ミッション 1
即レスに近い早さでの返信、その文面は硬質かつ簡素な、アポイントメント伺いへの要件のみを満たすテンプレの如き文字列を為していた。
日時つまり翌日金曜16:00、彼女が通う学園最寄りのSの字大手有名コーヒーチェーン店二階客席にて。
冷え切った内容だからこそ迅速果断な対応には熱量が滲む、こちらからの問いを待ち構えていた、あるいは、待ち焦がれていたかの、打てば響く天森嬢の反応だった。
初手としては悪くない、のではないか。
や、もちろん真逆の回答も控えている、『二度と関わらないで下さい』とか。
とまれ首尾を上司に申告するとこちらも当然の様に即レス、曰く。
『貴職が職務の十全なるを祝す』
節目に貰う定型返礼。
トラファルガーで指揮官が麾下に義務の遂行を督励した故事より続くヤツのもっと圧のあるの、いつも完璧なおしごとありがとねという。
ふは。
空の上司席に眼を遣りため息ひとつ。
事件発生より約一週7営業日経過。
既に天森嬢獲得の為の受け入れ態勢、予算措置含め諸々の部内準備は整っていた。
後は、本人の諾否のみ。
「どうした、小僧」
文書業務を中途に、ちとヤニ場でくゆらせていたらモクさん登場。
実はモクさん、非常勤のけっこうなレアキャラらしいが、やはり縁があるのか、私はこうしてちょくちょくふらりと遭遇する。
一声掛けてきて、しかしつづけずそのまま隣で同じく黙って煙を吐く。
「……まあ、悩むがええ」
独り言のように一言だけ呟くと、またふらりとそのまま立ち去ってしまった。
悩む? 。
どう口説き落とすか。
いや、そもそも。




