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ミッション 11
行き過ぎた扉の一つが音も無く開き、びっくり箱の様に表れた彼女が私の姿を認め声を掛けた、事象としてはただそれだけの、ありきたりの組織内光景。
「えー予定変更で」
「さよか」
やや高めの鼻に掛かった、その声も特徴といえば特徴ではあるが、そうした人物はまあ往来で石を投げれば直ぐに当たるだろう、人口密度の高い東京都心であれば尚。
洋子ちゃんの顔には明らかに、先ほど奇襲とは別種の怯えが走り、天森嬢もやや堅い表情で、平然と言葉を交わす私を見つめるその眼差しにはやや奇異の色。
和装であるのはゆずって許容出来るかもしれない、公官庁職員でそうした職域にあるのであればと、しかし。
仮面職員というのは、確かに、一般国民からすれば理解の範疇外だろう。
京の舞子さんが仮面を、それも能の、狐面じみた物を装着する職場、とは。




