして洋子ちゃんは。
棒立ちのまま、平然とそれを受け止め、弾いてみせた、そして。
「いったーい、じゃない、なにするのよぉ」
能面のような無表情で棒読みの。
「……ようこ? 」
「ふん、《《見た目通り》》か」
老人は手の中に光る刀身をしまい込み。
「見た目はそこらの女子高生でしょう」
「《《見た目》》は、な」
に、と老人が口を捻じ曲げて。
「貴様こそ、姿そのままの弱卒ではあるまいに」
「ほうほう」
感心したように、器用に片眉を上げ。
「この老骨をな、お褒めの言葉と頂戴しよう」
「抜かせ」
ふんと鼻であしらい。
「それで、我をどうするつまりだ」
「いや、まだ挨拶が足りんようでな」
ばん。
その姿が紅蓮に包まれる。
「ようちゃん! 」
しかし洋子、やはり平然と、両手の平を軽く見下ろしながら。
「ほう、なかなかの出力だ」
振り返り、その者を評してみせる。
「ここまでよく鍛錬したな、瀬戸」
「え?! 」
天森も慌てて背後に眼を向ける。
「お前が……お前が!! 」
そのまま眼光で喰い殺すとばかりに睨み付けぎりりと歯を鳴らす、瀬戸君の姿。
「な、ムリじゃったろ」
とぼけた口調で老人、いや。
モクさん。
「気が済んだか、ならまだまだ精進せい」
「ぐぎぎ」
せと、くん? 。
瀬戸君、その声に天森を一瞥し、顔を背け小声で。
すまなかったね。
「いつから気付いていた」
そこまでの情報開示が必要かしら。
更に、その容姿を裏切らない、凛とした声が響く。
「この場を情報交換のテーブルに? 当方としてはやぶさかではありませんが」
公嗣様、颯爽華麗に、登場。
「貴様がか」
「交渉代理でしたら、決定権者ではありませんけど」
「では無意味だろう」
「当方の要望は」
構わず、つぐみん。
「我が国領域からの速やかなる退去、それ以上何も」
「話にならんな」
洋子、薄ら笑いを浮かべ。
「我々が偶然立ち寄った通行人だとでも、わざわざ異界から」
「では、来意を承りましょう」
洋子、再び無表情に。
「交渉相手は、お前たちではない」
「利害が衝突しますか」
「我々に干渉するなら」
「私たちには、日本国家国民の生命財産、その保全の責務があります」
「非友好的なようだな、我々との関係は」
「残念です」
そこまでだった。
一戦交えるのか。
そんな《《無駄》》を好む相手では無かったようだ。
一瞬その顔を上向かせるとびくりと強く痙攣を見せ、相澤 洋子の身体はその場へ崩れるように倒れ伏した。




