過去ログ 2-10
そして後日談。
何時ものヤニ場にて、決着。
「あなたは、人、ではない」
なるべく冷静に、切り出した。
「人でなし、か」
軽口で、モクさん。
「崇徳は、ネコを飼っていた」
ぴく。
モクさん、反応。
「正確には飼って、というより庭ネコ、通いの野良ネコを可愛がっていた」
「ほう、初耳じゃな」
「もちろん、史書にはない情報です、私の」
それ以上は、勇気が要る。
「崇徳の類魂の記憶、個人的体験ですから。木の実を好んで食べる其れを、崇徳はなぞらえて呼んだ、木食、と」
眼を合わせ、続けた。
「あなた、ですよね」
木食朴全、眼を細め、静かに紫煙を吐き切った。
「お前を初めて目にしたときの、俺の気持ち、判るか」
「いえ、全然」
だよな、と、苦笑いに似て、モクさん。
こうした縁起もあろうか、と。
そうこれは、男滝啼きへの、リベンジ。
こっちだけではワリに合わない。
「崇徳怨霊伝説、あれは、あなたの仕業ですね」
「そうよ、拝命したじゃろ」
「しましたね」
ふん、と。
「あれで切れた、そう思っとった」
あなたは、言葉を重ねる。
「霊猫、ですか」
「ま、ネコマタの一種、かの」
千年の時を現世で過ごす。
そっと彼方に視線を向けた。
遠い、遠い眼つき。
「人界で、ここで、人間相手に、あなたは何を」
「そうさのう」
新たに一本点け、しばらく黙ってくゆらす。
じっと、次の言葉を待った。
ま、悪い様にはせん、悪意はない、これは、誓おう。
彼の言葉を、信じるも信じないもない。
「敢えていうなら手助けじゃし、儂の学びでもある、うぃん―うぃんじゃよ」
視線を戻し、私を凝視。
「お前の為でもある」
ふーっ。
ま、おいおい、な。
それ以上の材料も無く。
概ね認めて貰えたことで、そこまでで、満足できた。




